F1分析｜アルファロメオ＆ボッタスの秀逸ペース。実はメルセデスに匹敵する可能性も？

　先日行なわれたF1サウジアラビアGP。優勝したのは、終盤にフェラーリのシャルル・ルクレールとの”最高速対決”を制した、レッドブルのマックス・フェルスタッペンだった。今季は、このレッドブルとフェラーリによる熾烈なタイトル争いが続いていきそう……そんな感触を覚える開幕2連戦だった。

　さて本稿では、その後方のグループに焦点を当てたい。開幕戦バーレーンでも、そしてサウジアラビアでも、レッドブルとフェラーリのトップ2チームに続いたのはメルセデスだった。今シーズンは大苦戦していながらもこの位置を確保するあたり、さすがと言えるだろう。

　しかし本来ならばこのメルセデスを脅かすのではないかと思われる存在がいる。サウジアラビアGPのレースペースを分析していくと、アルファロメオのバルテリ・ボッタスは、メルセデスに匹敵するパフォーマンスを持っているように思えてならない。

F1第2戦サウジアラビアGP決勝レースペース分析（中団グループ）

Photo by: Motorsport.com / Japan

　第1スティント、ボッタスは8番手を走行していた。その前にはアルピーヌのふたり。ボッタスはこのアルピーヌに近づいたり、離れたりと、ペースが乱高下している（グラフの赤い線）。

　ボッタスは最終的に、エンジンの温度が上がりすぎたためにリタイアすることになるわけだが、おそらくレース序盤の段階からこの問題に悩まされていたため、冷却のために間隔を開く……そんな状況だったのではないかということが想像できる。

　注目すべきは、アルピーヌ勢との差を詰めた時のペースである。速いペースの部分を繋いでいくと、黄緑色のラインと同じようなところになる……この黄緑色はメルセデスのジョージ・ラッセル。本来ならばボッタスは、ラッセルと同じようなペースで走るポテンシャルがありつつも、前を抑えられていたためそれが発揮できなかったように見える。第2スティントでも同じような傾向で、速いラップタイムを繋ぐと緑色のライン……今度はルイス・ハミルトンと同じようなペースで走ったわけだ。

　このグラフにはないが、ボッタスのチームメイトである周冠宇も素晴らしい仕事をしている。F1デビュー戦となったバーレーンGPでは10位入賞、このサウジアラビアでも、度重なるペナルティで後退しつつも、最終的には11位でフィニッシュ。ペナルティがなければ、十分に入賞も可能だったはずだ。

　今季のアルファロメオは、確かにエンジンの冷却といったアキレス腱は抱えているものの、かなり良いマシンを作り上げてきたと言って良さそうである。昨年はランキング9位だったアルファロメオ……今シーズン最も大きく飛躍したのは、このチームなのかもしれない。

　メルセデスを離れ、このアルファロメオに移ったボッタスが、メルセデスを相手に立ち回る……そんなシーンが見られることもあるかもしれない。