美しきF1マシン:「2022年のフェラーリF1-75が似ている? 跳ね馬暗黒時代の入り口」フェラーリ643
フェラーリの2022年形F1マシン”F1-75”は、いくつかのマシンによく似ていると言われた。そのうちの1台が1991年のフェラーリ643。細く低いノーズやカラーリングは、確かにF1-75を彷彿とさせたかもしれない。しかしチームの行く末まで同じにならなければ良いが……。
2022年F1序盤戦で速さを見せたのは、フェラーリだった。最終的にはレッドブルに大きな差をつけられてしまったものの、開幕直後は「今年こそ」と世界中のティフォシが浮き足立ったに違いない。
その速さだけではなく、マシンが発表された直後からフェラーリは話題の中心だった。それはそのマシンカラーリングによるところが大きい。
今季用マシンF1-75は、低く細くなったノーズ先端、過激な形状のサイドポンツーン上面、そしてサイドポンツーン下には強烈なアンダーカットが入れられていた。そしてそのカラーリングは、ウイングは黒、ボディは濃い赤……ファンの間からは「1990年代を思い出させる」と好評だったのだ。
そのカラーリング、マシンの形状が相まって、F1-75はかつてのマシンに似ていると言われることが多かった。たとえば独特な形状のサイドポンツーンは、アンダーカットが鋭く入れられていることもあり、ダブルフロアで有名な1992年のF92Aを思い起こさせる。
またその細く低いノーズは、フェラーリ643を彷彿とさせるという声も多かった。643はF92Aの先代となるフェラーリのF1マシンで、1991年の第7戦フランスGPから登場。アラン・プロストとジャン・アレジが走らせた。
その初戦はプロストが2位、アレジが4位と、マクラーレン・ホンダ(MP4/6!)やウイリアムズ・ルノー(FW14!)が強さを誇っていた中にあって、幸先の良いスタートを切った。
しかしその後は信頼性の問題が足枷となるなど、表彰台が精一杯で、優勝には手が届かなかった。特にベルギーGPでは、戦略を活かしてアレジが初優勝まであと一歩というところまで迫ったが、痛恨のエンジントラブルに遭遇し、戦線を離脱していった。
当時はチーム内が混乱し始めた時期であり、プロストはチームを批判したとして日本GPを最後に解雇され、最終戦オーストラリアGPはジャンニ・モルビデリが代役を務めた。
結局この年のフェラーリは、ランキングこそ3位だったものの未勝利。そしてこの後、1992年、1993年も勝つことができなかった。まさに暗黒時代の入り口ともなった1台である。
ちなみにフェラーリは1990年スペインGP(プロスト)の後、1994年のドイツGP(ゲルハルト・ベルガー)まで勝つことができなかった。
そんな勝てなかった643を彷彿とさせるF1-75は、結局シーズン4勝(シャルル・ルクレールが3勝、カルロス・サインツJr.が1勝)を挙げたが、前述の通りレッドブルに大きく水をあけられる格好となった。戦略やドライブ面のミス、信頼性不足による取りこぼしも多く、結果的にはチーム代表のマッティア・ビノットが事実上更迭されることとなった。
終盤はレースペースの面でも巻き返しの兆しを見せていただけに、チーム内のゴタゴタが足を引っ張り、1991年のような”暗黒時代の入り口”とならなければよいのだが……果たして?
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