差別に対する沈黙破ったF1、”多様性”を求めて草の根レベルのレース活動を支援

F1マネージングディレクターのロス・ブラウンは、スポーツの多様性の欠如に対処するため、草の根レベルから活動していく計画があると語った。

差別に対する沈黙破ったF1、”多様性”を求めて草の根レベルのレース活動を支援

 アメリカ合衆国のミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性が白人警察官によって拘束を受け死亡した事件が切っ掛けとなり、世界中で人種差別への抗議デモが広がっている。

 F1王者のルイス・ハミルトンは、F1がこの事件に対し”沈黙”していると非難し、自身のSNSで人種差別に対して、次のようにコメントした。

「こういった不当な行為が行なわれている中でも、あなた達はまだ沈黙を守っている」

「白人が支配しているこの業界の誰からも反応がない。僕は(F1で)ただひとりの黒人だけど、孤立してしまっている」

「そろそろみんな何が起こっているかを把握して、何か発言をすると思っていた。でも僕たちに寄り添うことはなかった」

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 ハミルトンの発言を受けて、多くのドライバーが”Black Lives Matter”活動への支持を表明。F1も短い声明をTwitterに投稿し、組織として「あらゆる人種差別と戦う全ての人々を支持している」と述べた。

 F1マネージングディレクターのロス・ブラウンは、F1における多様性の欠如に関するハミルトンのコメントは極めて妥当であり、解決するために取り組みを行なうと述べた。

「我々F1は数年前から多様性を強化したいと考えてきた。数年前に我々は会社内外でこの取り組みに着手したんだ」

 ブラウンはスカイスポーツF1にそう述べた。

「F1に多様性がないのは、(キャリアの)ごく初期に理由があると我々は考えている。科学や技術、工学、数学を学ぶ学校にもその原因がある」

「ここ1、2年、我々はF1として学校に関わってきた。そうした活動に参加する子どもたちは多様性に富んでいる。そのうち40%は女の子なので、良いスタートだと言える」

 ブラウンは、レースをより身近なものにするためにF1がカートプログラムに取り組んでおり、そこでも多様性を重視していると明かした。

「我々は草の根レベルのレースをどのようにサポートできるか、非常に重要視している」

「私は過去数ヵ月、ごく初期の段階で子どもたちがカートに参加することができるような方法を検討してきた」

「F1が非常に強力な実力主義であることは事実だ。常にそうであるべきであり、ベストな者が勝つべきだ。しかし我々はマイノリティーや少数民族の人々にも、ドライビングだけでなくエンジニアリングなどの活動に参加する機会を提供できる」

「我々はこうした活動を支援している。言うまでもなく企業として、男女間の賃金格差や、その他の賃金格差についても多くの取り組みをしており、できる限りのことを行なっていることを確認している」

「F1が助けになっていると思う。そうしたカートでの活動に取り組んでいるのは素晴らしい機会になるだろう」

 イギリスでも人種差別に対する抗議デモは行なわれており、ハミルトンも定期的に”Black Lives Matter”活動に関するメッセージをSNSに投稿している。

 イギリス・ブリストルでは、商人であり奴隷貿易に大きく関わっていたエドワード・コルストンの銅像が台座から引きずり下ろされ、川に落とされたが、ハミルトンはこの件に対して支持を表明した。

「人種差別的な奴隷商人を称えるその像を人々が破壊していなかったら、それは決して取り除かれなかっただろう」

 ハミルトンは自身のInstagramにそう投稿した。

「その像が博物館に入るという話もあった。イギリスへの旅路で海に投げ出されて亡くなった2万人のアフリカンたちの魂と同じように、その像も川底に留まるべきだ。彼らは埋葬もされなかったし、記念碑もないんだ」

「彼は、そうした人々を彼らの家族、国から盗んだ。それは称えられるべきではない。彼が売った多くの命のための記念碑に置き換えられるべきだ」

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