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F1 オランダGP

F1 メカ解説|マクラーレン連勝の鍵は、フロントの”エンケイ製”アップデート版ホイールにあり。タイヤ温度を上げる秘策

F1オランダGPでは、マクラーレンが強さを発揮し、ランド・ノリスが前戦ハンガリーGPに続く2連勝とした。このグランプリには、アップデート版のホイールとホイールカバーが投入され、それもパフォーマンス向上の後押しとなったようだ。

Gianluca D'Alessandro

Gianluca D'Alessandro

公開日時: 2026/09/02 3:19

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I nuovi cerchi McLaren introdotti a Zandvoort

I nuovi cerchi McLaren introdotti a Zandvoort

写真:: Clive Mason/Getty Images

 マクラーレンは、先日行なわれたオランダGPで優勝。これで夏休みを挟み、ハンガリーGPから2連勝を飾ることになった。

 特にオランダGPの勝利は重要だった。というのも、ここで投入されたアップデートにより、マシンに不足していたダウンフォースをさらに増加させることになった。

 実はバルセロナ-カタルニアGPの時から、マクラーレンの強みは発揮され始めていた。ベルギーGPでも、その真価は発揮されていた。絶対的な最高速ではなく、コーナリングスピードが増し、マシンの競争力が高まったのだ。そしてそのために必要なダウンフォースをもたらしたのが、直近数戦で投入されたアップデートだった。

 このアップデートの効果は、マクラーレンにとっても驚きだったようだ。高速コーナーでのパフォーマンスは、チーム内の予想をはるかに上回るものだった。

 そしてオランダGPでの勝利の裏には、あまり注目されなかったもうひとつの要素があった。それは新型のフロントホイールである。

マクラーレンのフロントホイール:左が旧仕様、右がオランダGPで投入されたもの

マクラーレンのフロントホイール:左が旧仕様、右がオランダGPで投入されたもの

写真: Clive Mason / Getty Images

 マクラーレンのテクニカルディレクターであるニール・ホールディは、オランダGPの週末前に、こんな説明をしている。

「フロア後部に若干の変更を加え、荷重(ダウンフォース)を少し増やした。リヤブレーキダクトにも微調整を加えた。また、新型のフロントホイールリムを採用したことで、タイヤの温度上昇を促進することができる」

「これらのアップデートはラップタイムに大きな影響を及ぼすものではないが、競争力を僅かに高めてくれる」

 このホイールのアップデートが重要である理由を紐解いてみよう。

 マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、連勝したハンガロリンクとザントフールトは、いずれも高いダウンフォースが要求されるサーキットであり、他のサーキットよりもマクラーレンのマシンが持つ特性に合っていたと語った。しかし昨年は上位争いしていたモナコGPを振り返ると、今年のマクラーレンは苦戦し、表彰台圏外に終わった。

 この苦戦の原因は、コーナリングスピードやサーキット特性だけではない。モナコでのマクラーレンはダウンフォース不足とフロントタイヤの温度を上げられないという要素に苦しみ、全体的なグリップが低下してしまった。

 この症状はオーストラリアGPや中国GPでも現れていた。いずれのレースでも、マクラーレンはグレイニングに苦しんでいたのだ。グレイニングとは、タイヤがささくれる摩耗のこと。これはタイヤの温度が上がらず、適切なグリップ力を発生できずに横滑りしてしまい、タイヤの接地面が削れてしまった時に起きる症状である。

 一方で鈴鹿サーキットでの日本GPでは、路面のグリップ力が強いためグレイニングの症状はほとんど起きず、マクラーレンは高い戦闘力を発揮。今季初の表彰台を獲得している。

アストンマーティンのホイールを比較すると、温度管理の仕方を変えるため、フロントとリヤで明らかな違いが見られる(左がフロント、右がリヤ)

アストンマーティンのホイールを比較すると、温度管理の仕方を変えるため、フロントとリヤで明らかな違いが見られる(左がフロント、右がリヤ)

写真: Gianluca D'Alessandro

 オランダGPに向けても、フロントタイヤにグレイニングが起きる懸念があった。しかし結果的には、どのチームにとっても最小限の影響に留められたと言えるだろう。

 真の課題は、たとえ1周であっても、タイヤの温度を適切な範囲に維持するということであった。予選Q3の最終アタックで、ランド・ノリスがポールポジションを獲得した一方で、他のチームはタイヤを適切な温度まで引き上げるのに苦労し、ウォームアップラップを2周行なわねばならなかったことで、それが明確になった。

 昨年まではホイールリムはBBSのワンメイクだった。しかし今季からはレギュレーションが変更され、各チームはそれぞれ自由にホイールメーカーと契約することができ、その開発も自由化された。これによって各チームは、タイヤの温度と内圧を関するするための強力なツールを手にしたことになる。

 ホイールリムの内部には空洞(一部のチームはこれを”ポケット”と呼んでいる)があり、これによってエンジニアは、タイヤ周りの気流の管理と熱伝達をコントロールすることができるようになった。

 オランダGPでのマクラーレンは特にこの領域に注力し、ホイール内部の温度を高く保ち、その熱を効率的にタイヤに伝達することを目指した。そのため、フロントホイールのみがアップデートされ、ホイールカバーもより密閉性の高いモノになった。このホイールカバーは、ホイールの当たる外気による冷却効果を抑制しつつ、空気抵抗も低減するように設計されている。

 なお今季からマクラーレンは、エンケイ製のホイールを使っている。マクラーレンはホイールがワンメイクになる前も長きにわたってエンケイのホイールを使っており、両者のタッグが今季から復活したということになる。

 リヤホイールは変更されなかった。スプリントでも決勝レースでも、リヤタイヤの摩耗が重要な要素となっていたからだ。つまりリヤは、熱をさらに加えるよりも、トラクションをかける時点と高速の区間で温度を抑えることの方が優先だったのだ。

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