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インタビュー

F1の将来の形はどうなっていくのか? F1の商業戦略責任者に訊く

新型コロナウイルスのパンデミックという、大きな危機をなんとか乗り越えることができたF1。このF1の商業戦略や事業開発を担うひとりが、ヤン・ガンガクマランだ。彼がF1の長期的な方向性を考え、それに向けた活動を推進させている。

Yath Gangakumaran, Director of Strategy and Business Development at Formula 1

Yath Gangakumaran, Director of Strategy and Business Development at Formula 1

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 F1ファンの皆さんは、ヤン・ガンガクマランという人物の名前を聞いたことがないだろう。しかし彼は、F1の将来に大きな影響力を持っている人物だ。

 彼はF1の戦略および事業開発のディレクターを務めており、現在のCEOであるチェイス・キャリー、そして次期CEOのステファノ・ドメニカリと協力して、F1の長期的な将来の方向性を定めることが主な仕事なのだ。

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 彼の業務はレースの形式やレース会場の商業的及びスポーツ的な決定の支援から、レースフォーマットや開催地のようにF1のプロジェクトに長期的に関わること、そして化石燃料を動力源とするスポーツの位置づけなどを定めるのをリードしているのだ。

 現時点での戦略的な決断の中心にあるのは、F1において内燃エンジンを使い続けるかどうかだ。これについてガンガクマランは「我々はハイブリッドを強化している」と語っている。

 イギリス政府などは、2030年以降ガソリンや軽油を燃料とする自動車の販売を禁止する方針を示している。しかしF1は、世界の99%は電気自動車を使っていないとして、そのより現実的な解決策を示すために、内燃エンジンを使い続けるべく、持続可能燃料を積極的に使っていく方針を採ると表明している。

「自動車業界を低炭素にするためには、いくつかのルートがあると我々は信じている。これは自動車産業にプラスの影響を与えるだけでなく、スポーツとして世界中のファンを楽しませるという我々の目標をサポートする方向性に関連づけたいと考えている」

「誰もが電気と水素について話をしていることは承知している。5年後に登場する次世代パワーユニットの可能性として、それを調査した。しかし、モータースポーツの頂点として必要なパフォーマンス特性を実際には備えていない。我々が望むようなスピードで走ることも、コースを周回する航続距離も満たされていないのだ」

 現在のF1のパワーユニットは、世界で最も効率的な動力源のひとつである。しかしF1は、石油産業の大手を協力して、100%持続可能な燃料を開発することを目指している。

「これらは合成もしくは第2世代のバイオ燃料のいずれかである可能性が高い」

 そうガンガクマランは語る。

「我々は、数億人もの人々が観るグローバルなプラットフォームとして、持続可能燃料を動力源とする非常に効率的な内燃エンジンを実現することが可能であると示すことができると信じている」

「それが自動車産業と共鳴できると我々が考える理由は、地球上の10億台以上の自動車のうち99%が、内燃機関を搭載しているからだ。そのうちのほとんどは、少なくとも15年は道を走っている。数十年使われ続けている車もある。つまりそういう存在がすぐになくなることはない」

 この戦略の鍵となるのは、F1で開発された持続可能燃料が、一般のドライバーも使えるようになるということだ。

「それは我々のCO2排出量の面でプラスの影響を与えるだけでなく、より広い自動車産業の面でもプラスの影響を与えることになるだろう」

 そうガンガクマランは語った。

 電気自動車でのレースは、フォーミュラEやエクストリームEが担い、時代の先端を行っている。またその存在のせいで、F1が電動化に舵を取ることはできない。そんな中でもF1は存在感を高めるため、将来を見据えた姿に迅速に移行する必要があった。そのため技術的な持続可能性に加え、ドライバーのルイス・ハミルトンが主導する多様性や包括性を推進するプログラムも展開している。

Lewis Hamilton, Mercedes-AMG F1, 1st position, lifts his trophy on the podium

Lewis Hamilton, Mercedes-AMG F1, 1st position, lifts his trophy on the podium

Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images

「ルイスは我々にとって、素晴らしいアンバサダーなんだ」

 ガンガクマランはそう語った。

「我々は、多様性と包括性、そして持続可能性についてどうしていきたいかという点で、完全に一致している」

「ジョージ・フロイドが亡くなった後、一般市民やファン、政府、組織が、さらに多くのことを行うべく、大きな推進力となっている。我々はこれについて、我々が進むべき方向に取り組む。このことは正しいことであるというだけでなく、より多くのファンを引きつけるため、そしてより良い商業的活動をしたいのであれば、良いことだと思うのだ」

 リバティメディアがF1の新たなオーナー企業になって以来、彼らはファンの年齢層を引き下げることに取り組んできた。その結果、過去3年間で新たにF1のファンになった人のうち62%は35歳未満であったという。

「今年本当に興味深かったのは、我々が行なった商業的な改革だ。たとえば、レースができなかった時に行なった仮想レース(eレース)がその一例だ。その点で我々は、ナンバー1のスポーツだった。3月に世界中でロックダウンが行なわれた際、ソーシャルメディアでのフォロワー数が伸び、エンゲージメントも高まった」

「これは過去数年だけではなく、全てのスポーツが直面している今の非常に困難な時期に我々が行なってきた仕事が、ファンとの関与の面で利益を享受し始めたことを強調している」

Start grid with Lance Stroll, Racing Point RP20. Max Verstappen, Red Bull Racing RB16 and Sergio Perez, Racing Point RP20

Start grid with Lance Stroll, Racing Point RP20. Max Verstappen, Red Bull Racing RB16 and Sergio Perez, Racing Point RP20

Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images

 しかし今のF1の経営陣の最大の成果は、予算上限策とコンコルド協定の内容について、全てのチームとFIAの間で調整をまとめたことだった。これまでのF1は、常に上位チームの利益が最優先されてきた。しかし、新型コロナウイルスが世界的に大流行しレースが開催できないことにより、ほとんどのチームが大きな打撃を受けた……そのことにより、F1自体をより競争力のあるモノにしていこうという方向に全体が動いていったのだ。

「ここ数年、我々がやり遂げたいと考えていたこの全体像のいくつかが、今や承認されたことは、今後に向けた助けになる」

 そうガンガクマランは語る。

「その結果、我々は長期的な成長にもっと集中することができる。しかしF1では、我々が推進したいいくつかのことについて、引き続き”建設的な議論”と意見の不一致が存在する」

「しかし私は、慎重でありつつも楽観的だ。F1には、まだ成長できるチャンスがたくさんある。我々はその表面に傷跡をつけだだけに過ぎないと思う」

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