【PR】富山・高岡で作られる“日本製”ホイール。F1全マシンの足元を支える

2022年からホイールが18インチにサイズアップしたF1。そのホイールは、BBSのワンメイク。つまりすべてのF1マシンが履くホイールは、日本の富山県高岡市で作られ、世界を制するために戦うマシンを支えるため、旅立っていくのだ。

BBS 18インチF1ホイール

 70年以上にも及ぶ歴史を持つF1。その間、チームや自動車メーカーに留まらず、パーツサプライヤーという形でも数々の日本メーカーがF1に挑戦してきた。

 今も大小様々な日本製のパーツが、F1マシンのパフォーマンスを支える。そしてF1マシンの足元を支えるホイールもまた、日本製である。

 2022年からF1のホイールは、それまでの13インチから18インチに拡大。このタイミングでワンメイク化されることになり、入札で選ばれたのが、BBSのマグネシウム鍛造ホイールだった。

 BBSのF1への挑戦は、1992年にフェラーリに鍛造マグネシウムホイールを供給しはじめたのがきっかけ。ミハエル・シューマッハーがフェラーリで圧倒的強さを発揮した時代も、足元を支えていたのはBBSのホイールだった。

ミハエル・シューマッハーが最強を誇っていた時代、フェラーリはBBSのホイールを履いていた。

ミハエル・シューマッハーが最強を誇っていた時代、フェラーリはBBSのホイールを履いていた。

Photo by: KotsuTimes

 このBBSの鍛造ホイールは、その全てが富山県の高岡市で作られる。しかも市販ホイールと同じラインで鍛造されているというから驚きだ。鍛造されたF1用ホイールはドイツへ向けて送られ、最終的な機械加工と塗装が行なわれて、F1チームに届けられる。

そのルーツは刀鍛冶に……鍛造とは一体何か?

 金属製品といえば、型に金属を溶かして流し込む鋳造や、素材となる金属を削って作る削り出しが一般的であろう。鍛造という加工法は、あまり馴染みがないかもしれない。

 この鍛造とは、金属を叩いて成形する方法。実はかなり昔から使われてきた金属加工法で、日本では刀鍛冶などがこれに当たる。熱した玉鋼を槌で叩き、刀を作る映像を見たことがある方も多くいらっしゃるのではないだろうか? 金属素材は叩いて鍛え上げることで内部の空間が潰れ、金属の繊維も細かく、均一になっていく……その結果、強く硬い金属製品に仕上がるというわけだ。

日本刀も、槌で叩くことで鍛錬。強い刀に仕上げていく。

日本刀も、槌で叩くことで鍛錬。強い刀に仕上げていく。

Photo by: BBS Japan

 F1マシンに限らず、自動車のホイールには大きな負荷がかかる。駆動力を路面に伝える際も、路面からの入力を吸収する際も、ホイールは欠かせない存在であり、その負荷に耐えるためのホイールには、高いレベルでの強度と剛性が求められる……鍛造はうってつけだ。

 ただ鍛造の優れた点はそれだけではない。”靭性”という特性を付与することもできる。この靭性とは、物質のしなやかさのこと。鍛造ホイールはしなやかに変形することで負荷を吸収し、破損を防ぐ。ただ強いだけではないのだ。

 BBSジャパンの技術部部長である村上貴志は、「鋳造がおにぎりなら、鍛造はお餅みたいなものです」と説明する。

「おにぎりは握っただけなので、お米の粒がそのまま残り、ボロボロと崩れやすいです。一方でお餅は、杵でつくことでお米の粒が潰れ、それぞれがくっつき合うような形になっています。そのためおにぎりのように崩れるようなことはなく、引っ張ると伸びます。それが鋳造と鍛造の違いとお考えいただけると、分かりやすいのではないかと思います」

「鍛造では、強度を維持した上で軽さを狙うことができます。そして、剛性を足し算として加えていくことができます。その上で剛性を上げていった方がいいのか、あるいは鍛造の特性である靭性を活かしてしなやかな味付けにした方がいいのか……そこはバランスを取っていくこととなります」

