”観客動員数の見通し”が日本GP延長に向けた鈴鹿サーキット側の条件

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”観客動員数の見通し”が日本GP延長に向けた鈴鹿サーキット側の条件
執筆: 吉田知弘
2018/08/29 3:07

モビリティランドの山下晋社長は、来年以降のF1日本GP開催契約の延長について最終段階に来ているものの、完全合意に至らない可能性もあると語った。

 2019年以降のF1日本GPの開催契約延長に向けたFOMとの議論に関して、鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドの山下晋社長は、最終確認の焦点について語った。

 先週末、鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿10時間耐久レースの際に、取材に訪れたメディアを集めて記者会見を行った山下社長。そこで来年以降のF1日本GP開催延長に向けた交渉は最終段階に来ていることを明かし、最終的な契約内容の確認を行うために、今週末モンツァで開催されるF1イタリアGPの現場に向かうと語った。

「まだ100点とは言えませんが、かなり(開催契約延長のための条件)が詰まりましたので、モンツァに急きょ行くことになりました。モンツァで最終的な確認を行うという流れです」

「現時点で(開催継続に向けて)話し合いをしている中で、お互いに要求し合っている部分の合意が取れていない部分がいくつかあります。その最終確認をモンツァで行う予定で、そこで大きなこと(合意できないこと)が起きなければ、来年以降に向けての明るいお話ができるかなと思います」

 以前、motorsport.comの取材に対して山下社長は、交渉の進捗具合を60点と話していたが、この時は約80点ぐらいのところまできたという。しかし、残り20点の部分については、モビリティランド側の要求が完全に通っていない様子。来年以降のF1日本GP開催に向けては、現時点でも楽観視できない状況にあるようだ。

 ここまでの交渉を、山下社長はこのように振り返った。

「FOMとの間では、様々な議論をしてきました。私の認識としては、過去のFOMと比べて、現体制(リバティメディア体制)は、F1を新たなステージに持っていきたいという意志、意図は感じられます。ただ、実際にそれができるかどうかはこれからの話です」

「我々としても、F1は魅力的なイベントであるので、継続開催をしたい気持ちは変わっていません。ただ、ここ数年のF1の状況からすると、このままでは将来が担保できるか? という危機感は間違いなく持っていました。それに対して、今のリバティメディアのメンバーを中心とするFOMは、私の疑問に対する答えをかなり的確に返してくれているという状況です」

「彼らが考えていることについては、私も同意することが多いです。ただ、残念ながら全てではないです。ですが、F1の夏休み期間中もテレビ電話でFOMと議論を重ねてきて、良い結論にいけるんじゃないかと今は考えています」

 山下社長は、2019年以降も鈴鹿サーキットでF1日本GPを開催を決断する上で、一番のポイントとなるのは「今後、観客動員の増加が見込めるか?」だと語った。

「我々の最大の問題点は、観客動員数です。途中に2年間(2007年と2008年)に開催がありませんでした。(2009年に)再開をして以降、そこから4年連続で動員数が下がってしまったということがF1開催にあたって起きたことでした」

「正直、今の観客数では、ビジネスとしては全く成立しません。これを継続するというのは民間会社の我々としては、どう考えてもありえない話です。このままでは採算が全く合いません。それを改善して行くためには、お客様を増やすしかない。(現地に)来ていただくしかないです」

 そう、山下社長は語る。

「(解決策の)方法は2つです。ひとつは開催権利金を下げてもらうこと、もうひとつは来場していただくお客様を増やして収入を増やす。このどちらかしかありません」

「今回(契約延長の条件は)はお客様も増やしたいし、開催権利金も下げてほしいという要求をしていましたが、なかなか簡単にいきませんでした。でも、最後の決断をするタイミングがきました」

 そして、今回のモンツァ訪問の際に、山下社長が契約延長をする上で最終確認したいポイントを、このように語った。

「決断をする我々の要件は『今後、F1のお客様が増えて行くと思えるかどうか』です。そう思えるのであれば、来年以降も継続しようと判断します。逆にそう思えなければ、来年以降も開催を続けると、我々の会社自体が立ち行かなくなってしまうというレベルまで来てしまいます。それを最終的に判断をして、このモンツァで発表できればいいなと思っています」

「モンツァもそうですし、他のところも『もう無理!』という話をしていて、我々も同じように『このままでは無理!』とちゃんと言って、この1年半の間にわたって議論してきました」

「先ほども申し上げたようなことが、ちゃんと信じられるか? 次回以降の契約をする間に、今の状況を脱することができるのか? その手応えさえあれば、踏み出そうというふうに考えています」

「そう言った部分の答えを、向こうがどう出してくるかを確認しなければ契約書にサインできないので、現時点では何とも言えない状態ではあります」

「もうすでに色々な答えは返って来ていますが、最終的な部分が今度のモンツァで確認できることになるかなと思います」

 観客動員を増やすための具体策としては、オーガナイザーとしての権利を十分に得られるのか? だという。

「今、議論をしているのは、お互いに何ができるようになるのか? です。過去のF1では、我々オーガナイザーができることというのがほとんどなかったです。色々なものがFOMの権利になっていて、我々が何かしたくても、ほぼ出来ない状態でした。それでお客様が減っていっても、我々はやりようがない……というのが今まで起きていたことでした。『それはもう嫌だ!』というのは、まず彼らに伝えて、我々にも幾らかの権利がほしい、ということを含めて話をしています。(権利がもらえれば)あとは我々の努力次第になりますからね」

 このように、交渉状況について詳細を語った山下社長。その表情を見ていると、かなり前向きな結論に近づいている雰囲気はあるが、状況次第では交渉が決裂する可能性もゼロではない模様。万が一、そのような事態がモンツァで起きた場合は、来年以降の開催について最終判断をする“デッドライン”はすぐそこまで迫っていると語った。

「万が一ダメだった場合は、大変申し訳ありませんが(モンツァでは)何の発表もないということになります。いつまで(交渉期限を)引っ張るのか? ということに関してですが……我々としては、鈴鹿で開催されるF1日本GPまでには決めなきゃいけないと考えています。今回のモンツァで万が一合意できなかった場合には、またシンガポールで話し合いをするのか……あまり考えたくはないですが、そのようなスケジュールになるのではないかと思います」

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シリーズ F1
執筆者 吉田知弘
記事タイプ 速報ニュース