F1をもっと身近な存在に……DAZNのF1番組アンバサダーになったカープ女子“yu”にかけられる期待「初心者だからできることもある」

モータースポーツをもっと身近に、より多くの人に楽しんでもらいたい。DAZNがF1番組『Wednesday F1 Time』のアンバサダーを起用したのには、そういった想いがあった。

yu, DAZN『Wednesday F1 Time』ambassador

yu, DAZN『Wednesday F1 Time』ambassador

写真:: Kan Namekawa

 DAZNのオリジナルF1番組『Wednesday F1 Time』のPRアンバサダーに就任したyuさん。彼女はいったい何者なのか? そして、どんな役割を果たそうとしているのだろうか?

 2024年の上半期に、CHEERZを舞台に行なわれた『Wednesday F1 Time』のPRアンバサダーオーディション。DAZNとしては、このPRアンバサダーを通じてF1の魅力を伝え、その盛り上げに貢献しようというのが意図である。

 このことは、我々motorsport.com日本版も考えるところだ。もっと多くの人たちにF1をはじめとしたモータースポーツを知っていただき、少しずつでも楽しんでもらいたい。そうすることで、この業界がもっと盛り上がるはずだ。

 そのためには、新たなファン層を取り込んでいく必要がある。そのためには様々な方策が考えられるが、そのひとつが、より初心者に近い視点でモータースポーツの魅力を捉え、それを発信することではないだろうか。『Wednesday F1 Time』のPRアンバサダーとなったyuさんには、その役割が期待されている。

「私は最近まで、芸能活動をしていたわけでもなければ、モデル活動をしていたわけでもない人間です。普通にOLをやっていました」

 そんな彼女は、広島出身。コロナ禍でライブ配信しながら、プロ野球の試合を見ていたのが、ゆくゆくは今回のアンバサダーオーディションに参加したきっかけになったという。

「自分で何か表現することをしたいなと思っていたんです。ちょうどその頃にコロナ禍がひどくなり、時間もたくさんあったので、SNSを頑張ってみようと思いました。それで、ライブ配信を始めることになったんです」

「最初はリスナーさんとお話しするだけだったのですが、その中で私が広島東洋カープ好きだということの食いつきがよくて(笑)。カープ女子っていうのをメインに打ち出して、観戦配信みたいなことをやり始めました」

「コロナの影響で球場に足を運ぶこともできない頃だったので、みんなで一緒に野球を見ようと、そういう形にしたら、たくさんの方が集まってくださいました」

「その後東京に来て、スポーツに関わる仕事がしたいと思っていました。それで今回のアンバサダーオーディションの募集告知を見た時に、そこでお仕事させてもらう自分を想像して、ものすごくわくわくしたんです。それでチャレンジしてみたいと思いました」

■F1初心者だからこそ伝えられること

yu, DAZN『Wednesday F1 Time』ambassador

yu, DAZN『Wednesday F1 Time』ambassador

写真: Kan Namekawa

 しかしyuさんは、それまでF1に触れた経験はほとんどなかったという。それでも、DAZNのF1番組である『Wednesday F1 Time』のPRアンバサダーに挑戦してみようと思ったのはなぜなのか?

「OLをやっていた時、広島のアウディの販売店で働いていました。その時の営業の方の中にF1好きな人がいたんです。でも私は、DAZNに加入はしていて気にはなったものの、観たことはなかったんです」

 そう語るyuさんは、正直にF1に対して持っていた印象を語ってくれた。

「周りにはF1好きな人はあまりいませんでしたし、そういう状況で踏み込むのが難しいスポーツ……私にとってはそういうイメージでした。最初は、”クルマが走っているだけ”と思ってしまうようなこともありましたし、何がどうなっているのか分からなかったんです」

「オーディションの中でも、他の候補者の方の中にはもともとF1が好きで、ものすごく詳しい方もたくさんいらっしゃいました。投票してくださる方の中には、やっぱりF1に詳しい子にアンバサダーとしての活動をして欲しいという思いの方もたくさんいらっしゃったと思います」

