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F1メカ解説|アストンマーティンの今季苦戦は、やはりギヤボックスも一因か……初の自社製で苦労。ホンダSakuraのテストベンチも活きた?

アストンマーティンはマイアミGPで、ギヤボックスのマネジメントにいくつかの革新的な技術を導入したようだ。しかしそれは期待したような効果を得られず、ホンダのテストベンチで検証が行なわれているようだ。

Dettaglio Aston Martin AMR26

Dettaglio Aston Martin AMR26

写真:: AG Galli

 今シーズンのF1序盤戦で最も期待外れだったのは、間違いなくアストンマーティンだろう。今季マシンAMR26は、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンで初めて手がけたマシンであり、大いに期待されていた。しかし異常振動に悩まされて本来のパフォーマンスを発揮できず、新チームのキャデラックよりも劣っていた。

 ニューウェイはアストンマーティンがシルバーストンに完成させた、最先端の設備を備えたファクトリーに身を置くことになった。しかし、まだアストンマーティンには、トップチームとしてのメンタリティが身についていないようだ。ファクトリーはまだ潜在能力を十分に発揮できておらず、組織も短期間で急成長したため、その間に大きなギャップが生じている。

 勝つためのメンタリティを身につけるには、数人の人材を採用してくればいいというものではない。

 さてアストンマーティンにとっては、ファクトリーだけが新しいわけではない。これは他のチームも同様だが、新しいレギュレーションに合わせて新しいマシンを作らねばならなかった。しかも、今季から新たにホンダとワークスパートナーシップを結び、同社のパワーユニット(PU)を搭載するようになったことで、ギヤボックスやリヤサスペンションを自前で用意しなければならなくなったのだ。

 昨年までのアストンマーティンは、メルセデス製のPUを使っていた。それに伴い、ギヤボックスとリヤサスペンションも、メルセデスから購入し、使っていたのだ。しかしホンダPUを使うために、リヤエンドを自前で準備しなければいけなくなった。それに賭けたのだ。

 ホンダは昨年までレッドブルと組み、まさに黄金期を築いた。そのPUが手に入れば、チームの前進に寄与するのは間違いないと期待された。それだけの絶大なる信頼感があったのだ。

 しかしアストンマーティンが作ったシャシーAMR26とホンダの新しいPUがドッキングされると、新たな問題が顕在化してきた。エンジンで発生する振動が車体に伝わり、それが異常な振動となって様々な箇所に悪影響を及ぼすことが明らかになったのだ。テストではバッテリーが振動によって壊れ、その振動はドライバーの手をも苦しめることになった。

 この問題はPUだけで解決できる問題ではなく、車体側との協力も必要不可欠である。そのため、中東情勢の悪化によって2戦が中止となった4月、アストンマーティンAMR26の実車が1台HRC Sakuraに持ち込まれ、振動の伝わり方を検証。その対策を検討してきた。その効果もあったのか、マイアミGPではパフォーマンスが一気に上がった……とはいえ、まだ中団グループとの差はあるが。

 なおニューウェイが手がけたAMR26は、空力面とメカニズム面の両方で、極めて斬新なソリューションを多数採用している。例えばサスペンションは、前後ともに従来のウイッシュボーンではなく、マルチリンクアームを採用している。振動の面も含めてまだ熟成は進んでいないが、それでも将来に期待を感じさせる車両であるのは間違いない。

 そんな中、新たに手がけることになったギヤボックスも苦戦している。チームにとっては新たな課題であり、それまではギヤボックスを開発する部署すらなかった。

 彼らが手がけたギヤボックスは、初期不良が頻発しているという。ギヤチェンジが遅かったり、逆に急激すぎたりするケースが頻繁に発生しているようなのだ。

 ファクトリーでは、このギヤボックスの改善が、夏休み直前にも投入されるという最新の空力アップデートと共に進められている。目指すはギヤチェンジにかかる時間を短縮することだ。マイアミでは改良版のギヤボックスが持ち込まれたが、ドライバーたちは依然として不満を訴えており、完全に改善できたとは言えない。ブレーキング時には常に不安定で、加速の際にはギヤを同期させるのが難しいというのだ。

 なおこのギヤボックスもHRC Sakuraに持ち込まれ、エンジンと共にテストベンチで検証が行なわれている。そして電子制御を微調整したものが、カナダには持ち込まれる予定だ。

 カナダGPの舞台であるジル・ビルヌーブ・サーキットは、直線区間を低速コーナーで繋いだストップ&ゴーのレイアウト。ギヤチェンジ、特にいかにうまくトラクションをかけられるかが、パフォーマンスを大きく左右する。

 ホンダの協力のおかげで改良されたギヤボックスが、モントリオールで進歩した姿を見せつけることができるのだろうか? もしそれが実現すれば、今季最初の転換点となるかもしれない。

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