F1 アゼルバイジャンGP

F1ドライバーら、マグヌッセンのF1出場停止処分を受けてルール再考求める。“崖っぷち”経験の角田裕毅「24戦では厳しすぎる」

ハースのケビン・マグヌッセンはペナルティポイントの累積によってF1アゼルバイジャンGPで出場停止処分を受けることとなった。それを受けてライバルドライバーたちはレギュレーションの再考を求めている。

Kevin Magnussen, Haas F1 Team

Kevin Magnussen, Haas F1 Team

写真:: Simon Galloway / Motorsport Images

 ハースのケビン・マグヌッセンは、ペナルティポイントの累積によって1戦の出場停止処分を受けた。そのため、F1アゼルバイジャンGPを欠場することとなった。

 F1で出場停止処分を受けるドライバーが現れるのは実に12年ぶりのことだ。ただ、ライバルドライバーたちはレギュレーションが厳しすぎるとして「見直しの必要がある」と考えている。

 マグヌッセンは、前戦イタリアGPのロッジアシケインでアルピーヌのピエール・ガスリーにオーバーテイクを仕掛けた際に接触。両者はシケインを通過せずランオフエリアを走ることとなった。

 その後マグヌッセンはレースを続行し9番手でフィニッシュしたものの、接触の原因を作ったとして10秒のタイム加算ペナルティを受けて10位に後退。また、ペナルティポイント2点も加算されたことで、過去12ヵ月の内に獲得したペナルティポイントの累計が12点となり、1戦の出場停止が言い渡された。

 ガスリーはマグヌッセンとの接触について以前から「なんでもない」ことで「不公平」なペナルティだと主張していた。これにはマグヌッセンのチームメイトであるニコ・ヒュルケンベルグも同意している。

「もちろん、あれが起こるまでの経緯があるし、彼はペナルティポイントを積み重ねてきた。でもモンツァでの出来事だけを見ると、あれはバトルの一部だったと思う」

「あれは非常に単純に、正々堂々としたバトルだ。あれで2点のペナルティはないだろうし、10秒ペナルティもないと思う。あれは厳しすぎるよ」

「それが僕の意見だけど、ほとんどのドライバーは同じように感じている。僕はオーストリアのスプリントではフェルナンド(アロンソ/アストンマーティン)との件があった。ターン3で抜こうとしたけど、ロックアップして少しワイドにはらんでしまった。それで彼はコースオフすることになった」

Pierre Gasly, Alpine A524, Kevin Magnussen, Haas VF-24

Pierre Gasly, Alpine A524, Kevin Magnussen, Haas VF-24

Photo by: Sam Bagnall / Motorsport Images

「でも、それがバトルだ。オーバーテイクするためには安全圏を出て、リスクを冒さなければならない。こういうことはたまに起こるものだ」

「スチュワードは少しでも接触があると、すぐに首を突っ込みたがるみたいだ。ドライバーたちは、全ての接触にペナルティを科す必要はないと感じていると思う。バトルができるようにする必要があるから、ペナルティのガイドラインを見直し、変更する必要があるのかもしれない」

 ハースの小松礼雄代表もヒュルケンベルグの意見に賛同し、こう語った。

「ペナルティのガイドラインに従えば、あのアクシデントに対して与えられたペナルティには議論の余地がありません」

「しかし、そのペナルティのガイドラインが正しいかどうかが問題なんです」

 またRBの角田裕毅は、年間24戦という中で12ポイントは厳しすぎるとして、2年前の2022年に自身もペナルティが重なり出場停止一歩手前まで追い込まれた件について触れた。

 そして角田は、トラックリミット違反などに対してはコース上で科されるペナルティで十分だとして、スチュワードはケースバイケースでペナルティポイントを科すべきだと語った。

「僕もこういう状況で、2年前に危うく出場停止になるところでした」と角田は言う。

「僕の理解が正しければ、ペナルティポイントの上限は導入時から変わっていないようでした」

「ペナルティポイントは、もう少し緩和されてもいいような気がするんです。24戦では少し厳しすぎるように感じますが、同時に彼らはそう(マグヌッセンを出場停止に)せざるを得なかったんだと思います」

「トラックリミット違反でペナルティポイントをもらうことになるなら、やり過ぎです。レース結果で十分にペナルティをもらっていますからね」

「必ずしもペナルティポイントを科す必要はないと思いますが、現在のような接触では科されていいと思います。でももちろん、ケースバイケースです」

「ただ、ケースバイケースというのは、ドライバーに2ポイントではなく1ポイントを与えるというケースもあるので、状況によって判断することになります」

 メルセデスのジョージ・ラッセルは、マグヌッセンのイタリアGPでの件自体は厳しい裁定だとしながらも、より明確に「常軌を逸した」ドライビングに対しては、より重いペナルティを科す必要があるとして、この12年間、ペナルティポイントの累積によって出場停止となるドライバーが現れなかったことを引き合いに出した。

 ラッセルはまた、そうした対応が今後F1への道を進む若手ドライバーの見本を作ることにも繋がるとして、悪い癖を持ったままF1に昇格することがないようにするためでもあると説明した。

「ドライバーが風前の灯火のような状態になったことで、例年何度もこの話題が挙がっていた」とラッセルは言う。

「この12年間、出場停止になったドライバーはいない。では、実際にペナルティポイントは十分に厳しかったのだろうか? モンツァでのペナルティは確かに少し厳しかったかもしれないが、他のインシデントの中には厳しさが足りなかったと言えるモノもある」

「ジュニアシリーズのためにも前例を作る必要がある。F4やF3、F2のドライバーは僕らを見ているし、危険なドライビングや乱暴なドライビングを容認すべきではない。それに対してペナルティを受けるべきだ」

 

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