「そこと私のギャップを埋めるのは、難しいと思いました。だから自分が勉強している姿とか、好きになっていく姿を見せていこうと考えました」

「今回のDAZNさんのオーディションは、新しいファンを獲得したいというところが大きいと思います。それに向けて自分ができることをやって、分からないことは素直に分からないと言えた方が潔いと思いました」

 yuさんは、さらに次のように続けた。

「身近じゃないというのが、一般の方がF1を見ない大きな理由のひとつだと思います。これまで私が好きになったスポーツは、見る機会が多かったスポーツだと思います。広島に住んでいましたから、月曜日以外は毎日野球をテレビでやっていました。毎日18時にはテレビの前に座ってカープの試合を見る、そういう習慣になっていたんです」

「それと同じように、F1を皆さんの習慣にする。そういうことができるんじゃないかと思っています。金、土、日は一緒にF1を見ましょう……そういう空間をまず作り出せたらと思っています」

「自分が好きになったF1を、どうして好きになったのかということから広めていくのが大事かなと思っていて、自分が実際に見たり感じたりしたことをどんどんアピールしていく場を増やしていくのが、今やりたいことです」

■女性のF1ファンを増やすきっかけにも!

yu, DAZN『Wednesday F1 Time』ambassador

yu, DAZN『Wednesday F1 Time』ambassador

写真: Kan Namekawa

 カープ女子である経験を活かして、新たな女性ファンを増やすためのアイデアも、yuさんから出てくるかもしれない。広島東洋カープは、女性のプロ野球ファンを劇的に増やした球団だと言われていて、”カープ女子”という言葉だけでWikipediaのページが作られるほどだ。同チームのグッズは、女性向けも含め豊富にラインアップされており、それがカープ女子の盛り上がりにひと役買ったと言われる。

「先日、銀座にあるユーロスポーツさんのお店にお邪魔したんですが、F1のグッズがめちゃくちゃ可愛いと思ったんですよ。そういうグッズを身に纏って、推し活みたいにドライバーやチームを応援できれば素敵です。そういうのって、女の子は絶対に好きだと思うんです」

「カープのグッズは、私も買いました。それを持っていることがステータスというわけじゃないですけど、それを着て球場に行きたい! そういう感じでしたね。F1の可愛いグッズを着て、鈴鹿に行きたい! そんな感じに絶対なると思います」

「しかもドライバーさんはみんなイケメンじゃないですか! ルクレールにジョージ、そしてノリス! みんなキラキラです。そういう人たちを応援に現地に行けるのって、とってもいいと思います。そして、彼らの彼女や奥様って、皆さんモデルさんだったり、すごくお綺麗じゃないですか。女性ファンが増える要素しかないなって思うくらいです!」

 今後yuさんはどんな活動をしていくのか? 『Wednesday F1 Time』の番組に合流するのはもちろんだが、それ以外にも様々な役割を担っていきたいと考えているという。

「ライト層を増やしていくのが、今の私たちの使命なんだと思います。なので、まずはSNSベースで色々発信していきたいと思っています」

「TikTokを最初に頑張っていきたいと思います。TikTokの方が、これまでF1に接点のなかった方に届けられる可能性が高いと思っています。一緒に楽しみましょうっていう発信ができたらいいなと思っています!」

 先日トヨタとプジョーは、東京タワーでWEC富士6時間レースの直前イベントを行なった。また鈴鹿サーキットもこの2年続けて、F1日本GPの直前に東京でイベントを行ない、日本GPの期間中には名古屋駅でもイベントを行なった。さらにモビリティリゾートもてぎも、秋葉原でMotoGP日本GPに向けたイベントを今年開催した。さらにレッドブルやホンダも、都内などでモータースポーツのデモ走行イベントを行なった。フォーミュラEの東京ePrixの際には、新宿やサーキット隣でも、関連イベントが実施された。

 これらはもちろん、既存のモータースポーツファンにとっても楽しめるものだ。しかしその一方で、ただ通りかかっただけの、これまでモータースポーツとの接点が希薄だった人たちにも、モータースポーツの魅力を伝える効果があるはずだ。モータースポーツをさらに盛り上げていくためには、今まで接点のなかった人たちに訴えかけていくことが必要不可欠である。yuさんの活動も、そのひとつになる可能性は十分にあるはずだ。

 モータースポーツをもっと身近に。

 
前の記事 エイドリアン・ニューウェイのアストンマーティンF1加入は、どう決まったのか?:その時系列を追う
次の記事 ニューウェイの存在が、チームに自信を植え付ける……アストンマーティン代表「もう勝てないような存在ではない」

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本