【海外F1記者の視点:角田裕毅の2025年の評価】得るモノも多かったが、失うモノが大きすぎた……レッドブル昇格という”毒杯”
角田裕毅は、2025年シーズン途中にレッドブル昇格した。得たモノは多かったものの、同時に失うモノも多かった。彼のF1キャリアは、この先どうなるのか?
Yuki Tsunoda, Red Bull Racing
写真:: Peter Fox
レッドブル育成の若いドライバーがメインチーム……つもりレッドブル・レーシングに昇格する際には、あるパターンがある。彼らは他のドライバーがうまくいかなかったポジションだったとしても、自分ならば成功できるという自信を見せ、結局毒杯を飲まされてしまうというものだ。
レッドブルは2025年のドライバーラインアップを決めるにあたり、経験豊富な角田裕毅ではなく、まだフル参戦の経験すらないリアム・ローソンをマックス・フェルスタッペンのチームメイトとして選んだ。首脳陣は、それまでローソンが走った11戦のパフォーマンスを見て、高いポテンシャルを秘めていると判断したからだ。
しかしローソンのレッドブルでの走りは、期待ハズレのモノとなった。最初の2戦で3回の予選(スプリント予選含む)を戦ったが、いずれもQ1敗退。開幕戦オーストラリアでは18番手、中国では2回とも最下位という状況であった。決勝での入賞など、程遠かった。
チームはこれで十分と判断。レーシングブルズで開幕2戦を戦い、光る走りを見せた角田に、レッドブルのシートを託した。
「レッドブルのマシンは、フロントのグリップが強いとよく言われます。個人的にはアグレッシブにコーナリングするマシンが好きで、以前はそういうセッティングに合わせてドライビングスタイルを調整していました」
角田は当時そう語り、レッドブルのマシンを乗りこなすことに自信を見せた。
「レーシングブルズのマシンは、伝統的にアンダーステア傾向です。最初は苦労しましたけどすぐに慣れ、最終的にはそれが僕の標準になりました。今はレッドブルのマシンの特性に再び適応しなければいけませんが、これまでの経験を考えると、それほど心配していないです」
シーズン途中で別のマシンに乗り換えたということを考えれば、フェルスタッペンに並ぶのは簡単なことではなかった。実際角田は、フェルスタッペンには大きな差をつけられることになった。
フェルスタッペンはシーズン後半に猛烈な勢いで追い上げたことで、ランキング2位。最終的にチャンピオンとなったランド・ノリス(マクラーレン)との差は僅か2ポイントであった。一方で角田は、27回の予選でQ1敗退が実に10回、Q2敗退も9回とあまりにも多すぎた。
予選結果が悪ければ、当然決勝レースの順位も苦しむ。角田は22戦で30ポイントしか獲得できなかった。ちなみに同じ期間にフェルスタッペンが獲得したのは385ポイントである。
なお角田は2025年に1386周を走ったが、そのうち8番手以内だったのはわずか230周しかない。アゼルバイジャンGPで6位、アメリカGPで7位と、好調な走りを見せた時も確かにあった。しかしレッドブルが「このシートに最適なのは角田だ」と判断するほどではなかった。
角田が自身のペース不足を説明できなかったことも、不可解だ。メディアとのやり取りでは、「奇妙」やそれに類する言葉が頻繁に使われた。
レッドブルは、レッドブルがやるべきことを実行した。角田は2026年、リザーブドライバーに降格することになったのだ。後任はレーシングブルズでF1デビュー1年目にも関わらず好結果を手にしたアイザック・ハジャーが昇格することになった。角田に追われる形でレッドブルのシートを失ったローソンは、レーシングブルズの降格させられた後は勢いを取り戻し、2026年のシートを掴んだ。
角田は「これで終わりじゃない」と宣言し、再びグリッドに立つに相応しいドライバーであることを証明すると誓った。しかし現時点では、角田の将来は角田自身の手でどうにかできる状況ではないのかもしれない。
記事をシェアもしくは保存
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。