F1メカ解説|メルセデスがカナダGPで投入予定のアップデートはどんなモノ? 噂によれば0.3秒短縮の効果あり……ライバルをさらに圧倒か
メルセデスは、F1カナダGPにアップデートを投入予定。大きな効果があることを期待しているようだ。
写真:: AG Photo
カナダGPで今季最初の大規模アップデートを予定しているメルセデス。チームはこのアップデートでさらに前進し、シーズン序盤の優位性をさらに確固たるものにしようとしている。
中東情勢の悪化に伴いバーレーンGPとサウジアラビアGPが中止となり生じた4月のシーズン休止期間明け初戦のマイアミGPには、多くのチームが大規模なアップデートを持ち込んだ。しかしメルセデスはこれに倣わず。当初の予定通り、次戦カナダGPに今季最初の大規模アップデートを投入する予定である。
メルセデスは今季開幕から圧倒的な強さを見せ、開幕戦をジョージ・ラッセルが制した後、アンドレア・キミ・アントネッリが3連勝。ライバルがアップデートを投入してきたマイアミでも、差こそ縮まったように見えたものの、堅実な戦いぶりで勝利を掴んだ。当然ながら、ドライバーズランキングでもコンストラクターズランキングでも、メルセデスが首位に立っている。
そんなメルセデスがカナダGPに用意しているアップデートは、噂によれば空力面だけでなく、新たなパワーユニット(PU)レギュレーションによって証明された技術的な優位性をさらに強化するためのものだという。風洞実験の結果からすれば、その効果は0.3秒のタイム短縮が期待できるものだという。
まず空力パッケージに関しては、フロントウイングからはじまり、フロントサスペンションのカーボンファイバー製カバー、そしてフロアのデザインもが変更される。これは、一連の空気の流れに沿う形で改良が施されるということになるだろう。
また、軽量化とスタートの改善にも注力している。特にスタートは、今季のメルセデスにとって最大の弱点。出遅れることが常であり、ふたりのドライバーはそこからの追い上げを強いられてきた。
これについては、電子制御の改良により、大型のターボチャージャーの影響を軽減することが目指されている。マクラーレンは、同じメルセデス製のPUを使いながらも、本家メルセデスよりも良好なスタートを切ることができている。これと同レベルのスタート性能を発揮できるかが注目ポイントであろう。
軽量化に関しては、ギヤボックスの変更などが準備されている様子。これによりマシンを最低重量以下まで軽くして、バラストを搭載することでマシンの最適なバランスを見つけることを目指している。
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、現時点で圧倒的な強さを見せているものの、一切の妥協を許しておらず、チーム全体に最大限の努力を求めている。というのも、今年の6月1日から、エンジンに関する問題が再び議論されることになるのは必至だからだ。この6月1日から、現在常温で行なわれている圧縮比の検査が、130度という高温下でも行なわれるようになる。この圧縮火の検査基準の変更は、メルセデスのエンジンが、温度によって圧縮比を変更する。抜け穴とも言える手法を採っているのではないかという疑いが生じたことによって導入されたものだ。
メルセデスはこの変更によっても、パフォーマンスに影響が及ぶことはないだろうと確信している。しかしその一方で、シーズン後半にはこの圧縮比の検査基準が、さらに厳格化される可能性があるのではないかと見ている者もいる。
しかもエネルギーマネジメントの面でも、マイアミGPから調整が加えられた。今後も、さらに調整が加えられる可能性はゼロではない。
今年は新レギュレーション導入初年度。しかもエネルギーのマネジメントをはじめとして、非常に複雑になっている。その中でファンとドライバーの双方の期待に応えるレースはどんなものであるのか、模索が続いている。その決定が誰に有利で、誰に不利になるのか、それを理解するのは容易なことではない。
そんな中でもメルセデスは、不意を突かれることは避けたいと考えている。そしてカナダGPで飛躍的な進歩を遂げ、改善著しいマクラーレンをはじめ、ライバルを圧倒しようとしているのだ。
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