F1界に衝撃与えたニューウェイのアストン代表就任ニュース。でも本当にそうなるの?……さらなる体制変更の“序曲”という可能性も
エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンのチーム代表に就任することになったが、チームが彼を全戦帯同させるとは考えづらく、今後チーム人事にさらなる動きが見られるかもしれない。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images via Getty Images
F1カタールGPでのマクラーレン2台失格という衝撃の余韻が残る中、カタールGPのパドックにまた大きなニュースが飛び込んできた。それがエイドリアン・ニューウェイの来季アストンマーティンF1チーム代表就任だ。
このニュースはカタールGPの開幕直前に発表されたわけだが、これは意図的なものだった可能性がある。チームオーナーのローレンス・ストロールがチーム体制の刷新を画策していることが知られて以降、チーム代表兼CEOのアンディ・コーウェルが更迭されるのではないかという噂が飛び交うようになった。そのため、ニューウェイの代表就任に伴ってコーウェルが来季からチーフ・ストラテジー・オフィサーになると発表することで、一連の噂を鎮静化させる狙いがあったかもしれないが、狙い通りの効果があったとは言い難い。
多くの関係者からは、今回の発表はタイミングも内容も予想外なものだったという、驚きの声も寄せられている。一方でニューウェイは長年、F1チーム全体を指揮するという夢を持っていたと言われる。チーム運営にも権限を持つことで、これまでのように「自分が最速のF1マシンを設計したにもかかわらず、タイトル争いに敗れる」という事態を防げるかもしれないからだ。
中には、ニューウェイが今回の役職を引き受けた理由はただひとつ、自身の裁量を大きくするためだと語る者もいる。
そして前述の通り、ラスベガスで話題となっていたコーウェルの去就に関する憶測を抑えるための政治的な動きだという見方も強い。特にコーウェルの後任として、元レッドブルのクリスチャン・ホーナーがチーム代表として加入するのではという噂が出たことから、この件は大きな話題を呼んでいた。
ホーナーはこの夏、多くのF1チームオーナーにコンタクトを取っており、ストロールとも話をしていたとされている。シンガポールGPでは、コーウェルが事前のメディア対応のほとんどをホーナー加入の可能性についての質問に費やすほどだった。
今シーズンのアストンマーティンは戦闘力不足に悩まされており、オペレーションのミスや疑問符の残る戦略が相次いだ。一方でニューウェイは、自らの完璧を求める姿勢に同調できないスタッフに対して容赦ない対応をしてきた過去があり、組織の変革は避けられなかったと言える。そんな中でチーム代表のコーウェルは、マネージング・テクニカル・パートナーであるニューウェイほど技術部門の刷新に積極的ではなかったとされており、そこで両者の間に溝が生まれたと考えられている。
その結果、これまで様々なチームで計12度のドライバーズタイトルと計13度のコンストラクターズタイトルに貢献してきたニューウェイが、来季から組織内で政治的に大きな影響力を持つことになる。ただ問題は、ニューウェイが代表職をどれほどこなせるのかということだ。
彼が来シーズンのF1で10戦以上現地入りするとは考えづらい。またチーム代表に求められるメディア対応やスポンサー対応など、そういった仕事を熱心にこなす姿もまた想像しづらい。例えば他のチーム代表の仕事を一例に挙げると、ウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表はカタールGPの木曜日、チームスポンサーのVIPを招いての昼食会に参加していた。
こうした点から、今回発表された体制は一時的なものであり、市場からの人材確保の状況によってさらに体制が変更されるのではないかとの疑惑が挙がっている。過去に代表職の経験がある人材が少なくともひとり、ストロール及びニューウェイと話し合いを行なっている模様だ。
ホーナーはニューウェイによってアストンのファクトリーを案内されたという報道があったものの、上記の交渉を行なっているとされる人物はホーナーではない。来季は新レギュレーション導入の初年度となるため、戦闘力不足に陥ったチームの幹部職にいくつか空きが出る可能性がある。ホーナーはそこを狙っているようだ。
昨年までチーム代表を務めたマイク・クラックも依然として重要人物だ。彼は現在、チーフ・トラックサイド・オフィサーという役職であり、全戦で現地に赴いて通常チーム代表が担うような業務も担当している。ニューウェイ不在のレースウィークには、クラックが実質的にチーム代表の役割を務める可能性が高い。
現時点で発表された体制が最終形なのか、それともまだ序章なのか……。今後さらなるサプライズがあるのか注目される。
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