フェラーリの最高速向上は”ブロウンリヤウイング”採用の結果か?

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フェラーリの最高速向上は”ブロウンリヤウイング”採用の結果か?
Matt Somerfield
執筆: Matt Somerfield
翻訳:: 田中健一
2018/07/29 9:53

今年のフェラーリは、コーナーでもストレートでも速さを発揮している。そのパフォーマンスの秘密は、出力の向上だけではないかもしれない……。

 カナダGPでアップデート版のパワーユニットを投入したフェラーリ。それ以降のパフォーマンス向上は素晴らしく、メルセデスを含むライバル勢が、何か不正なことをやっているのではないかと疑うほどだった。

 フェラーリが疑われたのは、ERSやバッテリーのトリック、そしてMGU-HやMGU-Kの使い方など、実に様々だった。しかしスクーデリアがドイツGPでテストした新しいデザインは、そのパフォーマンス向上の答えがパワーユニットにあるわけではないという手掛かりを与えることになるかもしれない。

 フェラーリは、エキゾーストパイプやウェイストゲートパイプの取り付け位置を、いくつか試している。これは、”ブロウン・リヤウイング”の可能性を示唆したモノという見方もできる。ウェイストゲートパイプは、ターボ内の圧力を調整するために、余分な排気ガスを排出するパイプである。

エキゾースト上に移動されたウェイストゲートパイプ

 フェラーリはドイツGPで、これまでとは異なる位置にウェイストゲートパイプを配置した。これは、リヤウイングの機能を”ストール”させて空気抵抗を減らし、直線スピード向上を狙ったモノのように思われる。

 多くのチームはMGU-Hでの回生エネルギーを増やしたり、リヤウイングへの影響を考慮してダウンフォースの発生量を増やすために、排気ガスを活用しようとしている。しかし、もしフェラーリが、このウェイストゲートからの排気を利用して、リヤウイングをストールさせる方法を見つけたのだとしたら……パイプの配置により、さらに多くのパフォーマンスアップの可能性を手にすることができるかもしれない。

 ドイツGPでテストされたソリューションは、その次のステップの一部として考えられたものだと考えられる。

Ferrari SF71H new exhausts, German GP
フェラーリSF71HのドイツGP時のウェイストゲートパイプ

Photo by: Giorgio Piola

リヤウイングの形状も変更。最高速向上に寄与か?

 多くのチームは、ウェイストゲートパイプをエキゾーストパイプの両側に配置している。しかしフェラーリがドイツで試した配置は、エキゾーストパイプの上部に2本のウェイストゲートパイプを縦に並べ、リヤウイングにより近付けている。リヤウイングの形状も、メインプレーンの前端形状が変更されただけでなく、後面のキャンバーも変更されている。

 またカウルを開けた時の写真を見れば、ウェイストゲートパイプのうち下のモノは、途中で上のパイプと合流していることが分かる。つまり、下のパイプにはほとんど排気が流れておらず、その分上部のパイプから排出されるガスにパワーが与えられているように思われる。この強い排気により、リヤウイングによって跳ね上げられる気流を分割し、ウイングをストールさせている可能性がある。

Ferrari SF71H engine view
フェラーリSF71Hのエンジンカウルを開けた写真。2本のウェイストゲートパイプが合流しているのが分かる。

Photo by: Giorgio Piola

 ただ、これは単に理論を示しているにすぎない。フェラーリのアドバンテージがエネルギー回生の部分にあるのか、それとも逆にリヤウイングのパフォーマンスが改善されたからなのか……他チームはその優位性を説明できていないのだ。

 しかしひとつ確かなことは、このソリューションは、フェラーリのパワーユニットを搭載するすべてのチームを手助けするモノになっているということである。

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シリーズ F1
執筆者 Matt Somerfield
記事タイプ 分析