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F1分析|メキシコシティGPで勝利を手にした、フェルスタッペンのタイヤマネジメント。一方でフェラーリは大心配

F1メキシコシティGP決勝レースのペース推移を見ると、フェルスタッペンがタイヤを絶妙な形でマネジメントし、1ストップで走り切ろうとしていたことが明確に見てとれた。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB18

写真:: Zak Mauger / Motorsport Images

 F1メキシコシティGPを制したのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンだった。フェルスタッペンはこれでシーズン14勝目。2004年のミハエル・シューマッハー、2013年のセバスチャン・ベッテルが持っていた記録を抜き、単独でのシーズン最多勝記録を更新したことになった。

 ただフェルスタッペンにとっての今回のライバルは、これまでとは違った。今シーズンはシーズンを通して、フェラーリがレッドブルの対抗馬だったが、今回に限ってはメルセデスがレッドブルを追う立場になった。

 レース中、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がフェルスタッペンの背後にピタリと付き、プレッシャーをかけた。最終的には15秒の差をつけられたが、それでも善戦したと言っていいだろう。

 レッドブルとメルセデスは、戦略が分かれた。レッドブルはソフトタイヤでスタートし、ミディアムタイヤへと繋ぐ1ストップ作戦。メルセデスも同じ1ストップ作戦ながら、ミディアムからハードへと繋ぐ、1ステップコンサバな戦略だった。

 そのため当然のことながら、フェルスタッペンはハミルトンより速く、25周を走り切ったところでピットイン。ミディアムタイヤに履き替えた。ハミルトンはそれより4周後の29周目にピットインしている。

F1メキシコシティGPレースギャップ推移:トップ3チーム

F1メキシコシティGPレースギャップ推移:トップ3チーム

Photo by: Motorsport.com / Japan

 ここで、大きな差が築かれた。上のグラフはメキシコシティGP決勝でのトップからの差を示した折れ線グラフである。これを見ると、両者がピットインする前には2秒弱だったふたりの差が、ハミルトンがピットストップを終えてコースに戻った時には約6.5秒に拡大しているのが分かる。しかもハードタイヤのパフォーマンスはミディアムタイヤに比べて劣っていたため、その後徐々に差が拡大していった。

 ただメルセデスとしては希望があった。それは、自分達はミディアムからハードへと硬いタイヤでの戦略を採っていたため1ストップでレースを走り切れるものの、レッドブルはソフト→ミディアムと繋いだため、もう1回ピットストップしなければならないはずだ……そういう期待があった。しかし、流石は2年連続王者のフェルスタッペン、上手かった。フェルスタッペンのレースペースを見ると、比較的良いペースで走りながらも無理することはなく、タイヤをしっかりマネジメントしているように見える。

F1メキシコシティGPレースペース推移:トップ3チーム

F1メキシコシティGPレースペース推移:トップ3チーム

Photo by: Motorsport.com / Japan

 このことは、上のグラフを見ると分かる。このグラフは、レース中のトップ3チームのレースペースの推移を折れ線で示したものである。この中の青の実線で示されたのがフェルスタッペンのレースペースである。

 フェルスタッペンはミディアムタイヤに履き替えた後(27周目)、ゆっくりとしたペースで走り出している。青の点線で示されているのがチームメイトのセルジオ・ペレスのペースだが、これよりも遅い。また、31周目からハードタイヤを履いたハミルトンよりも遅いペースである。

 ミディアムとハードでは、ピレリの発表によれば1秒ほどパフォーマンスの差があったはず。しかしながら、ハードを履くハミルトンよりも抑えたペースでスティントを走り始めたことで、タイヤを長持ちさせることに成功した。さらにハミルトンのペースにはアップダウンがあるのに対し、フェルスタッペンは実に安定したペースを刻み、徐々に差を築いていった。

 本来ならばソフト→ミディアムという戦略で71周のレースを走り切るのは難しかっただろうと思われ、2ストップすることもレッドブルとしては考えていただろう。しかし、フェルスタッペンがしっかりとタイヤマネジメントをしながらも後続との差を広げることに成功。ピレリによればタイヤが完全摩耗する心配はなかったため、そのままチェッカーを目指すだけでよかった。

 もしメルセデスも同じ戦略を採り、終始激しいバトルが繰り広げられるような格好になっていたら、もしかしたらレッドブルとメルセデスは2ストップ作戦を採ることで光明を見出そうとしたかもしれない。

 しかしながら、メルセデスが柔らかいタイヤでレッドブルと同じように71周を走り切ることができたかどうかは疑問。メルセデスのトト・ウルフ代表も「ミディアム→ハード」の戦略は正しかったと語っている。

 そういう意味では、今季のレッドブルとフェルスタッペンがその強さをまざまざと見せつけた、そんなレースだったと言えるかもしれない。

 その一方で、フェラーリは実に心配な結果に終わった。メキシコシティは標高が高く空気密度が低いため、パワーユニット(特にエンジン)を最大パフォーマンスで使うことができなかったという。そのためにまったくペースが上がらず、カルロス・サインツJr.がトップから58秒遅れの5位、シャルル・ルクレールは1分8秒遅れの6位だった。

 パワーが出しきれなかったという事実があるとしても、それ以上に気になるのがそのタイヤデグラデーション(性能劣化)の大きさだ。

 上のレースペースのグラフを見ても一目瞭然。赤の折れ線で示されたフェラーリふたりのペースは、周回を重ねるごとに低下していっている。第1スティントでも、第2スティントでもそれは同様だ。

 これは今シーズンを通じてフェラーリのマシンに見られた傾向。これにより、予選では速さを発揮しつつも、決勝レースではレッドブル勢に逆転を許し、ポイントを取りこぼしてきたのだ(もちろん、チームやドライバーのミスによる取りこぼしもあったが)。そして今回はレッドブルのみならず、メルセデス勢にも先行されてしまった。

 ルクレールは今シーズンのことは諦め、来季に繋がるようなレースをしたいと以前語っていたが、これでは来季に繋がるどころか、大きく遅れてしまう可能性もあるのではないか……そんな危惧さえ感じられるメキシコシティGPのレースペースだった。

 
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