F1分析|タイヤマネジメントの面でレッドブルが優位? しかしそれ以外は大混戦……どうなるか分からないサウジアラビアGP
サウジアラビアのジェッダ市街地サーキットで始まったF1第2戦サウジアラビアGP。初日FP2のロングランペースを分析したが、現時点では勢力図を決定づけるのは難しいと言えそうだ。

F1第2戦サウジアラビアGPでも、開幕戦に引き続きレッドブル勢が速さを見せそうだ。
サウジアラビアGPの初日、2回のフリー走行が実施された。FP1はまだ日が照ったコンディション下で行なわれたが、FP2は日没後の現地時間20時から……つまり走行時のコンディションが大きく異なるわけだ。予選と決勝は20時から行なわれることになっているわけで、FP2は、FP1や土曜日の昼間に行なわれるFP3に増して重要なセッションである。
このFP2でトップタイムだったのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペン、3番手にもチームメイトのセルジオ・ペレスがつけた。そしてその間に割って入ったのは、アストンマーチンのフェルナンド・アロンソだった。つまり、開幕戦バーレーンGPの表彰台と同じ顔ぶれがトップ3台を占めた。
確かに予選に向けては、このリザルトが直結する可能性がある。しかし決勝に向けて重要なのは、セッション後半に各車が打ち込んだロングランである。このロングランを見ると、どうも昨年とは様相が異なるようだ。
昨年のサウジアラビアGPは、ソフトタイヤのデグラデーション(性能劣化)が激しく、決勝では各車とも使うことができなかった。ミディアムタイヤでスタートし、ハードタイヤに交換するという1ストップでレースを走り切る戦略が主流だったのだ。しかし今年に関しては、どうもソフトタイヤを使うことができそうだ。

F1サウジアラビアGP FP2ロングラン分析:S
Photo by: Motorsport.com / Japan
サウジアラビアGPの初日FP2では、10台のマシンがソフトタイヤでロングラン。その平均デグラデーションは1周あたり0.124秒だった。昨年は1周あたり0.3秒以上のデグラデーションがあったのと比べると雲泥の差だ。またミディアムタイヤもそれなりにデグラデーションが大きい(1周あたり0.104秒)ことを考えれば、ソフトタイヤを使わない手はないだろう。
そのソフトタイヤでのロングランで最速タイムを記録したのは、アルピーヌのピエール・ガスリーで、以下アストンマーチンのランス・ストロール、フェラーリのカルロス・サインツJr.と続いた。これを考えれば、初戦とは勢力図が変わるかもしれない……と思ってしまうかもしれないが、実はタイムこそまずまずながら、かなり印象的なソフトタイヤでのロングランを行なったドライバーがいた。それがフェルスタッペンだ。
フェルスタッペンは全ドライバー中最も長い距離、13周をソフトタイヤで走破。そして他車が0.1秒/周程度のデグラデーションを記録する中、フェルスタッペンは一切ペースを落とすことがなかったのだ。これは他車にとっては大きな脅威となるだろう。
絶対的なペースが他のチームと同じだったのは、他車のペースが上がったからなのか、それとも燃料搭載量が異なっていたからなのかは、現時点では分からない。フェルスタッペンは「デグラデーションの少ないサーキットでは、ラップタイムが非常に近くなる」とコメントしているが、果たしてどうだろうか?
ただフェルスタッペンのチームメイトであるペレスは、ミディアムタイヤでロングラン。このペースは、他車を圧倒するモノだった。

F1サウジアラビアGP FP2ロングラン分析:M
Photo by: Motorsport.com / Japan
走り始めこそライバルと同じペースだったペレスだが、走れば走るほどペースが上がっていった。つまりデグラデーションはやはりマイナスということである。これを考えれば、レースでは次第にライバルを引き離していくということになりそうだ。
心配なのはアルファロメオとハースだ。この2チームは、FP2のロングランではライバルから大きく遅れを取るペースであった。特にアルファロメオは、開幕戦バーレーンではトップ4チームに次ぐポジションでフィニッシュしたチームである。そんなチームがロングランでも、アタックラップでも下位に沈んでいる可能性があるということは、それだけ今季の中団グループが大混戦だということの証拠であろう。
その他の7チームは、ロングランのペースではまさに接戦。FP2でのベストタイムでも、4番手エステバン・オコン(アルピーヌ)から19番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)までが、1秒差の中にひしめき合っている。ただそんな中で、アルピーヌはアタックでもロングランでも、今回は高い戦闘力を持っていそうだ。
2023年のF1第2戦サウジアラビアGPは、初日を終えた段階では、レッドブルが優位に立っている可能性の一端は見られたものの、その他の勢力図を占うのが難しい展開となっている。決勝まで、目が離せそうもない。
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