F1ドメニカリCEO、悪天候下のレーススタートは「主催者との契約とは全く関係ない」と説明
F1のCEOであるステファノ・ドメニカリは、わずか2周のセーフティカー先導走行によりレース成立となったベルギーGPについて、商業的に考慮する必要があったのではないかという噂を否定した。
Fans under umbrellas during a red flag period
Steven Tee / Motorsport Images
2021年のF1ベルギーGPは、悪天候により長いスタート延期を経て、セーフティカー先導でレースがスタート。しかしわずか3周目で、コンディションが悪化したとして赤旗中断となり、そのままレースが終了することになった。
レースは規定の周回数の75%を走れなかったためハーフポイントとなったが、レギュレーションで規定された2周以上を走行したことになり、レース成立となった。
一部では、ベルギーGPの主催者との契約を履行するために、強引にレースを成立させたのではないかという疑いの声も挙がっている。レースが成立すれば、F1は主催者から開催権料を100%受け取ることができるのだ。
しかしF1のCEOであるステファノ・ドメニカリは、難しいコンディションながらレースをスタートさせたことは、主催者との契約とはまったく関係ないとmotorsport.comに対して語った。
「そんなことはない」
ドメニカリCEOはそう語った。
「背景に商業的な議論があったのではないかという指摘を聞いたが、それは真実ではない。我々がレースについて話をする時、そこには責任がある。それは明確なプロセスだ。商業的なこととは全く関係ない」
またドメニカリCEOは、天候の隙間を待ってレースをスタートさせたものの、その直後に中止することを決めたFIAのF1レースディレクターであるマイケル・マシの判断を全面的に指示すると語った。
「もちろん、みなさんにとっては残念なことだっただろう。だれもが、適切なレースを見たいと思っていたはずだからね」
そうドメニカリCEOは語る。
「しかし、レースコントロールによって下された決定は、絶対に正しいと思う」
「レースをしたいという願いと意志はあった。そして情報がもたらされる度に、私は状況を注視していた。そしてレースができるかもしれない、天候が改善する可能性がある隙間があったんだ」
「レースが再開されると、(ドライバーたちから)かなり明確なコメントがもたらされた。そしてその一方で、新たな天気予報も受け取った。それによれば、レースは不可能だった。誰もががっかりしたが、マネジメントという面では、レースを終了させるという判断は正しいことだったと思う」
チケットを購入していた観客に対して、ドメニカリCEOは次のように語った。
「メッセージは明確だ。残念ながら、我々は時間についてはコントロールしていない。2周するか、もしくは周回しないかだ」
「周回数の問題ではない。レースをしようとするかどうかがポイントだったのだ。その上で、レースコントロールは、レースをするために最大限のことをしようとしたと思う。だから今回のことは、本当に不幸な状況だったんだ」
「全ての人の安全を考慮する必要がある。それが非常に重要なことだ。私はレースが大好きなので、レースができないとなれば、最初にがっかりするのは私だ。でも、レースできない可能性は常に存在する」
ドメニカリCEOは、レースの主催者と協力して、観客のために何ができるのか、それを見極めるつもりだと語った。
2005年のアメリカGPでは、ミシュランタイヤユーザーがレーススタートを断念したため、ブリヂストンユーザーわずか6台のみがスターティンググリッドからスタートすることになった。観客はその前代未聞の事態に激しいブーイングをしたが、結局はミシュランのサポートもあり、チケット代金は払い戻されることになった。
メルセデスのルイス・ハミルトンらは、今回のベルギーGPでも同じように払い戻しが行なわれることを要求している。
「それは主催者と話し合うべきモノだ」
そうドメニカリCEOは語った。
「私たちがチケットを販売しているわけではない」
「だが最終的には、主催者は我々と共に、今回のことに対する配慮を検討する。ファンのみなさん対して、最大限の配慮をね。それは確かだ」
「今年起きたことを考えれば、彼らには既に、検討しているアイデアがあると思う」
ドメニカリCEOはまた、月曜日にレースを延期することは不可能だったと語る。
「それはロジスティクスの問題ではないが、多くの理由があるんだ。マーシャルの手配や、その他のことに関する多くの理由により、レースを翌日に延期することはできなかった」
「もちろん、その可能性も検討されたが、不可能だった。プロモーターとは、全てのことを緊密にやりとりしている。そして彼らは、決定のプロセスに従ったのだ」
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