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アロンソを襲ったシートの不快感と背中の痛み。原因はアストンマーティンAMR26の“リクライニング”構造?「少しやり過ぎたかもしれない」

フェルナンド・アロンソは、今年リクライニングを強めたシートポジションが原因で、カナダGPをリタイアした。

Fernando Alonso, Aston Martin Racing

Fernando Alonso, Aston Martin Racing

写真:: Alastair Staley / LAT Images via Getty Images

 F1カナダGP決勝をシートの問題によりリタイアしたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)。この度、その背景が明らかとなった。

 アストンマーティンは今季、パワーユニットの振動がマシンに激しく伝わってしまういわゆる”異常振動”をはじめとする様々な問題によって低迷が続いている。しかしカナダGPでは新たな問題が浮き彫りとなった。それがシートポジションであり、アロンソはこれが原因で68周の決勝レースの23周目を走り切った段階でリタイアした。

 カナダGPでは、アロンソが2台のノータイムにも助けられてスプリント予選のSQ1を突破。アストンマーティンにとっても今季ベストの週末と言える好調ぶりであり、アロンソは決勝レースでも好条件といくつかのオーバーテイクによってポジションを上げた。

 しかしアロンソは周回を重ねるごとに背中の痛みが増していき、最終的にはリタイアを余儀なくされた。彼は「シートに問題があって、どんどん不快感が増していった」と説明していた。

「シートポジションが正しくなかった。それにポイント圏外で入賞の見込みもなく、雨の可能性もなかったから、痛みを終わらせるためにリタイアを決断した。昨夜もいくつか調整を試みたけど、うまくいかなかった」

 これには裏話もある。土曜から日曜にかけて、チームとアロンソはシートの改修を試みていた。

 これは問題が特定のシートに起因するのかを確認するためだった。というのも、F1ドライバーが使うシートはドライバーの体型に合わせてカーボンファイバーで成形され、そこに補強材が取り付けられる構造になっている。そこの改造に取り組んだが状況は改善せず、シート自体に欠陥があるわけでもなさそうだった。

 アストンマーティンのチーフ・トラックサイド・オフィサーであるマイク・クラックによれば、原因は主にコクピット内の姿勢にあるという。アストンマーティンのコクピットは、過去のシーズンよりもさらにリクライニングを強めた設計に変更されている。これにより重心を下げ、理論上はヘルメットが受ける空気の影響を減らして乱流を抑え、パフォーマンス向上につなげることを目的としていた。

 このシートの問題は他のレースでも発生していたものの、ドライバーをリタイアに追い込むほどではなかったが、カナダでは痛みが耐えがたいレベルに達した。オンボード映像では、アロンソが最終シケイン手前のストレートやターン8進入時に何度も左手をステアリングから離し、コクピット内部、脚の間へと手を伸ばす様子が確認されている。

 さらに状況を悪化させたのが、カナダGPが行なわれたジル・ビルヌーブ・サーキットの特性だ。ここでは他のサーキットよりも縁石の使用頻度がはるかに高く、それが振動につながっていた。

 クラックはこう説明する。

「彼はしばらくの間、完全に快適とは言えない状態だった。問題になるほどではなかったが、いわば圧迫されるポイントのようなものがあって、周回ごとに悪化していった。だから着座姿勢を少し見直す必要があると思う」

「これらのマシンでは、できるだけ低く座ることが求められるし、近年のドライバーの姿勢を見ると、ますますリラックスした姿勢になっている。もしかするとやり過ぎたかもしれないので、確認と検討をする必要がある」

 次戦モナコGPに向け、アストンマーティンは応急的な対策を導入する見込みだ。しかしクラックによれば、より根本的な変更――すなわちドライバーのコクピット内のポジションそのものに関わる変更が必要になる可能性もあるという。ただし、それはすぐに実現できるものではない。

 新しいシートで解決できる問題なのか、それとも個体の問題なのかと問われると、クラックはこう答えた。

「いや、そうは思わない。状況を少し見直して、以前の状態に戻す必要があるかもしれない」

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