1年前の挫折が角田裕毅を強くした……”2回目”のイモラで力強い走り「去年より自分をコントロールできた」
アルファタウリの角田裕毅は、F1エミリア・ロマーニャGPで7位フィニッシュを果たした。角田は予選でクラッシュし負のスパイラルに陥るきっかけとなった1年前の同GPを振り返り、自身が成長していることを実感したと語った。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
F1エミリア・ロマーニャGPで、アルファタウリの角田裕毅は、ライバルとの戦いを勝ち抜いて7位入賞。予選でのクラッシュからリズムを崩してしまった1年前と比べて、自身でも大きく改善できていると感じていることを明かした。
角田は、エミリア・ロマーニャGPの予選では大失敗。路面が急速に改善していく中、アタックのタイミングが早過ぎたこともあり、16番手でQ1敗退となってしまったのだ。
この予選結果は、F1デビューした直後……1年前の同グランプリでの角田を思い出させるものだった。角田はデビュー戦バーレーンGPで9位入賞を果たした後、意気揚々とエミリア・ロマーニャGPに挑んだ。舞台であるイモラ・サーキットは、プライベートテストで旧型マシンを走らせたりと、ルーキーながら豊富な経験を手にしていたコースであり、角田も自信を持っていた。しかし予選Q1最初のアタックでクラッシュしてしまい、ノータイム。決勝では入賞圏内に近づいたものの、スピンしたことでポジションを落とし、ノーポイントでのフィニッシュとなった。
ここから角田のリズムは崩れてしまい、以後は入賞できないレースが続くこととなった。
その2021年エミリア・ロマーニャGPから1年。今年の角田は明らかに成長したようだ。前述の通り予選はうまくいかなかったが、スプリントでポジションを上げ、決勝レースでも安定した走りを披露。終始好ペースで走り、前を行くライバルたちを次々にオーバーテイク。堂々の7位入賞を果たしたのだ。
「去年と比べて、はるかに多くのことをコントロールできたように思います」
角田はレース後にそう語った。
「去年の僕は、自分をコントロールできていませんでした。自分が何をしているのかも分かっていませんでした。全てのラップで限界まで攻めていましたから、ああいうこと(予選でもクラッシュなど)が起きたんです。でもそのことは、僕を成長させてくれました」
「ドライバーとしては、本当に良い学びになりました。その後、僕は悪いループにハマってしまいましたが、ドライバーとしては本当に良い学習になったんです」
「その後、僕は次のステップを踏み出すことができたので、今日のポイント獲得に繋がったと思います。去年と比べれば、特にレースペースで大きな一歩を踏み出せたと思っています」
ドライブ中は、まだ叫ぶことがあるという角田。しかしそれを無線に乗せることは少なくなり、それにも自身の成長を感じていると角田は言う。
「多分……僕はまだ叫んでいると思います。でも、(無線の)ボタンを押していないんです。これは、おそらく去年と比較して大きな一歩だと思いますよ(笑)」
「でもとにかく、前よりも落ち着かせるようにしています。以前でも、エンジニアをリスペクトしていました。でも今は、よりリスペクトするように努めています。だから、無線で叫ぶ意味なんてないということに気づいたんです。だから落ち着いた声で、具体的に伝えるように、次のステップに進む必要があります。その点では、良かったと思います」
今回のグランプリでは、各セッションでチームメイトのピエール・ガスリーを上回ってみせた角田。今後もガスリー同様のパフォーマンスを発揮できるかと尋ねられた角田は、次のように語った。
「分からないです。まだ時期尚早ですが、今週は彼と比較して、僕は非常に良かったと思います。これを続けていけるようにしたいと思います」
なおデビュー戦バーレーンの後は、角田を称賛する記事などが相次いだ。F1のマネージング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは、「ここ数年で最高のルーキー」と評し、アルファタウリのフランツ・トスト代表も「必ずチャンピオンになれる」と語った。F1の公式YouTubeでも、角田のデビュー戦の活躍を特集する動画を配信した。
今回の活躍を受け、再び当時のような大絶賛を繰り広げようかと、記者から冗談を言われると、角田は次のように語って笑った。
「多分それには少し早いですよ。興奮しすぎないでください(笑)」
「ご存知のように、僕はまだ学んでいるところです。まだまだ学ぶべきことがたくさんあり、改善することがたくさんあると感じています。今はじっとしていますよ」
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