明らかになった大阪F1誘致計画。既にシンガポールGPも視察「大阪が国際観光都市を目指す上で、絶好の起爆剤になると考えている」

大阪観光局の溝畑宏理事長が明らかにした、大阪のF1誘致計画。まだまだこれからの部分も多いようだが、既にシンガポールGP視察するなど、本腰が入れられているようだ。

David Coulthard, Red Bull Racing

 大阪観光局の溝畑宏理事長が、大阪でのF1開催を目指していると発言したことが報じられた。これについて大阪観光局に問い合わせると、「F1は、大阪が国際観光都市を目指す上で絶好の起爆剤になる」と考えている旨を明かした。なお正式ではないものの、既にF1側とのコンタクトも取っているようで、好意的な反応も返ってきているようだ。

「大阪が国際観光都市になるためには、欧米豪の富裕層を誘致することが重要です。そして高級ホテルの誘致やナイトタイムエコノミーの活性化には、F1が絶好の起爆剤になると考えています」

 大阪観光局の担当者は、motorsport.comの取材にそう説明する。そしてこの計画を前に進めるために、既にシンガポールGPを視察。そこでF1の可能性を確信したという。

「シンガポールGPを視察に行きましたが、それまで考えていたF1のイメージとは全然違いました。ライブイベントをやっていたり、周辺のホテルでは高級ブランドの商談会もやっていました」

 大阪のみならず、日本を観光立国とするためにはMICE(会議、研修、学会、展示会やイベント)の誘致が重要だと言われている。今のF1にはそのほとんどが含まれていると感じられたからこそ、溝畑理事長の「(F1が)総合エンターテインメントに変わってきている」という発言に繋がったのだろう。

 前出の担当者は、次のように続ける。

「サーキット単体では、(採算は)厳しいかもしれません。しかし周辺のホテルなども含めて考えると、可能性があると思っています。北海道のエスコンフィールドには、野球場だけではなく、様々なエンターテインメントが集まっています。それに近い考え方だと思っています」

 正式な交渉にはまだ入っていないものの、既にF1側ともコンタクト。好意的な反応も寄せられているようで、そのことも溝畑理事長が計画を公にする後押しになったという。

 大阪では2025年に夢洲で大阪万博が開催される予定となっている。その跡地が大阪でのF1開催地の候補となるという声もあるが、実際にはそれは決まっておらず、大阪府内全域で検討中だという。また公道コースでの開催だけが選択肢ではなく、常設サーキットを建設する可能性もゼロではないようだ。

 なおF1日本GPは現在、三重の鈴鹿サーキットで開催されており、大阪からはアクセスも至便。大阪がF1誘致を目指すこととなれば、ライバル関係になってしまう危惧もある。しかし大阪としては、鈴鹿と共存していくことを目指したいとしている。

「鈴鹿とは共存共栄を目指したいです。自動車大国の日本で、2レース開催されてもいいんじゃないかと思います」

 大阪観光局の担当者はそう語った。

 なお近年では大都市でのレース開催を目指すとなれば、フォーミュラEの名前が真っ先に挙がることが多い。実際、東京では今年の3月にフォーミュラEの東京ePrixを初開催する予定である。

 大阪が誘致を目指すのは「フォーミュラEではなく、F1なんですよね?」と改めて確認すると、大阪観光局の担当者は「F1です」と断言した。

「正直、フォーミュラEが来てくれたとしても、大歓迎ですよ」

 そう前置きした上で、次のように続けた。

「私は、F1は音がエキサイティングだと感じましたし、それがエンターテインメントだと思っています。今のF1は、音楽ライブの方がうるさいくらいですが、それでもあの音はエンターテインメントです。だからF1を誘致します」

「ただ繰り返し言いますが、もちろんフォーミュラEも大歓迎です」

 気になるのは、その開催の財源をどう捻出するのかということだ。F1を開催するためには、巨額の開催権料を支払うことが求められるし、サーキットやピットビルはもちろん、観戦スタンドや交通インフラも整えなければいけない。

 その財源についてはこれから検討していくと語るにとどめたが、民間主導での動きになるという。

「現時点では何年後の実現を目指すというようなことは言えません。じっくり、長期的な計画になると思います。シンガポールも、初開催までには長い時間がかかったと聞いているので、簡単にいくとは考えていません」

「でも、可能性があるんだったらチャレンジしてみよう。そう思っています」

 

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