F1の現行車体ルールは”乱流抑制”による接戦実現に固執しすぎた? メルセデス技術トップが指摘
メルセデスのテクニカルディレクターであるジェームズ・アリソンは現行のF1マシンのグランドエフェクトをより重視したレギュレーションで、後方乱気流の問題をコントロールすることに固執したのは間違いだったと語った。
F1では2024年シーズンもレッドブルが圧勝しそうな雰囲気が漂ってきた。2022年の新レギュレーション導入以降ライバルを圧倒するレッドブルだが、メルセデスF1のテクニカルディレクターはレギュレーション策定の際に後方乱気流のコントロールのみに囚われすぎたのが間違いだったと自論を述べている。
2022年に導入された新しいレギュレーションでは、よりレースをエキサイティングなものにし、各マシンが接近して争えるようにしていくことが目的にあった。そうしてグランドエフェクトでダウンフォースを生み出すことを重視したレギュレーションが導入されたが、蓋を開けてみるとレッドブルが独走。バトル面でもオーバーテイクはだんだんと難しくなっていくなど、これまでのところレギュレーション変更の期待には応えられていない。
メルセデスはマシン開発に失敗してしまって出遅れ、今シーズンもレッドブルを脅かす存在にはなれていない。そんなメルセデスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンは、レッドブル独走についてレギュレーションがより良いレースをもたらすことができなかったのか? と質問を受けることになったが、彼は必ずしもそうは考えていないようだった。
「私はその面(あるチームが支配すること)で、必ずしも彼ら(レギュレーション策定側)が失敗をしたとは思っていない。なぜなら我々の仕事はそのレギュレーションの中で上手く戦えるように努力することだからだ」
「しかしレギュレーションの中には、我々にとって助けにならないモノもある。今のクルマのように、路面を這っていくクルマとするのは賢明ではないと思う」
「そしてタイヤを度外視して乱気流をコントロールすることで、いいレースができるという考えだが……後方乱気流をコントロールするという全体のアイデアが、ドン・キホーテの風車への挑戦のようなもので、その面では破壊的なテストにされてしまっている」
「だがレッドブルはいい仕事をしてきた。残された我々としてはいい仕事をすることが必須なんだ。それ(レッドブルの独走)はレギュレーション策定側の失敗ではないと思う」
James Allison, Technical Director, Mercedes-AMG
Photo by: Erik Junius
FIAは2026年導入予定の新しいレギュレーション策定に取り組んでいるが、アリソンは近年上手くいかなかったことから教訓を得るべきだとも語った。
アリソンは現世代のクルマがダウンフォースを生み出すためにリヤの車高管理を重要な要素としていることは、次世代のクルマでは避けるべき要素のひとつだと考えている。
「グラウンドエフェクトフロアが特に悪いとは私は思っていない」
「だがこういったマシンの特定のレイアウトは、リヤの車高へのレスポンスが良いとは言えないものであり、2026年に向けて我々が持ち越すべきではないモノだ」
なおそういった考えがメルセデスだけの考えなのか、それとも他チームも同じような考えを共有しているのかと訊くと、彼は次のように語った。
「チーム間では、こういったモノは実際受け入れられる反応だろう」
「FIAは依然として乱流のマネジメントをトップに据えて、そういった点を犠牲にする考えが強い。そこでもっとバランスのとれたアプローチがあれば助けになるだろう」
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