予算上限を引き下げなければ、いくつかのチームとメーカーがF1から撤退していた?
2021年の予算上限が削減されていなければ、新型コロナウイルスの影響により、F1は参戦メーカーとチームを失うことになっていただろうと、F1のマネージングディレクターであるロス・ブラウンは考えている。

現在F1は、未曾有の危機に直面している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い開幕が大きく遅れ、その結果チームの財政面に大きな影響を及ぼしたのだ。7月5日決勝のオーストリアGPでようやく開幕することが決まったものの、関係者はこの数ヵ月間、F1を長期的に持続可能なモノとするために、様々な話し合いを行なってきた。
その一環が、予算上限額の引き下げだ。そもそも2021年から、各チームの予算額に上限を設けることが決められていた。しかしその額は1億7500万ドル(約188億円)であり、ビッグチームにとっては大幅な予算減だったものの、ほとんどのチームにとっては現状の予算よりも莫大な金額であったため、その有用性が疑問視されていた。
しかし新型コロナウイルスの影響で各チームが財政面で苦しんだことにより、予算上限額の引き下げが決定。2021年は1億4500万ドル(約156億円)に制限され、その後も段階的に減額されていくことになる。
F1のモータースポーツ面のマネージングディレクターであるロス・ブラウンは、この変更は、F1におけるメーカーの存在を維持するために、重要であると語った。
「今回の危機は、予算の上限を、そうあるべきだと我々が認識するレベルに引き下げるチャンスを与えてくれた」
ブラウンはFIAのeスポーツ・カンファレンスでのインタビューでそう語った。
「一度予算上限を設定したら、いつでも調整することができる。今回のことが起きる前、将来的に危機に見舞われた場合、予算の上限を調整でき、理想的なレベルの変化を受け入れると我々は言っていた」
「チームが彼らの取締役会やメーカーに対して『F1は必要不可欠であり、将来的には参戦コストは安くなるはずです』と説明することができなければ、我々F1はメーカーやチームを失うことになっただろう」
「メーカーが財政面を調整している時にも関わらず、F1が無制限に支出していたのならば、それは難しい議論になる」
「すべての主要なプレイヤーを、F1に関与させ続けることができた。それは、経済的な観点からも持続可能だと、我々が言えるからなのだ」
なおルノーはすでに、会社全体のコストを大幅に削減しているにも関わらず、2020年以降もF1への参戦を継続すると明言している。
そして2021年に向けては、コスト上限を引き下げるだけではなく、2020年のマシンの開発を凍結し、来年も使用されることが決定。大幅な変化となるはずだった新しいテクニカルレギュレーションの導入は1年間後ろ倒しされることになった。
「(新レギュレーション下の)新しいマシンは、ファンに分かりづらいことに多額の資金を費やすのではなく、ファンが注目していると我々が感じるところに、より投資を集中するようになっている」と、ブラウンは言う。
「そのマシンは、見た目にも素晴らしいクルマになると思う。そしてより効率的に、戦うことができるようになるだろう」
「私たちはこれまでにもたくさんのことをしてきたし、数年前に始まった持続可能性に向けた取り組みもある。これは、企業にとっても非常に重要なことだ」
「メーカーは、F1の持続可能性に向けた優れた戦略を見たいと思っている。そして、F1の核となる魅力や興奮を損なうことなく、すべてのことを実行していきたいと思っている」
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