アウディF1、既にシャシー性能は4番手? 一方で課題はPU……ビノット代表は長期的視野で改善目指す「2028年には適切なレベルに」
アウディのマッティア・ビノット代表は、開幕戦で収集したデータからアウディのシャシーが今季F1で4番目に優れていると考えている。
Nico Hulkenberg, Audi F1 Team
写真:: Guido De Bortoli / LAT Images via Getty Images
アウディF1を率いるマッティア・ビノットは、チームの長期的な将来に関するロードマップを持ち合わせている。彼はワークスチームとしての参戦初年度となるアウディが既に強固な基盤を築いているとして、特に優れたシャシーを作り出せていると断言した。
ここまで5戦を終えた段階で、アウディはコンストラクターズランキング9番手。しかし、かつてフェラーリでテクニカルディレクターやチーム代表を歴任したビノットは、データ分析とGPSの解析に基づけば、アウディは4番手に優れたシャシーを持っているようだと話す。つまり、フェラーリ、メルセデス、マクラーレンに次ぐレベルであり、レッドブルを上回っているということだ。しかしビノットは、レッドブルは2番手に優れたパワーユニット(PU)を搭載していることが大きいと考えている。
ビノットはポッドキャスト番組『Beyond the Grid』の中で次のように語った。
「シャシーにはとても満足している」
「GPSのテレメトリー分析だけでなく、ドライバーと話す中でもそういう話が出ている。風洞とシミュレータでの相関もしっかり取れているし、これはエンジニアリングの基盤という意味で最も重要なポイントだ。我々のプロセスや手法も前進している」
「我々のマシンはコーナーでかなり速い。シャシー性能では4番手かもしれないとも考えている。かつてのザウバーであることを考えても、それだけの成果を出せるのは驚異的なことだ」
しかしこの評価は同時に、アウディがパワーユニット面で依然として課題を抱えていることの裏返しでもある。今年は信頼性の問題にも直面しており、開幕戦オーストラリアと第2戦中国GPでは技術的トラブルによりドライバーがスタートできないという事態にも陥った。現時点での最高成績は、ガブリエル・ボルトレトがオーストラリアGPで記録した9位である。
そうなると、アウディはPUの追加開発が可能なAUDOの対象になるだろう。何よりのサプライズは、新参のアウディが後れをとっていることではなく、同じくPUマニュファクチャラーとしては1年目のレッドブル・パワートレインズが競争力を発揮していることである。
Nico Hulkenberg, Audi F1 Team
Foto di: Sam Bloxham / LAT Images via Getty Images
アウディとしては、シャシー面でしっかりした基盤を築いている今、次の目標はパワーユニットで大きく飛躍することにある。ビノットは2027年までにギャップを埋めるのは現実的ではなく、2028年に照準を当てている。重要なのは純粋なエンジンパワーだけではなく、ドライバビリティもそこに調和させる必要があるからだ。
「2030年に向けた道のりの中で、次の大きなステップは2028年になると思う。勝利や表彰台、良い結果を得るためには、優れたマシンが必要だ。そしてそのためには、インフラやチーム規模だけでは不十分だ」
「現在のトップとの差を測ると、おそらく最大の差はパワーユニットの性能、制御、ドライバビリティにあると考えている。そこには大きな改善が必要だ」
「PU開発は常に時間がかかる。空力よりも開発のリードタイムが長い。大きな進歩を遂げるにはハードウェア自体を変える必要があり、だからこそ短期間では実現できないのだ。現行エンジンを改良してトップと同等にするのは2027年では難しいが、2028年には適切なレベルに持っていけるだろう」
アウディは、2028年にはパワーユニットのレベルを高め、2030年にはF1のトップ争いに加わることを目標に据えている。この点において、ビノットはチームや経営陣とともに段階的なロードマップを策定している。これはザウバーを前身とするF1でも最小規模のチームをチャンピオン争いできる組織へと変革するには時間がかかるからであり、特に必要な人材やインフラを揃えるための時間を必要としている。
「チームとの合意の下、2030年という目標を設定し、そこに至るロードマップも作っている。2026年にも目標はあるが、まずは挑戦者として、競争力のあるチームになることが最初のステップだ。そこから勝利を争える本当の意味でのコンテンダーになる」
「2026年はアウディとして迎える最初のシーズンだが、とにかく戦闘力を確保することが今シーズンの目標だ。ポイントを獲得することや、Q3に進出するなどといったことではない。メンタリティの変革こそが重要だ」
これはビノットが強調した重要なポイントのひとつだ。チャンピオンシップを争えるチームを築くには、一流の設備や優秀なエンジニアだけでは不十分であり、彼の言うような勝者のメンタリティが求められる。今まで限られた予算の中で中団下位を戦ってきたチームにとって、この点でも大きく前進する必要があるのは当然のことだ。
Gabriel Bortoleto, Audi F1 Team
Foto di: Sam Bagnall / Sutton Images via Getty Images
「競争力を持つということは、チームのひとりひとりが、戦うとはどういうことか、アウディであるとはどういうことかを理解することだ」
「以前にも言ったように、単に参加するだけで満足するのではなく、あらゆる可能性を追求し、前に進み、基準を引き上げ、レースごとにより良くなっていく必要がある」
「そしてシーズン終盤には、そのメンタリティや考え方の変化が、我々自身だけでなく、ファンやメディアの目にも明らかになっていることを望んでいる。シーズンが終わる頃には、アウディが本気で戦い始めていると誰もが認識できるようになってほしい」
これらの取り組みは多面的でありながら相互に密接に関連している。すでに勝利を経験している他チームからトップレベルのエンジニアを引き抜くことは、このプロセスを確実に強化する。だからこそ、ジョナサン・ウィートリーがチームを率いる存在として選ばれていたのだ(現在は離脱)。彼はレギュレーションやパドック内の優秀な人材に精通しているだけでなく、レッドブルで培った勝者のメンタリティを持ち込める人物だった。
また、アウディは新たな人材を確保すべく、スイス・ヒンウィルの施設の拡張と並行してイギリスに新たな施設を開設している。これは決して偶然ではない。
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