F1分析|アロンソ、ロングランでも最速。しかしデグラデーションはテストの時よりも激しくなった……当然レッドブルも高値安定
2023年のF1が開幕し、バーレーンGPの初日が終了。そのフリー走行2回目では各チームがロングランを実施し、アストンマーチンとレッドブルが速さを見せた。またロングランなら、フェラーリも悪くない。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
アストンマーチンのフェルナンド・アロンソが、F1開幕戦バーレーンGPのフリー走行2回目で、トップタイムだけではなく印象的なロングランペースも記録。しかし、テスト時よりもデグラデーションが大きいのが気になる。一方、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、ロングランでもアロンソに次ぐ2番手だったが、デグラデーションの小ささは大きな武器になるだろう。
2023年のF1が開幕し、バーレーンGP初日の2セッションが終わった。その中でも、特に重要なのはFP2である。
バーレーンGPの予選と決勝は、日没後の18時から行なわれる。これに対し、FP1とFP3は、まだ日差しが照りつける日中の時間帯での走行。予選や決勝とは大きくコンディションが異なる。ただFP2の開始時間は18時。週末の準備を進める上で、特に重要なセッションがこのFP2である。
そのため各チームは、セッション前半に予選想定アタックを行ない、後半には決勝を見据えたロングランを行なう。これを見ていくと、今回の勢力図がかなり見えてくる。
2023年バーレーンGP FP2レースペース分析:ソフト
Photo by: Motorsport.com / Japan
このFP2のロングランで最も速いラップタイムを記録したのは、予選想定同様アストンマーチンのアロンソだった。
アロンソはソフトタイヤを履き、1分36秒2というかなり素晴らしいラップタイムでロングランを開始。3周にわたって1分36秒台を計測した。ただその後は、1分37秒台へとペースが下落し、最後1分37秒914で10周のロングランを終えた。1周あたりのデグラデーションは0.184秒と大きなモノである。
先日行なわれたプレシーズンテストでの結果とは、このデグラデーションは大きく異なるものだ。テストでのアロンソは、走れば走るほどペースが上がっていくというロングランを走っていた……つまり、デグラデーションはゼロだったのだ。
ベースとなるペースこそ良いものの、このデグラデーションの値は実に気になる。これが本来のペースなのか、あるいは何か特別なことを試していたのか……その答えは決勝レースで明らかになるだろう。
コース上でそのアロンソのすぐ前を走っていたのが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンだ。そのフェルスタッペンの方が、ロングランでは安定していたように感じられる。
フェルスタッペンは1分37秒台後半でロングランをスタート。ただその後、1分36秒827までペースを上げ、その後1分37秒519でロングランを終えた。走り出しこそアロンソの方がペースは良いが、途中でフェルスタッペンとペースが逆転したということになる。1周あたりのデグラデーションの値は0.088秒と、アロンソの半分程度だった。
ここから判断すると、まだ燃料搭載量は分からないとはいえ、決勝での最有力候補はレッドブルというように思える。フェルスタッペンのチームメイトであるセルジオ・ペレスのレースペースも優れている。ただ、アストンマーチンがかなり良いポジションにいるのは間違いない……テストでの速さはホンモノだったと言っていいだろう。
これに割って入るかもしれないのがフェラーリだ。フェラーリのシャルル・ルクレールは、「今のフェラーリにポールポジションを争う力はない」と発言しているが、ポールポジションを逃したとしても、レースペースは優れている様子で、決勝での逆転の可能性は残っている。
フェラーリはテストでは、激しいデグラデーションに苦労し、上位とは大きな差があるように見えた。しかし開幕に向けて改善してきたのかもしれない。
ルクレールは1分37秒542を皮切りとした7周の連続走行。最後は1分37秒596だった。つまり走り出しよりも最後のラップの方が速かったということ……見た目のデグラデーションはゼロということだ。テストでの傾向とは大きく異なっている。そういう意味で、上位争いに加わってくる可能性は十分にある。
ただその他チームは群雄割拠。いずれも、大きなデグラデーションの傾向を示している。この中にメルセデスもいるのが心配なところ。ルイス・ハミルトンも「昨年より後退しているかもしれない」と発言するなど、このメルセデスの立ち位置が実に気になる。
2023年バーレーンGP FP2レースペース分析:ミディアム
Photo by: Motorsport.com / Japan
ちなみに、ピレリの発表によれば、タイヤコンパウンド間のパフォーマンス差は、ソフトとミディアムで1.2秒、ミディアムとハードで0.2秒だという。FP2のロングランペースの傾向を見ると、デグラデーションではソフトもミディアムもハードもあまり大差ないように思える。そう考えれば、ソフトタイヤを多用する戦略を、多くのチームが採ってくる可能性が考えられる。
ただデグラデーションを加味すると、決勝での1ストップ戦略は難しいかもしれない。最低でも2ストップ3スティント、うち2スティントはソフトタイヤを使うという戦略が中心になるのではと想像できる。
レッドブルやアストンマーチンがテストの時と同じようなペースとデグラデーションの傾向を発揮できるのなら、1ストップでも行けそうだが……。
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