「これがマックス……彼を応援するなら、無線には我慢しよう」オランダ出身の元F1ドライバー、ヤン・ラマースがフェルスタッペンを語る

オランダ出身の元F1ドライバーであるヤン・ラマースは、フェルスタッペンが無線で暴言を吐くことについて「それもマックスだ」と語った。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB20, Lewis Hamilton, Mercedes F1 W15, collide

Max Verstappen, Red Bull Racing RB20, Lewis Hamilton, Mercedes F1 W15, collide

写真:: Andy Hone / Motorsport Images

 元F1ドライバーであり、ル・マン24時間レース優勝経験もあるヤン・ラマースは、今季前半戦に物議を醸したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の無線交信について、「ドライバーとしてマックスを愛しているなら、これを我慢しなければならない。これもマックスだ」と語った。

 今でこそフェルスタッペンがF1界最強ドライバーの名をほしいままにしているが、オランダ人ドライバーは長くF1で活躍できなかった。父ヨス・フェルスタッペンだけがF1の表彰台を経験した唯一のオランダ人であり、優勝者はゼロ。マックス・フェルスタッペンが勝った2016年スペインGPが、オランダ人によるF1初優勝であり、このマックス・フェルスタッペンがオランダ人唯一のグランプリウイナーである。

 ただ他のレースで実績を残しているドライバーはいる。そのひとりがヤン・ラマースである。ラマースは散発的ながらF1の決勝レースに23戦出走し、一度も入賞を果たせなかったが、1988年のル・マン24時間レースでは総合優勝を経験。全日本F3000でも勝利を手にしている。今では、F1オランダGPのスポーティングディレクターを務めている。

左がヤン・ラマース

左がヤン・ラマース

写真: Essay Produkties - Chris Schotanus

 そのラマースが、無線で暴言を吐くマックス・フェルスタッペンについて私見を語った。

 フェルスタッペンは無線で度々暴言を吐いてきたことが知られている。特にハンガリーGPでは、エンジニアを罵るような発言があり、議論の的となった。

 これについてラマースは、聴きたくはない内容ではあるものの、フェルスタッペンを応援するなら仕方のないことだと語った。

「レースファンであり、レースを見ているだけの消費者だったら、マックスのそんな姿を見るのは嫌だ。多くの人も残念に思っていると思う」

 そうラマースは語った。

「でもその一方で、それがマックスの原動力であり、我々が彼を高く評価している理由だ。しかし、原動力が強すぎることには、マイナス面もある」

「優れた勝者が、必ずしも最高の敗者になるわけではない。そしてもちろん、マックスはこのレース(ハンガリーGP)で多くの問題に対処しなければいけなかった」

「我々は本当に何を望んでいるのだろうか? 彼に原動力を与え、勝利のために全力を尽くしてほしいのだろうか? それとも結果には無関心で『まあ2位や3位でもいいや』という態度をとってほしいのだろうか?」

「もちろん、我々はそれを望んではいない。率直に言ってマックスがこんな風になるのは見たくないが、マックスをドライバーとして愛しているなら、それは我慢しなければいけない。これもマックスだ」

「誰もが、良い面と悪い面を持っている。今回のことを悪い面と言うべきかどうかは別として、バランスを考えれば、誰かを愛することはできる」

 一方でラマースは、ハンガリーGPでフェルスタッペンに対する、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼの回答は、適切ではなかったと考えている。

 フェルスタッペンはルイス・ハミルトン(メルセデス)との攻防の際、「ハミルトンがブレーキングゾーンで動いている」と無線で非難した。これに対してランビアーゼは、「子供っぽいよ」という言葉で応じた。

「あれはランビアーゼとしては良い判断じゃなかったね」

 そうラマースは言う。

「彼はいつも、もっと効果的な言葉を使う。そう言わせてもらう。違う意見を持っている人もいるかもしれないが、あの瞬間にマックスを苛立たせたことは、マックスにとっても、そしてレッドブルにとっても利益にはならなかった」

「マックスが正しかったかどうかはまた別の話だ。しかしランビアーゼは、別の方法でも対処できたはずだよ。たとえば、こう言うこともできたはずだ。『よしマックス。レースが終わったらこのことについて話そう』とね。私は、あのランビアーゼの行動が、素晴らしいものだとは思わなかった」

 

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