より良い形を目指して……スプリントレースの改善を模索するF1。”予選”ではなくなる可能性も?
F1は2022年に向けて、スプリントレースを刷新し、予選としてではなく単独のレースとして実施することを検討しているようだ。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
F1は第14戦イタリアGPで、今季2度目のスプリント予選レースを実施するが、来季に向けてスプリントレースを予選としてではなく、単独のレースとして実施することも検討しているようだ。
7月の第10戦イギリスGPで初めて実施されたスプリント予選レース。F1上層部はこの試みの結果に大きな期待を寄せていたようだ。ポールポジション記録の扱いなど、ファンやドライバー、チームから細かい不満は出ているものの、最初のスプリント予選レースは概ね成功だったと言ってよいだろう。
一方で、F1は来年もスプリントレースを継続する場合に向けて、このレースから予選の要素を取り除くという案も検討しているようだ。
現状、スプリント予選が行なわれるレースのフォーマットは次の通りだ。
まず金曜日に1時間のフリー走行を行なった後、通常と同じノックアウト形式の予選を行なう。ここでマシンにはパルクフェルメ規定が適用され、大幅な変更は出来なくなる。土曜日にもう一度フリー走行を行なった後、ノックアウト予選の結果でグリッドに並び、100kmのスプリント予選レースを実施。その結果で、日曜日の決勝レースのグリッドを決定する。
しかしスプリント予選レースの結果が悪ければ、決勝レースでのチャンスが失われてしまうという懸念があり、F1はこのフォーマットを見直すという提案を受け入れたようだ。
その結果、金曜日の予選で土曜日のスプリントレースと日曜日の決勝レースのグリッドを決め、距離の異なるレースを土曜日と日曜日にそれぞれ実施するというアイデアが浮上。また今のフォーマットでは、スプリント予選レース上位の3台に3-2-1ポイントが与えられることになっているが、スプリントレースで得られるポイントを現在よりも多くする可能性もあるようだ。
また、スプリントレースから予選の要素を取り除けば、例えばモナコのように現行のスプリント予選レースでは適さないような場所でも、スプリントレースを実施することができるようになる。
F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンは、2022年に向けた若干の調整のほかに、スプリントレースを単独で行なうかどうかを冬の間に決定しなければならないと述べた。
ブラウンはmotorsport.comの独占インタビューに応じ、「スプリントレースを独立させるかどうか、それがおそらく重要な問題になると思う」と語った。
「ポイントの付与数やスターティンググリッドの決定方法などを検討する必要があると思う。では金曜日はどうすればいいだろうか?」
「ご存知のように、(レッドブルのセルジオ)ペレスはシルバーストンのスプリントでドロップアウトし、言うまでもなく日曜日のレースに大きく影響した。では金曜日に、土曜日と日曜日のスターティンググリッドを決めるべきなのだろうか?」
「できることはいくつもあるし、いくつもの方法があるだろう。だから、今はそれを研究しているところだと思う。いくつかのアイデアがあるが、それをFIAとチームに提示して、そこから進めていく」
ブラウンは、イギリスGP終了後のドライバーからのフィードバックが励みになったと語り、多くのドライバーがスプリントレースを独立して行なうというアイデアについて言及したという。
「シルバーストーンの後ドライバーたちと話をしたが、建設的なコメントが多く、おおむね肯定的だった」
「多くの人が指摘したように、彼らはポールポジションの問題を提起した。予選、決勝と連続したイベントではなく、より独立したイベントにしてはどうかという意見もあった」
F1は、イタリアGPともう一回(現状はブラジルGPが濃厚)のスプリント予選レースが終わるまで、2022年にスプリントレースを確実に実施するかどうか、判断を待ちたいとしている。
一方で、ブラウンはスプリントレースの実施を継続する場合、複数のフォーマットを使うことはないだろうと明言している。
「(フォーマットを)混ぜることはないと思う」
「あまりにも多様化してしまうと、ファンの皆さんが混乱してしまうと思う。だから私は、ひとつのフォーマットになると想像している」
イタリアGPでは、スプリント予選レースのコンセプトの長所と短所を正しく理解するため、F1は基本的なルールを変更しないことに決めた。
ただ、スプリント予選レース後の手順は多少変更が行なわれているようだ。イギリスGPのスプリント予選レース後は、ドライバーたちがトラックの荷台に乗り、インタビューを受けながらウイニングランをした。ただモンツァはレイアウト上、ファンがより狭い範囲に集中しており、グリッド周辺でインタビューなどが行なわれるようだ。
「我々は、メインイベントである決勝レースを犠牲にしないよう、バランスを取ろうとしている」とブラウンは語った。
「レースは大きなイベントだが、我々は(スプリントレースを)少しでも楽しく、関連性があり、尊敬に値するものにしたいと思っている。だから、我々はそれを修正し、(決勝レースを)縮小したバージョンを用意する」
「また、この新型コロナウイルスの時代には難しいことだが、グリッドのチャンス(グリッドにマシンが並ぶ機会が増えたこと)を最大限に活かせなかったと思う。グリッドは少し静かだった。コロナ対策プロトコルに従わなければならないので、簡単ではないが、できることはあるはずだ」
「また、舞台裏では、金曜日の夜にパルクフェルメを適用するのに少し時間がかかった。このように、運用面で改善したい点がいくつかある」
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