2020年F1タイヤ、各チームが“全会一致”の拒否。2019年仕様のタイヤを継続へ
2020年仕様のタイヤテストを行なったF1だが、各チームの全会一致の賛成によって来季は2019年仕様のタイヤを継続使用する方向のようだ。
写真:: Andrew Hone / Motorsport Images
12月初頭、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットでF1の2020年仕様タイヤのテストが行なわれた。その結果をもって、各チームが投票を行ない、2020年シーズンも2019年仕様のタイヤを継続して使用することで一致したようだ。
2020年仕様のタイヤはデグラデーションの減少やより広い作動温度領域、オーバーヒートの発生を抑えることを目指して設計された。このタイヤはF1アメリカGPのフリー走行でプロトタイプが供給されたが、各チームやドライバーからは否定的な意見が発せられていた。
その結果、2019年仕様のタイヤを継続使用する選択肢が持ち上がった。ただ、そのためにはF1テクニカルレギュレーションの12.6.1条に従い、全チームの70%以上が賛成することが必須となっていた。
ピレリはアブダビテストで2020年仕様タイヤが性能を発揮することを期待していたが、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事であるロマン・グロージャン(ハース)は、アブダビテストでもアメリカGPでのテストと同じような印象を受けたと語っている。
そしてFIAは、実施された投票により“全会一致”で2019年仕様のタイヤの維持を求めていると認めた。
「FIAはピレリ、そして全チームによる2020年シーズン以降のタイヤ改善に向けた協力や取り組みに感謝している」と、FIAの声明には記されている。
「いずれにせよ、学び得たことはさらなる将来のタイヤの改善に向けて価値あるものだ」
この声明の中で、ピレリは“いくつかの異なる要素”が2019年使用のタイヤ継続の決定にあたって考慮されたと話している。
「チームは2020年のマシンデザインを変更する必要が無くなる。そうでない場合、2020年仕様のタイヤ構造のプロファイルに対応するために設計の変更が必要だっただろう」
「これ(2019年仕様の継続)により、チームは既に高度な段階にある各々の2020年型マシンの開発を継続することができる。(2020年仕様への変更によって)中断することはない」
「2019年タイヤの継続使用はチームに安定性を保証し、現行のレギュレーション最終年である来季に、“良く理解された製品を使う”というアドバンテージをもたらすだろう」
採用が否決された2020年仕様のタイヤだが、これはより低い内圧に適応した物だった。そして、ピレリの自動車レース部門代表であるマリオ・イゾラは、2019年仕様のタイヤを継続使用する場合、圧力が上昇する可能性があると話した。
「現行のタイヤ構造を使い続ける場合、我々にできること、我々がそれに対処できる唯一の方法は”内圧”を高めることだ」
「2019年仕様のタイヤを継続するならば、マシンのパフォーマンス向上に伴い、内圧を上げることを余儀なくされる。それによって、おそらくより多くのデグラデーションとオーバーヒートが発生するだろう」
結果的にピレリの開発していた2020年仕様のタイヤは採用されなかった。しかしその作業は無駄になったのではなく、2021年以降に採用される予定の、18インチタイヤの開発にも活用されると、イゾラは強調した。
「アブダビで試験した2020年タイヤ構造へ用いた新たな解決策は、2021年以降の18インチタイヤの開発へ継承される。それによって現在よりも低いタイヤ内圧で走ることも可能にするだろう」
「その結果、次世代マシンで予想されるパフォーマンス向上にも対応することができるはずだ」
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