F1
悪天候でのレース再開を迅速に! 中断・ディレイ中にF1マシンで偵察する“インフォメーションラップ”案が浮上
雨で中断したレースでの意思決定プロセスを改善するため、F1ドライバーたちが新しいアイデアについて議論していることがmotorsport.comの取材によって明らかとなった。

Jonathan Noble
編集: 2024/03/14 1:22
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シンガポールGP、日本GPのF1アジアラウンドは、2戦続けて悪天候によりレース進行に影響が出た。F1ドライバーたちは、安全が確認され次第すぐに走行を再開するためのより良い解決策があると考えているようだ。
現在は雨によってレースが中断もしくはスタートディレイしている場合は、セーフティカーがコースインしてコースの偵察を行なう。ただF1ドライバーたちは、セーフティカーから上がる水飛沫の量はF1のそれとは比較にならないため、路面の水量を判断するのに適切ではないと考えている。
つまり、セーフティカーが周回することで路面コンディションが実際よりも良く見えてしまい、ファンに誤った印象を与えかねないのだ。
シンガポールと日本での事例を基に、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)のメンバーが協議した結果、“インフォメーションラップ”なるものを導入するという案が浮上した。
これは雨によってレース再開が遅れている間、F1マシンがセーフティカー先導もしくは単独で数周走ることを認めるという案だ。そしてレースコントロールは走行したドライバーから直接フィードバックを受けることで、安全にレース再開ができるかどうかをより判断しやすくなるという仕組みだ。
GPDAの理事であるアレクサンダー・ブルツは、インフォメーションラップの導入によってコースコンディションに関するより良い情報が提供できるため、レース再開には危険なのかどうか判断するための非常に重要なツールになると考えている。彼はmotorsport.comの独占インタビューに対して次のように語った。
「レースディレクターは、インフォメーションラップという選択肢を持つべきだ」
「チームがこの手順に同意すれば、彼(レースディレクター)は『10分後にマシンを走らせる』と言うことができる。そのラップでドライバーたちはコンディションを確認することになる」
「そこで我々は、命を懸けて走る20人のドライバーから20の意見を聞き出すことができる。そうしてFIAはより多くの情報を基に判断を下すことができるんだ」
ブルツはまた、このインフォメーションラップが導入されればコースサイドのオフィシャルにもメリットがあると考えている。
「マーシャルにとっても、次のマーシャルポストが見えるかどうかが分かる」
「次のマーシャルポストが見えなくなるのであれば、そんな霧の中で事故が視認できるはずがないから、走るべきではない」
「インフォメーションラップを通して、マーシャルもコンディションについて教えてくれるだろう。レースディレクターはより良い情報を得られるし、世界中の何百万人もの視聴者が自分の目で状況を確認することができるんだ」
セーフティカーが与える誤った印象

F1マシンが走行している時(上)とセーフティカーが走行している時(下)では水飛沫の量に大きな差が
Photo by: Motorsport Images
ブルツは、F1マシンよりも巻き上げる水量が圧倒的に少ないセーフティカーがディレイ中に単独走行することによって、ファンがコンディションについて誤った印象を持つことが多いと主張している。
「セーフティカーが単独で走っているのを見ると、水飛沫も少なく、ドライバーは楽しみながら縁石に乗ってドリフトをコントロールしているように見える。これは20台の(F1)マシンを一斉に送り出すのとは全く異なる」
またブルツ曰く、このインフォメーションラップのアイデアは日本GPの中断中にメルセデスのルイス・ハミルトンと話している時に思い付いたという。
「ルイスが『(路面コンディションは)自分たちが実際に走ればすぐ分かる。TVを観ているだけでは分からない』と言っていた時に思い付いた」
「私は『なんということだ、彼の言っていることは完全に正しい』と思った。しかしそのためにはルールと手順を変える必要がある。また、レースディレクターが迅速に適用できるようにする必要があるのだ」
FIAでの議論
このインフォメーションラップのアイデアは、まだGPDA内で議論されただけに過ぎないが、次戦アメリカGPの舞台であるオースティンで行なわれる前戦の反省を踏まえた議論の中で話し合われる可能性があるという。
約2時間に渡ってレースが中断した日本GPでの出来事が、より良いウエットレースのための議論を加速させたとブルツは語る。
「我々は皆、より良い方法を見つけることに賛同している。なぜなら、我々はレースのため、そのレースの安全のため、そしてファンのためにここにいるのだ」
「我々はとにかくファンからの理解を得ないといけないし、例えクレイジーだと言われようとも、安全性を追求しないといけない。ただ、他のマシンが見えないということを(ファンが)理解できれば、ディレイという判断はもっと容易に受け入れられるだろう」
「日本GPの赤旗中やレース後の聞き取りでは、天候が曇っていて景色が灰色がかっている時、そして光っている広告などがサイドにない時は自分がどこにいるのか分からなくなるということだった」
「カルロス(サインツJr./フェラーリ)がレーシングライン上でスタックしているのは誰も見えなかった。これは明らかに危険であり、スパでアントワーヌ(ユベール)がTボーンになった状況と同じだ。マシンはそういうもの(Tボーンクラッシュでの衝撃)を想定して作られていない」
インフォメーションラップを導入するためには、ルール制定も含めて詳細な部分の詰めが必要になってくるだろう。そこで使用する燃料をどう扱うのか、周回数のカウントはどうするのか……ただブルツはそれらの問題の解決策は見つかると考えている。
また、センサー等のハイテク技術を駆使すればさらに正確な判断ができるだろうとブルツは付け加えた。
「視認性を確かめるセンサーを使えば、人間の判断ではなく、技術に基づいた定量的な判断ができる」
「このように、状況に応じて一貫性を持たせられるツールを追加することもできるだろう」
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