今まさに、12000tのプレス機でホイールが鍛造される瞬間

今まさに、12000tのプレス機でホイールが鍛造される瞬間

Photo by: KotsuTimes

 BBSの工場には、山のように大きなプレス機が所狭しと並んでいる。最大は1万2000トンの荷重をビレットと呼ばれる円筒形の金属の塊にかけることができるモノだ。これで複数回に分けてビレットを叩き、ホイールの形に造形していく……この過程が鍛造である。刀鍛冶における槌の役割を、現代ではこの巨大なプレス機が担っているのだ。これにより、ビレットの段階よりも強固でしなやかな特性へと生まれ変わり、超高性能ホイールの基礎が形作られるわけだ。

なぜメイド・イン高岡なのか?

 金属加工は、BBSの本社がある富山県高岡市の一大産業。約400年前、加賀藩主の前田利長が鋳物師を招聘したことを端に起こったと言われる銅器をはじめに、これまで様々な金属製品が生み出されてきた。今も日本の銅器の約90%がこの高岡で作られている。さらにそれより前、南北朝時代から刀工集団「宇多派」が高岡の越中福岡に拠点を構え、以後江戸時代までこの地で刀鍛冶を生業としてきた。

BBSジャパンの高岡本社・工場

BBSジャパンの高岡本社・工場

Photo by: KotsuTimes

 また富山には立山連峰がある。この立山連峰には豊富な水資源があり、斜面も急である。つまり、水力発電に活かしやすいわけだ。こういった自然由来のエネルギー源を活かして、アルミ製品や素材を作る会社も、富山県内には数多く存在する。

 歴史的にも地理的にも、富山そして高岡という土地は、金属加工が根付いている。そんな地で、世界最高峰の自動車レースのホイールが作られているというのは、ある意味自然の流れだったのかもしれない。

 村上部長はさらに、高岡の人たちの気質も、精緻な金属加工や、超高性能ホイールが生まれてきた背景にあるのではないかと語る。

BBSジャパン技術部部長の村上貴志

BBSジャパン技術部部長の村上貴志

Photo by: KotsuTimes

「そういうモノづくりには、北陸の人たちの気質が合っていたのかもしれません。この地域の人たちは、真面目なんですよ。コツコツと物事を詰めていく、職人気質が強いと思います」

 そう語る村上部長も、越中福岡出身。改めて北陸の地は、極めた物を作る上で最適な土地だと語る。

「私のルーツでもあるこの北陸は、じっくり物事をやれる環境が整ったエリアではないかと思います。伝統工芸も当たり前のように残っていますし、この地で仕事ができて良かったと思います。海も山もあるし、街もある。全てがほどよい距離にあります。ここは、ワークライフバランスがとりやすい地域でもあると思います」

BBSが目指す究極のホイール

 世界最高峰のF1のホイールを手がけるBBS。それが究極の形であるようにも思えるが、村上部長はまだまだやるべきことがあると言う。それがBBSが拘る”美しさ”である。

「BBSとしては、美しさに拘っています。私の究極は、日本刀と同じレベルを目指したいということです」

日本刀は美しく、そして強い。究極の金属加工品とも言える

日本刀は美しく、そして強い。究極の金属加工品とも言える

Photo by: BBS Japan

 村上部長はそう説明する。

「機能美を極限まで追求したホイールを作りたいんです。高い性能があり、その性能に裏付けられた美しさが備わっているホイール……それができれば、もう私にはやることがないかもしれません」

「各年代でそれなりのことはやれてきたと思いますが、まだやるべきことがあるように思います。超超ジュラルミンのホイールや、FI-Rではこれまでとは違う造形を実現することはできました。それはひとつの答えかもしれませんが、まだ何かあるんじゃないかと思います」

「日本刀と同じレベルって何か……それは今も答えが出ていません。日本刀って、無駄なところがなく、ひとつひとつに意味があります。鍛造に拘っている以上、そういうところを目指したい。それができれば、周りよりも一歩高みに登れるような気がします」

「BBSとしての究極としてどこを目指すかというのは、永遠のテーマだと思います。それを自問自答し、今後何かを見出せれば、技術者としても社会人としても、良い人生だったと思えるのではないかと思います」

【リンク】BBS Japanの公式WEBサイトはこちら

 

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