F1 オランダGP

F1分析|勝負の分かれ目はなかったけど……ノリスの圧倒的強さを、改めてグラフで検証する

F1オランダGPでのランド・ノリス(マクラーレン)の速さを、グラフで改めて示し、ご実感いただこう。

Lando Norris, McLaren F1 Team, 1st position, his father Adam Norris with the winners trophy

Lando Norris, McLaren F1 Team, 1st position, his father Adam Norris with the winners trophy

写真:: Andrew Ferraro / Motorsport Images

 F1オランダGPの決勝レースは、マクラーレンのランド・ノリスの圧勝に終わった。ドライバーズタイトル3連覇、オランダGPも3連覇中だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を、赤子の手をひねるように叩きのめした。

 本稿は、今回のノリスがいかに強かったのか……それを改めてグラフでご覧いただき、実感していただこうという趣向である。ノリスがあまりにも強かったため、このレースでは勝負の分かれ目となったポイントは無いと言える。

F1オランダGP決勝レースペース推移:ノリス、フェルスタッペン、ピアストリ

F1オランダGP決勝レースペース推移:ノリス、フェルスタッペン、ピアストリ

写真: Motorsport.com Japan

 上のグラフが、F1オランダGPの決勝レースでの、ノリス、フェルスタッペン、そしてノリスのチームメイトであるオスカー・ピアストリの3人のラップタイム推移をグラフ化したものである。

 これを見ていただいてまずわかるのが、各車ともレース中ずっと安定したペースで走っていたということ……つまりデグラデーション(タイヤの性能劣化)の傾向がほとんど見られなかったというわけだ。これを考えても2ストップを成功させるのは難しく、2ストップしたドライバー(メルセデス、アストンマーティン、角田裕毅)は、軒並みポジションを落としてフィニッシュすることになった。まあ、これは余談である。

 本題に戻ろう。レーススタートで先頭に躍り出たフェルスタッペンは、一気にノリスとの差を1秒以上に開き、DRS圏外に追いやった。これでフェルスタッペンは逃げ切りの体制に持ち込むのかと思いきや、ノリスには大いに余力が残っていた。

 デグラデーションが少なかったとはいえ、フェルスタッペンのペースは10周を過ぎた頃から若干減速。するとノリスが一気に襲いかかり、オーバーテイク完了。その後のノリスは、フェルスタッペンよりも1周あたり0.5〜0.8秒程度速いペースで走り、差を一気に築いていった。それがグラフの赤丸で示した部分である。

 ピットストップを行ない、2台ともハードタイヤに履き替えた後も、ノリスのペースはフェルスタッペンよりも1周あたり0.5秒ほど速かった。フェルスタッペンが太刀打ちする術は、もはや残っていなかったのだ。

 興味深いのは、グラフ上に青丸で示した部分だ。周回遅れを追い抜かねばならないという状況もあったはずだが、ノリスの平均的なペースがそれまでに比べると若干低下しているように見える。これはひょっとすると、ノリスが最終ラップにファステストラップを狙うことを見越し、ペースを落としてタイヤを労わっていたのではないかと想像したくもなる。そして使い古したはずのハードタイヤ、しかも最終ラップでファステストラップを記録し、ノリスは26点フルポイントを手にした。

 ノリスは「まだマックスとは70ポイントの差があるんだ。だから今、(タイトルについて)何か考えるのは馬鹿げている」と語っているが、虎視眈々と大逆転に狙いを定めているのは、間違いないだろう。

 あとは今後、ザントフールトとは異なる特性のコースでどれだけのパフォーマンスを示すのかというところが気になる。もしコース問わず速さを見せることとなれば、本当に大逆転の可能性が出てくる。

 さて今回マクラーレンが速さを見せたが、ピアストリはフェラーリのシャルル・ルクレールに抑え込まれてしまったことで、表彰台を逃すことになった。ただ上のグラフの緑丸の部分を見ていただけるとお分かりいただける通り、ルクレールに抑え込まれるまでのペースは、ノリスのそれに匹敵していた。

 ルクレールに抑え込まれたのは痛かったが、なんとか攻略することができれば、十分に1-2フィニッシュの可能性も見えていた、そんなオランダGPだったと言えよう。

 

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