F1 バーレーンGP
F1分析|灼熱セパン! しかし意外と小さいようにも見えるタイヤの性能劣化。マクラーレン勢のペースにも要注目
デグラデーションが多いとされるバーレーンGPinマレーシア。しかしそのペースを分析すると、予想よりかなりデグラデーションは小さいようにも見える。
田中 健一
編集: 2026/10/03 3:11
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Oscar Piastri, McLaren
写真:: Michael Potts / LAT images via Getty Images
F1バーレーンGPが、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで始まった。中東情勢の悪化に伴った代替策とはいえ、別の、しかも遠い国である国のグランプリが行なわれるというのは異例のことである。
そんなセパンでのF1は、実に9年ぶり。他のモータースポーツをご覧になっているファンからすれば、スーパーGTやMotoGPでお馴染みのサーキットであるが、F1だけ見ているというファンからすれば、ずいぶんと久しぶりだなぁという印象ではなかろうか。あるいは最近F1を見始めたという方からすれば、”新しいサーキット”という印象かもしれない。
さてこのセパンの特徴は、高温多湿というコンディション。そのため、マシンにもドライバーにも厳しい。しかも路面の攻撃性が増しているようで、タイヤをさらに痛めつける。
初日の走行を見ていると、多くのドライバーが「デグラデーション(タイヤの性能劣化)が大きいよ!」と無線で報告していたが、FP2のロングランペースの推移を見てみると、少し違った印象も見えてくる。降る降ると言われていた雨がやってこなかったことで、それが見えたのは実にありがたい。
ピレリの説明によれば、このデグラデーションの要因は、タイヤが滑ることによって起きる熱劣化であるという。
タイヤにはそれぞれ、本来持つパフォーマンスを最大限に発揮できる温度が決まっている。その温度より低ければ硬すぎ、逆にその温度よりも高ければ柔らかすぎてしまうことで、目指したようなグリップ力を発揮できない。今回は温度が高すぎ、いわゆる熱劣化が起きているのだ。
ただFP2のロングランをみると、いくつか興味深い事象があるのがわかる。
F1バーレーンGPinマレーシア FP2ロングランペース分析(ミディアムタイヤ)
写真: Motorsport.com Japan
こちらはFP2での各車のミディアムタイヤでのロングランペースの推移を折れ線グラフで示したものだ。見やすいように、最も長い周回を走ったフェルスタッペンのペース推移(青の実線)にフォーカスしている。
フェルスタッペンはFP2で、ミディアムタイヤ1セットしか使わなかった。このセッションが終わった段階では2セットのタイヤを返却しなければならないため、1セットしか使わないというのはある意味「もったいない」ことである。しかしフェルスタッペンは、それを認識しつつも徹底してミディアムタイヤで走り込んだ。
確かに走り出しは、フェルスタッペンもその他のドライバーも、急激にペースが落ちている(グラフの折れ線が激しい右肩下がりになっている)……つまり激しいデグラデーションの兆候が見られたということだ。
ここだけをみると、とてもではないが長い距離を走れないように感じられる。しかしフェルスタッペンのペース推移を示した折れ線をみると、右肩下がりの傾向が徐々に緩やかになっていくのがお分かりいただけよう。
これはつまり、走り始めこそ崖のようにパフォーマンスが落ちていくが(グラフ赤丸の部分)、そのうち安定する(グラフ緑丸の部分)……ということを示しているのだろう。ちなみに最初の7周のデグラデーション値は0.338秒/周であるが、それ以降のデグラデーション値は0.169秒/周となった。
なお前述の通り、FP2終了後には2セットのタイヤをピレリに返却しなければならない。ミディアム1セットしか使わなかったフェルスタッペンは、いずれかのタイヤを新品のまま返却しなければならなかったのだが、彼がこの返却用新品タイヤとして選んだのはハードタイヤであった。そこから判断するに、フェルスタッペンはそれだけミディアムタイヤの可能性を確信したということであろう。
ちなみに初日の段階でハードタイヤを使ったドライバーはゼロであった。
さて、走れば走るほどデグラデーションのレベルが収まるのは、何もミディアムタイヤだけではない。実は最も柔らかいソフトタイヤでも、同じ傾向が見える。
F1バーレーンGPinマレーシア FP2ロングランペース分析(ソフトタイヤ)
写真: Motorsport.com Japan
こちらが各車のソフトタイヤでのロングランペースである。緑の実線で示したジョージ・ラッセル(メルセデス)のペースを見ていただくと、先にご紹介したフェルスタッペン同様、周回を重ねた後、ほぼデグラデーションがゼロになっているのがお分かりいただけよう(グラフ赤丸の部分)。
これを見る限りでは、ソフトタイヤも十分に使えるタイヤだということになろう。
なおこのソフトタイヤのロングランをみると、注目しておくべきひとつのチームがあるのもわかる。それがマクラーレンだ。
マクラーレンは、走行開始直後からいきなりペースを安定させており、デグラデーションの平均値が異常とも言えるほど小さい(グラフ青丸の部分)。燃料の搭載量が不明なため正確な比較は不可能であるものの、決勝に向けて注目しておきたいデータであるのは間違いない。
さてまもなくF1バーレーンGPinマレーシアの2日目の走行が始まる。雨の予報も出ているが、もし本当に雨となれば、初日のロングランのデータは、ドライになると予想されている決勝に向け、実に重要となろう。
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