F1 日本GP

佐藤琢磨“校長”、初めてのF1公式セッションに挑む”教え子”岩佐歩夢にエール「俺の教え方が良かったね! とにかく楽しんでほしい」

F1 Tokyo Festivalでのトークショーに出演した後の岩佐歩夢を、佐藤琢磨が激励。スクール時代から、岩佐は「センセーショナルな生徒だった」と明かした。

Takuma Sato, Ayumu Iwasa

 六本木ヒルズアリーナで行なわれている『F1 Tokyo Festival』のトークショーに出演した岩佐歩夢を待ち構えていたのは、佐藤琢磨だった。佐藤は、今週末の日本GPで初めてF1公式セッションを走ることになる岩佐に、エールを送った。

 岩佐は2019年の鈴鹿サーキット・レーシングスクール(SRS/現ホンダ・レーシングスクール鈴鹿)を主席で卒業してスカラシップを獲得。その後、フランスF4、FIA F3、FIA F2と着実にステップアップを果たし、今季はスーパーフォーミュラに参戦しつつレッドブルF1のシミュレータ作業を担当。そして、今週末行なわれるF1日本GPのFP1でRBのマシンを走らせることになった。

 岩佐がSRSで学んだ2019年といえば、同スクールが佐藤琢磨”校長”になったまさに1年目。つまり校長先生と教え子……という間柄のふたりである。

「やっぱり俺の教え方がよかったからかなぁ!」

 佐藤はそうおどけると、さらに次のように続けた。

「本当に嬉しいですね。感慨深いところもあります。こういうのは本当にタイミングもありますからね」

「歩夢はセンセーショナルな生徒だったので、この生徒は上までいくだろうと思った。スカラシップを獲ってすぐにフランスF4に行きましたが、当時はそれも規定路線ではなかった。でも、僕たちとホンダさんとで話して、そういう形になりました」

「ここまであっという間に来てくれたのは、嬉しいですよ。それこそ、ホンダさんがずっと目指してきた、カートからF1へという道ですから。育成と言っても、結局は選手自身の素材が良くないとダメですが、その選手が頑張れる時にそれをサポートできる体制を作ってきました。それがまさか日本GPでFP1に乗れるなんてね」

「これも、彼がシミュレータ作業で実力を示してきたから実現したんだと思います。実戦の戦力として使ってもらえる……プロのドライバーとして需要があったということです。本当に素晴らしいですよ」

 岩佐も、佐藤“校長”に、SRSを卒業した後もサポートを受けてきたと明かす。

「いつどんな時でも、親身になって色々な相談に乗っていただきました。自分の中で本当に支えになっていると思います」

 そう岩佐は言う。

「スクール時代にも、もちろん色々教えていただきました。他の講師の皆さんにも、走りだったり、レーシングドライバーとしてどうあるべきか、勝つためにどうすべきかというところを教えていただきました」

Takuma Sato, Ayumu Iwasa

Takuma Sato, Ayumu Iwasa

写真: Motorsport.com / Japan

 岩佐は、FP1の走行に向けて、プレッシャーはあまり感じていないという。

「先日、スーパーフォーミュラの時には緊張していました。ただ、今回のFP1に関しては、プレッシャーとか緊張というのは正直大きくはないです」

「やるべきことはハッキリとしてますから。今回はしっかりデータを取るというのが大きなポイント。それがシミュレータで僕がやっていることと一緒であればいい。チームからも、シミュレータでやっていることをリアルでもしっかりやっていけば十分だと言われています。だからプレッシャーとか、緊張というのはないですね」

 冷静にプログラムを消化していくと語る岩佐に佐藤は「エライ! 俺だったら絶対にタイムを出しにいっちゃう(笑)」と語る。佐藤にとっての初めての公式セッションは、F1デビュー戦となった2002年オーストラリアGPのFP1。その時の心境について尋ねると、次のように明かした。

「その時もプログラムありきだったんですが、ドキドキワクワクも大きかったですよね。でも鈴鹿に戻ってきた時の公式練習1回目は、やっぱり緊張感がありましたね。1年間やってきても、良い意味の緊張感がありました」

「歩夢はもうチームにも溶け込んでるし、シミュレータを通じて作業をやってきて、アブダビでも走ってる。とにかく楽しんでもらいたいですよね。こんなことはアドバイスするまでもなく、本人が100%分かってる。集中して、チームのためにプログラムをやると。それが結局自分の評価となって跳ね返ってくるわけですから」

「とにかく変なトラブルとか天候じゃなければいいけどね。FP1を目一杯走れないというような状況がなければいいですね。あとはもう、楽しんでほしいです」

 

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