F1 カナダGP
F1分析|批判殺到の新レギュレーションが生んだ絶好バトル……しかしメルセデスの強さは圧倒的。頑張れライバルたち!
F1カナダGPは、メルセデスの圧勝だった。実際の数字以上に、その差は大きそうだ。
田中 健一
公開日時: 2026/05/26 10:10
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Lewis Hamilton, Ferrari, Max Verstappen, Red Bull Racing, Andrea Kimi Antonelli, Mercedes
写真:: Peter Fox
F1カナダGPは、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが優勝。なんと初優勝から4連勝を決めてしまった。しかもレース中のレースペースを見ると、いかに楽勝であったかがよく分かる。
決勝レース前半、アントネッリはチームメイトのジョージ・ラッセルと、まさに一騎打ちを演じた。丁々発止の大バトル。実に面白いレース展開であった。
今季のレギュレーションは、あまりにも人工的で面白くない……そんな意見がこれまで声高に叫ばれてきたが、そんな批判などどこ吹く風。今季のレギュレーション変更がなければ生まれなかったバトルという側面も間違いなくあるはずで、それは認めるべきであろう。彼らの後方、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のバトルも素晴らしかった。
来季はエンジンと電動モーターの出力比を6:4に変更するなどという声も出ているが、今回のレースを見る限りはもう少し様子を見た方がいいのかもしれない。
もちろん、カナダGPの舞台であるジル・ビルヌーブ・サーキットの特性が生んだ名勝負でもあるし、各社のパワーユニットのマネジメントスキルが向上すれば、また違うレース展開となるかもしれないが。
さてそのラッセルとアントネッリは、バトルをしながらも後続をどんどん引き離していった。通常バトルをすれば、ペースは落ちてしまうのが必然である。にもかかわらず後続を引き離したというのは、今のメルセデスがいかに他を圧倒しているかがよく分かる。
F1カナダGP決勝レースペース分析
写真: Motorsport.com Japan
このグラフは、カナダGP決勝での、上位勢のレースペースの推移を折れ線で示したものだ。この最初のスティントを見れば一目瞭然。赤丸で囲った部分はバトルをしながらメルセデスの2台が、後続よりもかなり優れたペースで走っていたことを如実に示している。
しかし30周目、ラッセルが突如マシントラブルに見舞われてしまいリタイア。これでアントネッリはひとり旅となった。
最終的に2位ハミルトンにつけた差は10秒である。しかしこの10秒は、かなりマージンをもって走った上での差だったと言える。
最初のスティントから判断するに、メルセデスとフェラーリ以下のマシンとのペース差は、1周あたり0.5〜0.7秒ほどあった。しかしラッセルがいなくなった後のアントネッリのペースは、ハミルトンやフェルスタッペンとそれほど変わらないものだった。
これはおそらく、アントネッリが既に十分なリードを築いたため、ペースを落として走っていたということだろう。
その証拠に、52周目(グラフ青丸の部分)で1分14秒台前半、最終ラップ(グラフ紫丸の部分)で同じように1分14秒2を記録している。この最終ラップでアントネッリが記録したラップタイムは、このレースのファステストラップである。
他のドライバーのレースペースを見ても、レース終盤に向けてどんどんペースが上がっていたため、今回はタイヤに厳しくないレースであったのは間違いない。しかしそれでも、何かあればいくらでもペースアップできるぞ……とでもいうような余裕を、アントネッリは持っていたことになる。
アントネッリが4連勝したとはいえ、ラッセルとて互角以上のペースを持っているはず。今後のレースでも、このふたりによる激しいバトルが続いていくことだろう。チームとしては同士討ちのリスクがあるため頭が痛い部分もあろうが、どうか自由なバトルを許可してほしいというのが無責任な本音である。
とはいえ、他のチームとしては困った。今回のレースを見る限り、現時点でメルセデスに太刀打ちできるチームはないだろう。ここまでの5戦で、それがもっとも顕著に現れたのが今回のカナダGPだったと言えるかもしれない。
今後発表されるであろうADUO(追加開発&アップグレードチャンス)の効果、そして各チームが今後開発を加速させ、メルセデスとの差を縮めてくることを期待したい。そうすれば、メルセデス同士のバトルだけではなく、他チームも入り乱れた激戦が実現するかもしれない。今年のレギュレーションならば……。
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