4月のF1はお休み? いやいや、とんでもない! 今も各チームはフル稼働……再開に向けて余念なし|フェラーリF1本拠地、マラネロに潜入
motorsport.comは、イタリア・マラネロの本拠地で、次戦マイアミGPに向けて準備を進めるフェラーリF1チームを取材した。
Charles Leclerc, Ferrari
写真:: Peter Fox
F1では、時間が全てである。設計、開発、改良にも、全て時間が必要。それは成功と失敗を分ける目に見えない要素である。
チームは常に、時間との戦いを強いられている。あらゆる細かい部分が計画され、あらゆる作業が綿密に時間管理される。ミスが起きる余地も最小限に抑えられている。偶然に任されるモノは何もない。
しかしバーレーンGPとサウジアラビアGPの中止は、思いがけないチャンスを生み出した。冬休みにも匹敵する、丸1ヵ月以上のレース休止期間だ。
外部から見れば、この休止期間は一旦落ち着き、体制を立て直し、あるいはひと息つく機会のように思えるかもしれない。しかしフェラーリのマラネロの本拠地で見られた光景は、それとは全く異なる様相だった。
フェラーリのファクトリーは、今も活気に満ちている。休む気配は全くなく、仕事のペースはまったく変わらない。1ヵ月にわたってF1シーズンが休止されたことなど、まるでなかったかのようだ。
確かにシーズンは休止されているが、時間が止まったわけではない。だからこそ4月は、全チームの技術部門にとって、序盤戦のデータをさらに深く掘り下げるための、絶好の機会となっている。
「時間的な余裕ができたことで、分析をより深く掘り下げることができた」
フェラーリのテクニカルディレクターであるロイック・セラは、motorsport.comに対してそう語った。
「次のレースがあり、大量のデータが送られてくるわけではないから、じっくりと時間をかけて、細部まで分析することができるんだ」
フェラーリはこの期間にも、タイヤテスト、ムジェロでのTPC(旧車テスト)、モンツァでのフィルミングデーなど、多くの予定を抱えていた。しかしそれを効率的にこなすことができたという。
「休みなんてなかった。全然なかったよ」
スポーティングディレクターのディエゴ・イオヴェルノは、そう笑顔で語る。
「そもそも、我々はそうならないように意図的に行動した。我々は予定外の活動で週を埋めたり、既に計画されていた活動をより効果的に配分したりした」
■F1ロジスティクスの「見えない」世界
Diego Ioverno - Ferrari Sporting Director
Foto di: Ferrari
F1におけるロジスティクスは、F1サーカスを滞りなく動かす精密機械のようなモノだ。全てが順調に機能している限り、その存在が目立つことはない。しかしたったひとつでも欠けると、その複雑さが顕になる。
プレシーズンテストの後、バーレーンのピットは各チームが設営したまま、そのまま放置されていた。レースウィークエンドには、改めて準備が整えられるはずだった。しかしレースの開催が中止になったことで、その設備は依然としてバーレーンに残されたままである。
各チームはコスト削減のため、ガレージのセットアップキットを約7セット保有し、各グランプリに海上輸送で運ぶ。マイアミGPとカナダGPの間に2週間の間隔が設けられているのも、機材を輸送するのに必要な時間を確保するためだ。
その他のグランプリの間も、機材を海上輸送や陸上輸送で運べるように細かく計算され、計画されている。この流れが途切れると、計画全体をやり直さねばならない。
「効率化は今日では非常に重要だ」
イオヴェルノはそう説明する。
「機材の輸送でさえ、予算上限に含まれているからだ。ここ数週間、機材のローテーションの管理方法を模索してきた。バーレーンで足止めさせている機材を回収できるルートが間もなく開通することを願っている。その機材はアゼルバイジャンで使う予定なんだ。とはいえ、プランBを用意しておく必要がある」
■ピットストップの最適化
Ferrari SF-26: meccanici del Cavallino al lavoro instancabili
Foto di: Marcel van Dorst / EYE4images / NurPhoto via Getty Images
チームが輸送ルートと戦略の見直しに取り組む一方で、別のスタッフたちはピットストップの改善に取り組んでいる。2026年の慌ただしいオフシーズン中、チームは十分な練習時間を確保できなかったのだ。
「まずは少し遡って説明させて欲しい」
イオヴェルノはそう語った。
「幸いなことに、結果には現れていないが、今年の開幕戦は例年よりも少ないトレーニング時間で臨むことになった。テスト期間が過密すぎたのだ。通常ならトレーニング3週間目に入るはずの週に、テストが既に始まっていた。その前の3週間は昼夜交代制で作業していたため、計画していたピットストップ準備作業の1/3しか実施することができなかった」
近年では各チームとも、固定のピットクルーにシーズンを通して頼るのは不可能だと認識し始めている。ピットクルーは27名にもなる大所帯であり、他のあらゆる部門と同様に、レースカレンダーの過密化に伴い、スタッフをローテーションすることが必要不可欠になっている。これはスタッフの健康維持にとって必要不可欠なことだが、同時に関係者全員が様々なポジションで必要とされるスキルを習得し、身体に刻み込むための練習時間を増やす必要性も生じる。
「ピットストップのクルーが前回と同じメンバーでレースに臨むことは一度もない。だから今月の予期せぬ休止期間はまさに天の恵みとも言えた」
そうイオヴェルノは語る。
「1月と2月にできなかった練習を消化することができた」
鈴鹿から戻って以来、チームのピットストップのクルーは、毎日同じパターンの練習を繰り返している。練習は3つのパートに分かれ、3つの異なるチームが交代で練習に挑む、これはマイアミ、カナダ、モナコ、バルセロナという今後予定されているレースの予行演習ということだろう。
F1はこの4月、たしかに1ヵ月間の”春休み”期間である。しかし実際には、まったく休みはないと言った方が正しい。
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