F1サウジアラビアGP決勝分析|アロンソもまだまだ”余裕残し”だった? ラッセルを10秒引き離すことができた可能性
F1サウジアラビアGPで3位に入り、2戦連続での表彰台を獲得したアストンマーチンのフェルナンド・アロンソ。レースペースを分析すると、まだまだ余裕残しであった可能性が見えてきた。
Fernando Alonso, Aston Martin AMR23, George Russell, Mercedes F1 W14
Sam Bloxham / Motorsport Images
F1第2戦サウジアラビアGPは、レッドブルのセルジオ・ペレスがポールポジションからスタートしてトップチェッカー……まさに完勝のレースだった。また、チームメイトのマックス・フェルスタッペンも、15番グリッドからのスタートながら2位フィニッシュと、ライバルをまったく寄せ付けない走りを見せた。
このレッドブルの強さは、レース中のペース推移を見ても明らか。レース中、レッドブルのふたりは終始後続よりも1秒以上速いペースで走行。ペレスはスタート直後こそアストンマーチンのフェルナンド・アロンソに前に出られるシーンもあったが、一度抜いてからはまさに盤石の形で50周を走り切った。
開幕戦の舞台であるバーレーン・インターナショナル・サーキットと、今回の舞台であるジェッダ市街地サーキットは、特性が大きく異なるコース。そのどちらでも圧倒的に速かったということは、この先もこの強さは変わらない……ということだろう。
またレッドブルに次ぐ2番手チームは、今回もアストンマーチンだった。ペナルティに関する紆余曲折はあったものの、フェルナンド・アロンソが2戦連続の3位表彰台獲得。レッドブルの強さ同様、このアストンマーチンの躍進も間違いないところだ。
アロンソのペースは、レッドブルの2台には太刀打ちできないものだった。しかし、メルセデスやフェラーリを圧倒している可能性がある。
F1サウジアラビアGP決勝レースペース推移
Photo by: Motorsport.com / Japan
上のグラフは、F1サウジアラビアGPの決勝レースペースの推移をグラフ化したものだ。レッドブルの2台(青色と水色のグラフ)が圧倒的なペースであることは一目瞭然。ただアロンソ(濃い緑色)のペースは、メルセデスのジョージ・ラッセル(黄緑色)やフェラーリのカルロス・サインツJr.(赤色)のペースとあまり変わらないモノである。
しかし、気になるコメントがあった。
アロンソはスタート位置がズレていたとして、5秒のタイム加算ペナルティを科され、ピットストップの際にそれを消化した。しかしレース後、正しくペナルティを消化しなかったとして、10秒のタイム加算ペナルティを科されることとなった。
気になるのはこの時のアロンソのコメントだ。
「ピットストップの後に35周もあったのに、ペナルティを適用することができなかった。彼らはこのペナルティについて、僕らに知らせる十分な時間があったはずだ」
「もしそれが知らされていたのなら、後続に11秒の差を築くことだってできたかもしれない」
アロンソが50周のレースをフィニッシュした時、ラッセルはその5.138秒後方でフィニッシュ。つまり、アロンソはあと6秒リードを広げることができたはずだと言うのだ。そんなことができる可能性は、本当にあったのだろうか?
上のレース推移のグラフを見ると、たしかにその可能性がある傾向が見てとれる。それが赤い枠で囲った部分(34周~49周)だ。
アロンソは34周目に1分33秒220を記録するなど、着実にペースを上げていた。しかし35周目には、1分33秒514を計測。0.3秒ラップタイムが落ちた。その後はこの1分33秒514をベースにペースを上げている。
その後40周目には突如大きくペースを上げて1分32秒768を計測し、再びペースを1分33秒台に落としてレース終盤へと向かった。
ここから推測できることは、35周目から39周目までの4周、そして41周目以降49周目までのアロンソは、タイヤマネジメントのためか、ペースをコントロールしていた節があるのだ。この周回数は合計14周。もし想像の通りペースを落としていたとすれば、1周につき0.3秒程度と推測できる……その合計は4.1秒。ラッセルとの差を11秒まで広げることができるかどうか微妙ではあるものの、限りなく10秒に近い差を築くことはできていたはずだ。
結果的にチームの抗議が実り、アロンソへの10秒のタイム加算ペナルティは取り消されることになったため、10秒差をつける必要はなかった。ただアロンソも、まだまだ余裕を残した状況で走っていたことが伺える。
レッドブルには及ばずも、現時点では絶対的な2番手チームであることは、間違いないようだ。
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