ソフトよりミディアムの方が速い? 予選・決勝に向け、各チームはタイヤ選択に苦慮
F1 70周年記念GPの初日で各チームは、ミディアムタイヤがソフトタイヤに匹敵する速さであることを発見したため、今後のタイヤ戦略に頭を悩ませている。

F1第5戦F1 70周年記念GPでは、同じくシルバーストンで行なわれた前戦イギリスGPと比べ、持ち込まれているタイヤコンパウンドの組み合わせが異なっている。イギリスGPはC1、C2、C3と最も硬い組み合わせとなっていたが、今回はC2、C3、C4と一段階柔らかいコンパウンドが持ち込まれている。つまりイギリスGPのソフトタイヤ(C3)が、今回はミディアムタイヤ扱いとなるのだ。
F1 70周年記念GPの金曜フリー走行では、前戦で使用していないソフトタイヤ(C4)のテストに時間を割くチームがほとんどだった。彼らはこのタイヤがすぐに摩耗することを発見しただけでなく、ミディアムタイヤとのペース差がほとんどないことにも気付いた。
そのため、予選で履くタイヤとしても決勝のスタートタイヤとしてもソフトを選ぶ利点はあまりなく、ミディアムの方が有利とされている。
ただ、だからと言って各チームは残るレースウィークエンドでミディアム、ハードばかりを使えばいい、というわけではない。今回のレースで持ち込まれる13セットのドライタイヤのコンパウンドは指定されており、ソフト8セット、ミディアム3セット、ハード2セットとなっている。つまり、ソフトを一切使わずに週末を乗り切ることは難しいのだ。
各チームは理想的なタイヤコンパウンドの組み合わせで予選・決勝に臨むため、走行初日から工夫を凝らしていた。マクラーレンはソフトタイヤでの走行のみを行ない、ルノーもFP2でハードタイヤを使い、ミディアムタイヤを温存した。
予選でのタイヤ選択に関して、マクラーレンのカルロス・サインツJr.は次のように語った。
「誰にとってもちょっとした悩みの種になると思う」
「特にQ2でどうするかだね。ソフトとミディアム、どちらなら通過できるかというよりも、レースをどちらでスタートするかという部分が重要なんだ」
「ちょっとした挑戦になるだろうし、今夜と明日は色々と考えないといけない。先週とは違うタイヤ選択になるし、これはエンジニア、ドライバー、メカニックなど、あらゆる人たちにとってチャレンジだ。僕たちはそれを受け入れて、正しい選択をしていこうと思う」
「金曜は少し奇妙な1日だった。僕たちはミディアムタイヤとハードタイヤを残しておくために、ソフトタイヤで走ることに専念していた」
さらにサインツJr.は、今回ソフトタイヤに指定されているC4タイヤがかなり扱いづらいことを認めた。
「本当に厳しい。ブリスターやグレイニングが4輪ともかなり出るし、なんとかコース上で生き残っている感じなんだ」とサインツJr.は続けた。
「こういう柔らかいタイヤを扱うことが僕たちのマシンの弱点なのは分かっている。まずは十分な速さがあるかどうかを確認したかったし、ここからはもっと硬いコンパウンドを使っていくことになるだろうね」
またレッドブルのアレクサンダー・アルボンは、今回の週末においてはソフトタイヤが最も速いタイヤでないことは明らかだと語った。
「ピレリの選択は良いとは言えない」とアルボンは言う。
「このタイヤ(ソフト)は速くない。このサーキットには柔らかすぎる。今日はソフトよりもミディアムの方が速かったと思う」
「コースを走ったほとんどのマシンがミディアムを履いた時の方が速かったし、ソフトを履いた時は最初のアタックとコースコンディションが良くなった2回目のアタックでコンマ1秒しか差がなかった」
「何が大変なのかって、週末に向けてミディアムタイヤとハードタイヤの数が足りないんだ。だから戦略は行き詰まっている。明日はQ1、Q2、Q3に向けて適切なタイミングで適切なタイヤを選ぶことがかなり重要になってくるだろう」
メルセデスのルイス・ハミルトンはミディアム、ソフトの両タイヤにフィーリングの差はあまりないとしながらも、ソフトタイヤの方がオーバーヒートに悩まされると語った。
「正直言って、(ソフトとミディアムは)ほとんど同じタイヤだったよ」とハミルトン。
「一番柔らかいタイヤはラップ終盤にオーバーヒートを感じる。もう一方のミディアムタイヤは最後の数コーナーまで同じような感触で、リヤの感触が少し良い」
なおタイヤサプライヤーであるピレリは、ソフトタイヤはミディアムタイヤよりも0.6秒速く、さらにこのミディアムタイヤはハードタイヤよりも0.7秒速いと発表している。
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