F1 サンパウロGP

タイヤウォーマー廃止を目指すF1。チームからは”適切なタイヤ開発”を前提に求める声

2024年からタイヤウォーマーを禁止する予定のF1だが、メルセデスはピレリのタイヤ開発が適切にできていない状態で計画を進めるべきではないと主張した。

Lewis Hamilton, Mercedes W13 pitstop

 F1は2024年からタイヤウォーマーを禁止する予定だが、メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、その影響でレースが台無しになることが無いよう、慎重に対応すべきだと主張している。

 F1は2024年のタイヤウォーマー禁止を目指し、ウォーマーの温度を段階的に引き下げている。2021年まではフロント100℃、リヤ80℃まで温めることができたが、2022年は前後とも最高温度が70℃までとなった。

 2023年はこれをさらに50℃まで引き下げるべく、フリー走行も活用して来季タイヤのテストが行なわれたが、ドライバーたちから不満の声が挙がり、計画変更。70℃のまま加熱時間を短縮することで、エネルギーを節約することとなった。

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 これまで、コストや持続可能性を理由にタイヤウォーマーを禁止しようとする試みはあったものの、そのたびに安全性やパフォーマンス面で懸念が残り、計画が頓挫してきた。

 今回のウォーマー禁止の動きについて、ショブリンは事前の加熱なしで使用できるように設計されたタイヤが、増加するマシンのダウンフォースに対応できなくなるような状況を、生んではならないと考えている。

「ブランケット(ウォーマー)に関する規則整備が、タイヤ開発のスピードより先に進まないよう、F1は最新の注意を払わなければならない」

 そうショブリンは語った。

「ピレリが抱える問題は、決して静的なモノではない」

「今のクルマでは、直線でのダウンフォースは以前のクルマよりも増している。高速での負荷は非常に高く、チームは常にパフォーマンスを上げるために努力している。ピレリは、その絶え間ない開発についていくだけでも大変なのだ」

 ショブリンは、ピレリが事前加熱のいらないタイヤを作ることは可能だろうとしながらも、そのためにレースが犠牲になることは避けなければならないと考えている。

「ピレリならすぐにでもできるかもしれない」

「しかしそのタイヤで良いレースはできないだろう。ドライバーはハードにプッシュできないし、タイヤの内圧が高くなり、グリップが大きく損なわれてしまうのだ」

「スポーツのニーズと、環境問題とのバランスを取る必要がある。しかし、我々が達成したいことをレギュレーションで規定することで、最終的にスポーツとして後退してしまうことを懸念している」

 極限まで性能を追求するF1においてピレリが直面している問題は、決して容易なものではないとショブリンは言う。

「これだけ速く、これだけパワフルで、これだけダウンフォースのあるマシンを、ブランケットレスタイヤにするというのは、非常に難しいことだと思う」

「(ウォーマーが廃止されている)F2を見て『よくやっている』というのは簡単だが、(F1の)エネルギーは非常に大きく、サーキットによっては(ラップタイムが)20秒も速くなることもある」

「ピレリにとって、この挑戦は非常に難しいものだ。技術的な開発を何段階も重ねる必要がある」

 フェラーリのスポーティングディレクターを務めるローラン・メキーズも、タイヤウォーマーの禁止について、その意図は正しいものだとしながらも、実現が簡単なことではないことを認めている。

「ブランケットを廃止することを目指すという、目標は正しいと思う」

「ピレリに適切な時間とチャンス、テストの機会を与え、すべてを満たす製品を開発することが必要だと思う」

「それができてから、ブランケットレス・アプローチに移行することができるのだ」

 
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