F1分析|角田の”超安定”レースペース。FP2から大きく改善したデグラデーション
F1スペインGP決勝レースの各車のペースを見ると、角田裕毅(アルファタウリ)のペースが実に安定し、優れていたことが分かる。
Yuki Tsunoda, AlphaTauri AT03
Carl Bingham / Motorsport Images
角田裕毅(アルファタウリ)は、F1第6戦スペインGPで10位入賞を果たした。彼のレース中のペースを見ると、フリー走行の時と比べると、かなり改善されているのが分かる。
戦前はかなり厳しい戦いになると思われていた今回のアルファタウリ。実際、角田のチームメイトであるピエール・ガスリーは、他車との接触もあり大いに苦戦した。
しかし角田は、レース中に安定したペースを維持。フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)との戦いには敗れたものの、10位入賞を果たした。
2022年F1第6戦スペインGP 決勝レースペース分析-中団グループ
Photo by: Motorsport.com / Japan
レース中のペースを見てみよう。グラフの白いラインが角田である。角田のペースはほぼ横ばいになっているのが分かる。これが、彼にとって強力な武器となった。
直接対決の相手となったアロンソは、スティントの走り出しこそ角田よりも良いペースで走ったが、次第にそのペースが逆転。スティントの終盤には角田の方が速いかほぼ同等という形になった。アルピーヌは、激しいデグラデーションの傾向が見て取れ、周回を重ねるにつれてペースが落ちていったのだ。
アルピーヌに大きなデグラデーションが出るのはフリー走行2回目(FP2)でも見られていた傾向で、それはレースでも同じだった。下のグラフが、フリー走行2回目でのロングランのグラフであり、アルピーヌのデグラデーションの大きさが見て取れる。
2022年F1第6戦スペインGP FP2ロングランペース分析
Photo by: Motorsport.com / Japan
一方アルファタウリも、フリー走行では厳しいデグラデーションに見舞われていた。これにより、決勝レースは厳しいのではないかとの見方がなされたわけだ。
しかし実際には前述の通り、アルファタウリのデグラデーションはアルピーヌより小さくなった。これは、グラフを見比べれば一目瞭然。これによって、対等に戦うことができたのだ。
もちろん、前を行く複数台のマシンがリタイアしたり、後退したことの恩恵を受けた入賞だったと言うこともできるだろう。とはいえFP2から決勝に向け、チームと角田自身が取り組んだことが功を奏したとも言える。
チームのテクニカルディレクターであるジョディ・エジントンは予選後、「エンジニアたちは、レースに向けて改善点を探し続ける。戦略を決める作業と共に、それが今夜の焦点になる」と語っていた。これが成功したということだろう。
さて次はモナコGP。角田とアルファタウリがどんな走りを見せるのか、注目である。
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