レッドブル「リカルドをリタイアさせるという選択肢はなかった」と語る
トラブルを抱えながらもモナコGPを勝利したリカルドだが、レッドブルはリタイアさせるという選択肢はなかったと語った。












レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、パワーユニットにトラブルが発生していたとしても、モナコGPをリードしていたダニエル・リカルドをリタイアさせるつもりはなかったと語った。
先日行われたモナコGP決勝。優勝を果たしたリカルドだったが、MGU-Kのトラブルにより120kWのパワーを失ったばかりか、リヤブレーキの温度を必要以上に管理することを強いられ、7速と8速を使うことを避ける状態での、薄氷を踏むような勝利だった。
当初リタイアも検討したというレッドブルだが、ホーナー代表は、今後のレースへの重大なリスクが残ったとしても、走り続けるべきだと強く主張したという。
「彼は突然、パワーを失ったことを報告した。そしてエンジン担当のスタッフは、データからMGU-Kが完全に止まっていることを確認した」
そうホーナー代表は語る。
「その段階で、リタイアを選択するという話があった」
「MGU-Kが損傷した可能性があるということは、エンジンにも影響が及び、その他全体に負荷がかかることになる」
「私の立場は、『我々はモナコGPをリードしている。エンジンが止まるまで走る』というモノだった」
MGU-Kは、ブレーキング時に運動エネルギーを電気エネルギーの変換する発電機としての役割と、回生したエネルギーを使う時にモーターとして働くという役割を併せ持った装置であり、ERS(エネルギー・リカバリー・システム)の基本的なコンポーネントである。
リヤブレーキは、MGU-Kが働くことを前提に設計されており、MGU-Kが止まったということは、必然的にリヤブレーキに想定以上の負荷がかかるということを意味する。ホーナー曰く、トラブル発生直後に、リヤブレーキの温度が急上昇したという。
これに対処すべく、リカルドはブレーキバランスを前方に6〜7%移動させてリヤの負荷を減らし、通常のレースの3倍ほどシフトチェンジを行い、コーナー手前でリフト・アンド・コーストをより積極的にするようにしたという。
「彼がコーナーですごくプッシュした周が3周あった。なぜなら、彼はストレートエンドでの遅さに、心配していたからだ」
ホーナーはそう語った。
「我々は彼に、リズムを見つけるために数周にわたって彼をひとりで走らせることができるようにしたんだ。彼はすべてのブレーキ温度の警告を、ダッシュボードで見ることができる。彼はただ、それをコントロール下に置こうとしていた」
「彼がマックス(フェルスタッペン)のタイヤに関する情報を、ラジオで数多く尋ねていたのを、皆さんも聞くことができたはずだ。ただそれは最初に諦めたタイヤだった。彼は(ニコ)ヒュルケンベルグについても、(最初のタイヤで)どれだけ走ったのかを尋ねていた」
「彼は全体的なイメージについて考える能力も持っていた」
リカルドは勝利に向け、すべてのフリー走行と予選も含め、全セッションでトップタイムを記録していた。
ホーナー曰く、リカルドは勝利を失うことはありえないとし、リードを築いている状況でも「とても集中していた」と語る。
「コース上でのポジションを保ち、タイヤを使い切ることなく、ブレーキも失わず、エンジンも壊さずにマシンを完走させるために、冷静さを保ち続けることが重要だった」
そうホーナー代表は語った。
「モナコはどんなドライバーにとっても特別だ。しかし我々は、このレースを特に重要視していた。(ピットストップ時にタイヤの用意が遅れるというミスで、リカルドが勝利を失った)2年前の失望を取り戻すためにね」
「それを取り戻すことができたのは、素晴らしいことだった」