【F1】ハンガリー決勝:跳ね馬、薄氷の1-2。アロンソ”復活”の6位+FL
第11戦ハンガリーGPの決勝が行われ、フェラーリのセバスチャン・ベッテルがマシントラブルを抱えながらも、”チームプレイ”で優勝を果たした。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
F1第11戦ハンガリーGPの決勝は、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がポール・トゥ・ウィン。マシントラブルでペースが落ちる中で、チームメイトのキミ・ライコネンの援護射撃も功を奏し、なんとかフェラーリが1-2フィニッシュを達成した。
週末を通して最も気温が上がった決勝日。気温は30度、路面温度は55度まで上昇した。
フェラーリの2台がスタートを決め、セバスチャン・ベッテルがトップをキープした。3列目からスタートしたレッドブルの2台は出遅れたルイス・ハミルトン(メルセデス)の前に出るが、止まりきれなかったマックス・フェルスタッペンが、ターン2でダニエル・リカルドと接触。リカルドはサイドポッドのラジエーターにダメージがあり冷却液が漏れ、そして自らがそれに乗ってしまいスピン。無念のリタイアとなった。
リカルドのマシン撤去のため、セーフティカーが出動。バルテリ・ボッタスが3番手となりフェルスタッペン4番手、ハミルトンが5番手となったが、フェルスタッペンはリカルドとの接触が審議対象となり、後に10秒のタイムペナルティが科された。
4列目からスタートしたマクラーレン・ホンダは、フェルナンド・アロンソはカルロス・サインツJr.(トロロッソ)に交わされ7番手。ストフェル・バンドーンはリカルドがコース復帰して来た際に割りを食い、9番手となった。
6周目からレース再開。リスタートでアロンソがサインツを積極的に狙うが、攻略はしきれず。サインツにコース外に押し出されてしまい、逆に背後からセルジオ・ペレス(フォースインディア)の攻撃を受けたが、アロンソが守りきり順位変動はなかった。
ベッテルは、リスタート後にすぐさま2番手のチームメイト、キミ・ライコネンを2秒以上引き離しDRS圏外へ。そのライコネンもボッタスに対して2秒のギャップを築いた。
ファステストラップを連発するなどベッテルは快調に飛ばし、ライコネンもボッタスとの差を1周につき1秒ほど離していく好ペースだ。
3番手のボッタス以下、フェルスタッペンからハミルトンまでは2秒弱という等間隔。6番手サインツとアロンソの差は4秒弱まで広がった。
ベッテル、ライコネンは1分22秒台を維持して走行しているが、ボッタスは16周目で1分22秒台に突入すると、じわじわとフェルスタッペンを引き離し20周目までに2.6秒ほどまで差を広げた。
21周目、ハースのロマン・グロージャンがピットイン。フロントタイヤがスローパンクチャーをしていたためだが、ソフトタイヤに履き替えレースのフィニッシュを目指した。しかし、タイヤの固定がしきれておらず、マシンを止めリタイアとなってしまった。
レースは25周目に入り、ライコネンがベッテルとの差を2秒以下まで詰めた。ベッテルは無線でステアリングの不具合を訴えた。ストレートでステアリングが左側が下がってしまうというのだ。
しかし、問題は致命的ではないようでベッテルはそのまま走行を続けた。また、ハミルトンには無線の問題が発生。チームからの指示は聞こえるものの、ハミルトン側から返信ができないようだ。
ベッテルのタイムは徐々に落ちてきており、ライコネンはその後方で詰まってしまう形だ。30周終了時点で、ボッタスがピットインしソフトタイヤに交換。その翌周にハミルトンがピットインし、フェルスタッペンのアンダーカットを狙った。
フェラーリは32周終了時点でベッテルから先にピットイン。このタイミングでボッタスはファステストラップを記録し、猛然と追い上げた。ライコネンのピットインはベッテルの翌周。順位は変わらずベッテルが前だった。
