F1新車”雑感”解説2026「アストンマーティンAMR26」ホンダPU搭載1号車。さすがニューウェイの過激な1台……リヤサスペンションの狙いは?
ホンダのワークスチームとなったアストンマーティン。コースデビューはライバルよりも遅れたが、そのデザインは実に過激なモノであるように見える。
Aston Martin AMR26 Detail
写真:: Aston Martin Racing
アストンマーティン・ホンダ最初のF1マシン、AMR26がようやくサーキットを走った。テスト参加が遅れ、しかも初日は僅かに5周だけであったが、ようやく走行したということで、安堵した方も多いだろう。
さてそのAMR26は、さすがエイドリアン・ニューウェイが指揮したクルマというべきか、確かに過激なアプローチの数々が見て取れる。
まずノーズは短く、そこから下方に伸びるステーは、3枚あるフロントウイングのエレメントのうち、中央のエレメント(プライマリーフラップ)に接続されている(メイン写真赤丸の部分)。これはメルセデスが今季マシンW17で採ったのと同じアプローチであり、今後トレンドとなっていくのかもしれない。
ロールフープ部分には、懐かしのバイキングの角のようなフィン(メイン写真青丸の部分)が取り付けられている。おそらくこれは、リヤウイングに向かう気流を整えるというモノであろう。
そして特徴的なのは、サイドポンツーン(メイン写真緑丸)だ。幅こそ最大限までに広げられているが、上面は非常にキツく絞り込まれ、ダウンウォッシュを形成している。また下部の抉れ(アンダーカット)も過激で、非常に薄いサイドポンツーンとなっていそうだ。
Aston Martin AMR26 Detail
写真: Aston Martin Racing
驚くのは、サイドポンツーン前方の開口部の小ささだ。この開口部から、マシンを冷やすための気流を取り込むのだが、これが非常に小さくなっている。そしてその下端が前方に伸びた、受け口型の開口部となっている。
他のチームは、このサイドポンツーンを小さくするためか、ロールフープ部分のインダクションポッドを大きくし、その内部を三分割して冷却様の気流を取り込んでいるように見える。しかしこのAMR26はその傾向もない。
つまりそれだけ、ホンダの新しいパワーユニットが熱に強い、もしくは効率的に冷やすことができるモノになっているのかもしれない。まあ今回走ったAMR26が無塗装カーボン地のままの車両だったので、他の開口部が確認できなかっただけかもしれないが……。
なおサイドポンツーンを絞り込んだためか、後方に向けた排熱用の開口部は、エンジンカウル中腹に大きく開けられている。
Aston Martin AMR26 Detail vs Red Bull RB16B
写真: Aston Martin Racing
そしてこのマシンで実は一番過激な処理は、リヤサスペンションにあるかもしれない。前後ともプッシュロッドであるのは今季のトレンド通りだが、特筆すべきはリヤサスペンションの上のウイッシュボーン(アッパーウイッシュボーン)の取り付け位置である。
通常このアッパーウイッシュボーンは、ギヤボックスの上部に取り付けられる。しかしこのAMR26では、リヤウイングを支えるステーに、アッパーウイッシュボーンの後方のアームを取り付けている(写真赤丸の部分)。
今季のF1マシンはレギュレーション変更により、昨年まで許されていたビームウイングが使えない。その代わりを、このアームに担わせているということだろう。これによりマシン後部の空力、つまりディフューザーの効果を高めているのだろう。
これを実現するには、リヤウイングのステーに高い強度を持たせねばならないため、他のチームが追従するのは簡単ではないはず。この処理が正解ならば、アストンマーティンにとっては大きな武器になるかもしれない。
アストンマーティンは今季からホンダのパワーユニットを使うことになったのに伴い、ギヤボックスを自社開発するようになった。
この処理は以前も何らかのマシンがやっていたな……そんなことを思い調べていたら、2021年のレッドブルRB16Bも、リヤウイングのステー上部にアッパーウイッシュボーンが取り付けられていた(写真青丸の部分)。今回のAMR26はそのRB16Bよりも高い位置にアッパーウイッシュボーンの取り付け点があるように見える。
RB16のデザインを率いていたのはニューウェイ、PUはホンダ……AMR26と実に共通点が多い。
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