分析

F1 日本GP

平川亮がハース移籍に至った背景を考察。目指していた”F1レギュラーシート”への最短距離は、アルピーヌではなくなった?

平川亮は今年の初め、F1レギュラーシートを目指すのには「一番それに近い」と、アルピーヌ加入を決めた経緯を語っていた。しかしわずか3戦でハースへの移籍を決断。何かが起きているのは間違いない。

田中 健一

編集: 2025/04/08 2:30

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Ryo Hirakawa, Alpine reserve driver

Ryo Hirakawa, Alpine reserve driver

写真:: Kan Namekawa

 平川亮が、F1第4戦バーレーンGPからハースF1チームのリザーブドライバーを務めることが、F1第3戦日本GPの決勝レース翌日に発表された。アルピーヌのマシンを走らせた僅か3日後…… 一体何があったのか?

 平川は昨年までマクラーレンのリザーブドライバーを務め、最終戦アブダビGPではFP1走行を担当。F1公式セッションデビューを果たした。そしてその直後に行なわれたアブダビでのポストシーズンテストではハースF1を駆り、今季はアルピーヌのリザーブに就任。そして日本GPで走った後、今度は再びハースF1入りということが決まった。アルピーヌF1チームのウェブサイトに掲載されているリザーブドライバーのラインアップからは既に平川の名前は消されているものの、ハースから発表があった際にはまだアルピーヌのサイトには名前と写真は残ったままになっていた。それを考えると、いかに急遽の決定だったかが想像される。

 ハースは昨年秋にTOYOTA GAZOO Racing(TGR)とテクニカルパートナーシップを締結しているため、TGRドライバーの平川をリザーブドライバーとして起用するのは自然なことである。マシンにはTGRのロゴが掲げられている。

 そういう意味では、逆に平川がアルピーヌに加入したことの方が意外だったとも言える。

 アルピーヌ入りが発表された直後の今年1月、平川はmotorsport.com日本版の取材に対して、次のように語っていた。

関連ニュース:

「レギュラードライバーとしてF1で走るのが、僕の一番の目標です」

「一番のキーになったのは、モリゾウさん(トヨタ自動車の豊田章男会長)が、僕がレギュラードライバーとして乗らなければならないと考えて下さったことです」

「そこに向けて、加地さん(トヨタの加地雅哉TGRグローバルモータースポーツディレクター)にも色々と探してもらった結果、アルピーヌが一番それに近いということで、今年はアルピーヌのリザーブドライバーになりました」

 平川とTGRが目指すのは、あくまでF1のレギュラーシートである。その最短の道として、当初はアルピーヌを選んだわけだ。

 しかしその後、昨年途中にウイリアムズから電撃的なF1デビューを果たしたフランコ・コラピントが、平川と同じようにアルピーヌのリザーブドライバーとして起用されることになった。この他、ポール・アーロンとクシュ・マイニも、アルピーヌのリザーブドライバーである。さらに、シーズン序盤にシートを失うのではないかと言われていたジャック・ドゥーハンも、今季になってからはその評価を取り戻しているとされる。そういう意味でも、平川とTGRは「F1レギュラーに向けての最短距離」はアルピーヌではないと判断したということであろう。

 なお平川は今週末のバーレーンGPを皮切りに、ハースのマシンで今年中に4回フリー走行1回目を走ることになるという。現在のF1では各車両ごとに年間2回、ルーキー(F1参戦2戦以下のドライバー)起用が義務付けられている。チームに換算すれば年間4回……つまりこの全てを、平川が担当するわけだ。

 ハースはここ数年、フェラーリの若手ドライバーを預かり、F1の経験を積ませるという役割も担っている。その筆頭が今季レギュラードライバーを務めるオリバー・ベアマンであるが、平川が4回すべてのFP1走行を担当することになったため、フェラーリの若手に経験を積ませるという役割は果たしにくくなるだろう。なおフェラーリは、バーレーンGPの際に期待の若手であるディノ・ベガノビッチをFP1で起用することを発表している。

 ハースとTGRが、マシンの共同開発に乗り出したり、ハースのマシンのパフォーマンス向上に影響が出るのはまだ先だと、ハースの小松礼雄代表もTGRの加地ディレクターも語っている。平川のリザーブドライバーとしての加入は、その関係強化の一環なのか、そしてハースとフェラーリの関係はどうなるのか? 今後の動向に注目したい。

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