7番手アロンソは、サインツの背後にぴったり。結果的に、両者は36周目に同時ピットインとなり、アロンソはアンダーカットで逆転するチャンスを失ってしまった。しかしアロンソはコース復帰2周目のターン2でサインツに大外からかぶせ、オーバーテイク。自力で順位をひとつ上げた。
ピットストップ後もベッテルはペースが上がらず、ライコネンが無線で不満を訴えた。というのも、後方からボッタスが2秒差まで迫ってきているからだ。
レースは残り30周近く残し、ベッテルからハミルトンまでのトップ4台は1.5秒ほどの等間隔。一方で、フェルスタッペンは43周目にピットインし、ペナルティを消化して5番手でコースに復帰した。
バンドーンは42周終了時点でピットイン。しかし、停止位置に止まりきれずにタイムをロスしてしまい、フォースインディアの2台に先行されてしまった。
46周目、メルセデスにチームオーダーが発令。ターン1でハミルトンがボッタスと位置を入れ替え、前のライコネンにプレッシャーをかけにいった。無線が回復したハミルトンは、鬱憤を晴らすようにペースを上げた。
後方ではルノー勢がピットに入り、全車のピットインが完了。アロンソが6番手、バンドーンは10番手でポイント圏内に戻った。
ハミルトンは、50周目にはライコネンの後方1.5秒、隙を窺う位置につけた。ベッテルのマシンが生み出す乱流に苦しみながら、ハミルトンからの攻撃を防ぐという難しい立場に立たされているライコネンは、無線で再三不満を訴えるがフェラーリにチームオーダーが発令されることはなかった。
ラスト10周を前に、追うハミルトンにもミスが出始めるなど、タイヤが厳しい状態になっていく。ライコネンもベッテルとの距離を1.5秒ほどまで開き、マシンやタイヤの冷却を気にし始めた。
62周目、フェリペ・マッサの代役として戦っていたポール・ディ・レスタ(ウイリアムズ)は、マシンに問題が発生し、マシンをガレージに入れリタイアとなった。
なかなかハミルトンがライコネンを攻略できずにいる中で、ボッタスはハミルトンの5秒後方。ボッタスはペースが上がらず、65周目にはフェルスタッペンが3秒差まで追い上げてきた。フェラーリを攻略できなかった場合、ボッタスに順位を戻すことを約束して前に出させてもらったハミルトンだが、順位を戻しづらい状況になってきた。
残り5周に入り、トップ3は1秒間隔。フェルスタッペンもボッタスのDRS圏内に入ろうかという位置まで迫った。
ファイナルラップに入っても、ハミルトンはライコネンの2秒弱後方。そしてコース後半でハミルトンは大きくペースを落とし、フェルスタッペンに付け入らせることなく、ボッタスにうまく順位を譲った。
結局、ベッテルがそのままトップチェッカーを受けた。ライコネンの”献身”のおかげで、フェラーリはなんとか1-2フィニッシュを達成。ベッテルは無線で喜びを爆発させた。
約束を守ったハミルトンが順位を譲り、ボッタスが3位を獲得。メルセデスのチームオーダーは成功しなかったということになる。
5位フェルスタッペンの後ろには、アロンソが6位でフィニッシュ。ベッテルのペースが落ちたとはいえ、周回遅れにならずにフィニッシュを果たすと共に、最終ラップの1周前には最速ラップを記録するオマケつきだった。
7位サインツ以下、ペレス、エステバン・オコン(フォースインディア)、バンドーンまでがポイント獲得。バンドーンはオコンを追い立てたものの、攻略までには至らなかった。しかし、それでもマクラーレン・ホンダは今季初めてダブル入賞。バンドーンにとっては今季初ポイント獲得となった。
ハンガリーGPを終え、F1は約1カ月のサマーブレイクに突入。ベッテルはハミルトンとのポイント差を14ポイントまで広げた。次戦のベルギーGPは8月27日に決勝が行われる。
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