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F1分析|無念ペレス、フェラーリの”陽動作戦”に屈する……しかしルクレールが勝利を狙うには、この方法しかなかった?

F1サウジアラビアGPの決勝レースで、フェラーリのシャルル・ルクレールは、ピットストップ陽動作戦を用いてレッドブルのセルジオ・ペレスを攻略した。しかしマシン特性から、今回フェラーリが太刀打ちする術は、これしかなかったように感じられる。

Sergio Perez, Red Bull Racing RB18, Charles Leclerc, Ferrari F1-75, Max Verstappen, Red Bull Racing RB18, Carlos Sainz Jr., Ferrari F1-75

写真:: Steven Tee / Motorsport Images

 F1サウジアラビアGPの決勝レースは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが今シーズン初優勝を達成した。

 フェルスタッペンはレース終盤、それまで首位を走っていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)をコース上でオーバーテイク。勝利を手中に収めた。

 ただ序盤にレースをリードしていたのは、フェルスタッペンのチームメイト、セルジオ・ペレスだった。ペレスは自身初のポールポジションからスタートしてレースをリード。2番手のルクレールに3秒弱の差をつけて快調に走っていた。

 しかし13周を過ぎた頃からルクレールがペースアップ。その差を2秒以内に縮めると、15周目にこんな無線がフェラーリとルクレールの間に飛ぶ。

「オーバーテイクするためにピットストップ(ボックス)しよう」

 つまり、先に新しいタイヤに履き替えてペースアップし、ペレスの前に出ようという指示……アンダーカットと呼ばれる作戦に打って出ようということだ。

 ただこれに反応したのは、先頭を行くペレスだった。ペレスとレッドブル陣営は、ルクレールのアンダーカット作戦を阻止しようとし、先にピットイン。スタートから履いていたミディアムタイヤを外し、ハードタイヤに履き替えたのだ。

 一方のルクレールはピットに入らず、コース上を走り続けることを選択した。

 結果的にこのペレスのピットインは裏目に。走行を続けたルクレールの選択は大正解ということになった。ペレスがタイヤ交換を終え、コースに戻った直後、最終コーナーでウイリアムズのニコラス・ラティフィがクラッシュ。バーチャル・セーフティカー(VSC)が出され、その後セーフティカー(SC)に変わった。

 VSCやSC下での走行となると、各車がスピードを落とすことになる。つまり、ピットストップを行なうことによって失うタイムも小さくなるわけだ。今回のサウジアラビアGPでは、通常の状態ならばピットストップを行なうと17秒を失う。しかしながらVSCもしくはSC時だと、11秒のロスタイムとなるのだ。ルクレールは6秒を稼いだわけだ。

 ペレスはピットストップの判断について、レース後に次のように語っている。

「僕らはアンダーカット阻止を狙っていた。でも残念なことに、ラティフィが悪いタイミングでウォールに突っ込んでしまった」

 結局ペレスは、ルクレールに先行されただけでなく、フェルスタッペンとカルロス・サインツJr.(フェラーリ)も抜かれ4番手に、そのままのポジションでレースを走り切ることになった。

 一方でルクレールは、レース後に次のように語っている。

「僕らはチームとして、全てのことを正しく行なったと思う。戦略も、ピットストップも、レース序盤のチェコ(ペレスの愛称)に対する”偽の”ピットインの指示もね」

 つまりまだタイヤを変えるつもりがないのに、ペレスを先にピットストップさせることを狙っていたということだろう。

 ただペレスが先にピットストップしてしまえば、ルクレールとしてはピットストップのタイミングで順位を逆転するチャンスが潰えてしまうということになる。では一体何を狙っていたのか? 想像してみよう。

2022年F1第2戦サウジアラビアGP決勝レースペース分析(トップ4)

2022年F1第2戦サウジアラビアGP決勝レースペース分析(トップ4)

Photo by: Motorsport.com / Japan

 まず第一に、SCが出ることを狙っていたはずだ。前述の通りSC中にピットストップを行なえば、ロスタイムが少なくて済む。しかも超高速でありながらコンクリートウォールが近いジェッダ市街地コースなら、SCが出動する可能性は限りなく高い……フェラーリはその可能性に賭けたのだろう。しかし彼らにとってはあまりにも絶好すぎるタイミングで、SCが出たものだ。

 もうひとつ考えられるのは、チームメイトのサインツJr.を活かすという方法だ。当時4番手を走っていたサインツJr.のタイヤ交換を遅らせてコース上に残し、ペレスが追いついてきた時にブロックし、ルクレールが前で戻れるだけのタイムを確保するという形だ。ただこれはリスクも大きい。サウジアラビアは長い直線が複数あるため、オーバーテイクが不可能なコースではない。タイヤのパフォーマンスに差があればなおさら……あっさりとペレスがオーバーテイクを完了していた可能性も十分にある。

 さらにペレスに先にタイヤを交換させることで、レース終盤により新しいタイヤで接近し、攻略するという手法も考えられる。ただこれも、各車のハードタイヤに変えた後のペースやデグラデーション値を考えると、現実的とも思えない。ルクレールがタイヤ交換を終えた後には、大きな差が開いてしまうだろうし、逆にフェルスタッペンにアンダーカットされてしまう可能性もあるのだ。

 今回のグランプリでは、マシンの特性が大きく分かれていた。フェラーリは中低速コーナーやトラクション重視のマシンだったのに対し、高速コーナーや直線スピードはレッドブルに大きなアドバンテージがあった。1周のラップタイムが同じでも、オーバーテイクを成功させやすく、逆にオーバーテイクされにくいマシンはレッドブルの方だった。事実、今回のスピードトラップでの最高速は、レッドブルが334.6km/だったのに対し、フェラーリは320.6km/h……つまり14km/hの差である。これでは、コース上でオーバーテイクを成功させるのは難しい。

 つまりルクレールとしては、SCを活かしてペレスの前に出るしか、勝機はなかったということなのかもしれない。実際レース終盤、徐々に差を詰め、DRS圏内に入ってきたフェルスタッペンにオーバーテイクされてしまっている。

 ただこれはサウジアラビアGPだけの話。例えば直線成分が少なかったり、オーバーテイクが難しいコースの場合は、フェラーリが強さを発揮することになるはずだ。

 今シーズン、レッドブルとフェラーリの力関係はコースの特性によって左右される……そんな激戦が最終戦までずっと続いていくことになりそうだ。

 
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