恐ろしく高いギヤボックス、F1じゃなきゃ使えないね……ホンダ提携のアストン、2026年からの内製化に向けFIAとコスパ協議
アストンマーチンF1チームとFIAは、2026年に導入予定の新テクニカルレギュレーションに向けて、ギヤボックスにかかる費用を削減することを検討している。
F1は2026年から新たなパワーユニット(PU)を導入することとなっており、そのレギュレーションは既に概ね決定済み。しかし、シャシーに関する部分はまだ議論が行なわれている。その中で、アストンマーチンF1チームとFIAは、ギヤボックスの費用削減について協議を行なっている。
ギヤボックスがコストカットの標的となったのは、パフォーマンス面で差別化が図れないためだ。現行レギュレーション導入前には共通ギヤボックスの導入を目指していた過去があるなど、これまでも費用削減における論点となってきた。
アストンマーチンは前身のレーシングポイント、フォースインディア時代から、長くメルセデス製PUを使ってきたため、ギヤボックスもメルセデスから供給を受けてきた。しかし、アストンマーチンは2026年からホンダPUへ乗り換えることを発表。その他供給を受けてきたリヤサスペンションと共に、ギヤボックスを内製化していくことを目指している。
そして、ギヤボックスの標準化や簡略化が行なわれる場合は、先手を打って対応していきたいとアストンマーチン側は考えている。
「最近のF1のギヤボックスを他のモータースポーツカテゴリーのモノと比較してみると、もはやパフォーマンスにおける差別化要素にはなっていない」
アストンマーチンのマイク・クラック代表はそう語る。
「ギヤボックスのパフォーマンスは全部、多かれ少なかれ同じくらいだ。しかし、そのコストは他のカテゴリーと比較すると、恐ろしく高い」
「予算制限がかけられている中で疑問になるのが、『パフォーマンスに差がないのに、こんな複雑な技術を使う意味があるの?』ということだ」
「どのチームもパフォーマンスに全く差がないギヤボックスのために、年間800万ドル(約11億円)から900万ドル(約12億円)を消費しているのだ」
Mike Krack, Team Principal, Aston Martin F1 Team, on the grid
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
そしてクラックは、この件に関してFIAと話し合いが行なわれていると言う。
「我々はFIAと、よりシンプルな技術で、よりコストパフォーマンスの良いギヤボックスを開発し、このスポーツ全体をより持続可能なモノとするために必要な基数を減らすのは理に適ったことではないかと議論している」と彼は続ける。
「パドック全体(の支出)を合計すると、年間1億ドル(約140億円)以上にもなる。他のカテゴリーを見てそれが必要なのかどうか、と自分たち自身に問いただすのだ」
「そしてスポーツとして、このような疑問を持ち、状況をもう少しシンプルにすることに意味があるのではないかと考えるべきだ」
ただクラックは、必ずしも全てのチームが共通ギヤボックスを使用することを望んでいる訳ではないと強調し、コスト削減のために様々な分野に目を向けることができると語っている。
「(コスト削減の)リストは長いと思う」とクラックは言う。
「ある種の技術を維持していくために健全な妥協はあり得る。例えば、F1のディファレンシャルは、他のカテゴリーと比較してもユニークなモノだ」
「シームレス化も、ギヤの量に関しても議論できるし、ある程度の標準化できる」
「全てのチームに共通ギヤボックスを、とまでは言わないが、コスト削減のための設計やそういったモノを導入することはできる」
フェラーリのフレデリック・バスール代表は、ギヤボックスがコスト削減の対象になり得るということに同意しているが、チームが既に予算制限内で運営できているという点を指摘。コストを無理に削る必要はないと考えている。
「ギヤボックスに関するレギュレーションなどは、確かにもう少しシンプルなモノを見つけることができるだろう」とバスールは言う。
「しかし予算制限もあり、いいとこ取りはできない。私としては、みんなが予算制限を守ってくれるなら、それで充分だと思う」
Share Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。