レース前の人種差別”抗議行動”、各ドライバーに判断委ねる「個人の自由を尊重」
F1オーストリアGPの決勝前に、人種差別に反対する姿勢を表すかどうかは、各ドライバーの判断に任せられることになった。

世界中で人種差別に対する抗議が繰り広げられている中で、F1ドライバーたちはここ数日間、オーストリアGPの決勝スタート前に合同で何らかのアクションを行なうかどうか話し合ってきた。
ランド・ノリス(マクラーレン)は、スタート前にグリッドでドライバーたちが片膝をつき、人種差別に対して団結する意志を見せることを検討していると明かした。
この行為は、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手だったコリン・キャパニックが2016年8月、人種差別への抗議を表明するために国歌演奏の際に起立を拒否して片膝をついたことから広まったものとされる。先日再開した英サッカーのプレミアリーグでも、試合前に選手たちが同様の行為をとっていた。
この件は、7月3日(金)に行なわれたドライバーズブリーフィングで議論され、翌4日の予選に先立ち、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)から声明が発表された。
GPDAは、ドライバーには人種差別の根絶に向けたサポートを”独自の方法”で示す自由があり、グリッド上であらゆる行動をとることができると声明で述べた。
「GPDAは今週末のグランプリに先立ち、バーチャル会議を数多く開き、人種差別との戦いに対する彼らの集団的支援を示す上で何がベストなのかをドライバー20人全員と話し合った」
「20人のドライバー全員がそれぞれのチームと団結し、人種差別や偏見に対抗している。同時に、多様性や平等性、一体性といった原則を尊重し、これらに対するF1の取り組みをサポートする」
「ドライバーも日曜日のレース前にこうした主張に対するサポートを公に示すだろう。人種差別根絶への支持を独自の方法で示す自由が各個人にあることを認め、尊重し、彼らが自由に選択できるようにする」
F1は、全10チームのマシンにもバナーが掲げられている『#WeRaceAsOne』キャンペーンを通じて、人種差別根絶のメッセージ発信に積極的に取り組んでいる。
レッドブルリンクのピットビルディングには、ピットレーン入り口側に『End Racism』(差別今別)の大きなバナーが貼られており、週末を通して多くのTV露出を獲得している。
メルセデスやマクラーレンは開幕を前にマシンカラーリングを変更し、人種差別に反対するメッセージの一部としている他、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とセバスチャン・ベッテル(ベッテル)はヘルメットに『Black Lives Matter』(黒人の命も大切)のフレーズを描き入れている。
ハースのロマン・グロージャンは、当初は片膝をつくことにあまり乗り気ではなかったものの、レース前に行動に移すつもりだと、金曜日に話していた。
「僕は当初、片膝をつくことの大ファンではなかったんだ。でもそれから、それについて調べてみた」
「今は、それが人種差別に反対するスポーツマンの行為であり、政治運動とは関連がないことを知っている。だから、個人的には膝をつくと思う」
「僕は自分の主張・支持を示す。僕はF1のようなスポーツが支持を表明し、『#WeRaceAsOne』のようなアイデアを生み出すことは、スポーツの多様性にとって素晴らしいことだと思う」
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