レッドブルとフォードの”業務分担”はどうなる? ホーナー代表「エンジンを我々、電動部分はフォードという単純な関係ではない」

2026年からはフォードと提携して開発するパワーユニットを使用するレッドブル。ホーナー代表はフォードの電動技術に期待したと言うが、その作業領域は単純に分けられるわけではないという。

Red Bull Racing Team Principal Christian Horner, Jim Farley, CEO of Ford

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、2026年からのパートナーに選んだフォードとの関係性について説明。フォードとの提携にはメリットしかないと語った。

 現在はHRC(ホンダ・レーシング)製のパワーユニット(PU)を使うレッドブル。しかし同チームのパワーユニット部門であるレッドブル・パワートレインズはフォードと提携し、新レギュレーションが導入される2026年シーズン以降のPUを開発していくことになった。

■フォードのF1での歴史を紐解く:

 これについてレッドブルのホーナー代表は、新レギュレーション導入までの3年間で、特に電動技術の面でフォードのサポートを受けると説明した。

「今後3年間、特に電動の部分で知識の”交換”が行なわれることになると思う」

 そうホーナー代表は語った。

「フォードは数十億ドルを投資して、市販車の一部を電動化している。そしてもちろん、バッテリーは2026年からのPUで重要な役割を果たす。我々にとってそれは、弱点になりうる領域だと感じていたんだ。しかしフォードとのパートナーシップにより、その技術を注入すれば、我々は弱点を抱えることなく、他のメーカーと対等に太刀打ちすることができると思う。フォードの規模と奥深さ、そして強さを考えればね」

「我々にとって今回のことは、戦略的な強化だと思う。フォードがいなくても、実現できたかもしれない。しかし、フォードが加わってくれたことは、我々を絶対的に強化してくれる。つまり彼らは、アプローチにおいて同じような考え方を持っているんだ」

 レッドブルはポルシェとの提携に向けて交渉していたこともある。しかしこれは結局破談となった。これについてホーナー代表は、フォードとの提携案とポルシェとの提携案は、まったく別のモノだったと説明する。

「全く違うものだ。今回のモノは、純粋な契約関係だ。ビジネスにおける株式の譲渡や、支配権の変更はない。つまり、双方が望んでいたような非常に率直な関係なんだ」

「この関係は、フォードがF1に復帰する上での鍵だった。彼らはPU全体をゼロから作る必要がないため、彼らにとってもF1に戻る上で良い形だったんだ。そして我々にとっては、彼らの知識を活用することによって利益を得られる。彼らの研究開発能力が、どれほど深いのかは分かっている……彼らはEVの商品ラインアップのため、ハイブリッド技術に投資をしたのだからね」

 ホーナー代表曰く、フォードとの話し合いと並行して、ホンダやポルシェと話し合うことも検討したという。しかしそれでも、フォードとの交渉は早々にまとまったと明かす。

「基本的にはすぐにまとまった。我々はフォードとの話し合いを始め、ポルシェやホンダとの話し合いも検討していた」

 そうホーナー代表は言う。

「そして両者の間には、すぐに相乗効果が生まれた。お互いが歩んでいる道に進みたいが、それぞれが補完し合いたいという双方の欲求も生まれた。そういう意味で、最終的に交渉をまとめるのは非常に簡単だった。このパートナーシップは、フォードの戦略的な部分であり、そしてレッドブルのパワートレイン事業を完全に補完するモノだと思う」

「このパートナーシップにより、伝説的なブランドをF1に復帰させ、米国という重要な市場を切り開いていくことに役立つ。そして我々にとっては、フォードが自社製品のために行なってきたかなりの量の研究開発にアクセスすることができる」

 では2026年からの”レッドブル・フォード・パワートレインズ”で作るPUは、内燃エンジン(ICE)はレッドブルで、電動部分はフォードで担当するように分かれるのか? ホーナー代表曰く、そう単純な話ではないという。

「それほど単純ではないと思う。それは、企業間の技術協力という話であり、燃焼技術に関しても、我々が恩恵を受けることができる部分があるかもしれない。だからこれは、情報とアイデアの交換ということだと思う」

「特に2026年に向けて存在する課題を考えると、フォードで何千人もの人が働いているということは、研究開発においてメリット以外の何者でもないだろう」

 
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