F1中国GP決勝レポート:ロズベルグ、トラブルフリーで3連勝。跳ね馬は同士討ち
F1中国GPの決勝が行われ、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグが圧倒的なレースを見せて3連勝。2位にはスタート直後にポジションを落としたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が入り、ダニール・クビアト(レッドブル)が3位に入っている。マクラーレンの2台はレースペースが上がらず、揃って入賞を逃している。
写真:: XPB Images
F1第3戦中国GP決勝レース。予選Q3進出組の中ではロズベルグのみがソフト(S)、それ以外は全車スーパーソフト(SS)を履いており、これがどう勝敗を分けるのかに注目が集まった。また、Q3進出を逃したフェリペ・マッサ(ウイリアムズ)はS、フェルナンド・アロンソはS、ジェンソン・バトンはSSを履いており、マクラーレン・ホンダはふたりの戦略を分けた。
スタートでは、2番グリッドのダニエル・リカルド(レッドブル)が好スタート。1コーナーでロズベルグの前に出ることに成功する。2列目からスタートしたフェラーリの2台は、併走状態で1コーナーへ。しかし、そのインにレッドブルのクビアトが突っ込んでくる。ベッテルが行き場をなくしたところに、インに切り込んできたライコネンが接触。なんとスタート直後にフェラーリ同士討ち……ライコネンは完全にフロントウイングを失い、ベッテルも翼端板を壊す。後方でもマーカス・エリクソン(ザウバー)とロマン・グロージャン(ハース)、フェリペ・ナッセ(ザウバー)とルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が接触するなど、混乱のスタートとなる。ライコネン、グロージャン、ハミルトンはこの周でピットイン。
3周目の裏ストレートで、ロズベルグが先頭のリカルドに並びかける。しかし、この時リカルドの左リヤタイヤが突如バースト! コース上の至る所に1周目の混乱時に生じたデブリが落ちており、どうもこれを踏んでしまったようだ。
ベッテル救いのセーフティカー
これで4周目からセーフティカーが出動。コース上の清掃が行われる。この間に、スーパーソフトでスタートしたクビアト、セルジオ・ペレス(フォースインディア)、ベッテル、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)らがピットイン。タイヤ交換を行う。フォースインディアはふたりのドライバーを同時にピットに呼んだため、後方のヒュルケンベルグはピットレーンで必要以上に減速。その後ろにマシンが数珠繋ぎ状態となってしまう。ただ、速度制限区間前だったため、ベッテルがこれを抜いて前へ。ヒュルケンベルグには、後に5秒ストップペナルティが課せられる。
バトンもこのタイミングでピットイン。他のマシンが軒並みソフトを履く中、バトンはミディアムを選択。この時点でバトンが2ストップ戦略を狙っているだろうことは、容易に想像できた。
またハミルトンはこのタイミングを活用して、S→SS→Sとタイヤ交換を行い、タイヤ交換義務を果たす。
レース再開後、後方に下がってしまったベッテル、ハミルトンらのオーバーテイクショーが開始。しかしベッテルは、バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)を抜く際に接触してしまい、またしてもウイングを破損。カスケードウイングが脱落しかける状態となってしまうものの、ペースを失うことなく、前を追い続ける。
ロズベルグはこの間に一人旅。まだタイヤ交換を1度も行っていないものの、リカルドに10秒以上の差を築く。リカルドがピットに入ると、ボッタスに対して20秒以上の差。20周目にピットインしてS→Sと替えても、先頭のままレースに復帰している。
戦略失敗? マクラーレン、ミディアム多用の作戦が仇に
ロズベルグにとっては非常に楽な展開。快調に逃げ、コース復帰後には再び後続との差を広げていく。
ハミルトンはタイヤをMに交換し、次から次へのオーバーテイクを決めていく。また、ライコネンもひとつづつ順位を上げていく。一方、前半好位置につけていたマクラーレンは、ソフト(バトンの最初のスティントはスーパーソフト)→ミディアム→ミディアムという戦略が裏目に出たのか、バトン、アロンソともにペースが上がらず、42周めにはバトンがサインツJr.に抜かれてしまい、入賞圏外になってしまう。しかもバトンは2セット目のミディアムが最後まで持たず、たまらず45周目にピットインしてスーパーソフトにスイッチ。14番手まで下がってしまう。
ハミルトンは40周目頃にマッサに近づくが、なかなか抜くことができず、その間にライコネンの接近を許してしまう。そして、46周めの裏ストレートエンドでライコネンが前へ。ライコネンは続く47周目の裏ストレートエンドで、難なくマッサをパス。1周目に後方まで落ちてしまったライコネンは、ここでようやく5番手まで復帰してくる。ハミルトンは再びマッサの後ろにつくも、やはりなかなか抜くことはできない。
終盤、ペースの劣ったボッタスは、マックス・フェルスタッペン、カルロス・サインツJr.のトロロッソ2台に立て続けにパスされてしまい、10番手へ。
開幕3連勝でタイトルへ前進
結局、ロズベルグが2番手に40秒近い差をつけてトップチェッカー。開幕からの連勝を3に伸ばした。2位はベッテル。ウイングを2度も壊しながら2位までリカバリーしてきた。3位にはクビアト、4位にはリカルドとレッドブル勢が並び、勝利の期待もあったライコネンは5位フィニッシュである。マッサは最後までハミルトンを凌ぎきり6位、ハミルトンは7位、8位と9位にはトロロッソの若いふたりが入った。マクラーレン勢は、結局入賞ならず。アロンソ12位、バトン13位でフィニッシュしている。
多くの接触があったにもかかわらず、結局は出走全車の22台が完走。現在のF1の信頼性の高さを物語るレースになった。上位を見てみれば、何の混乱にも巻き込まれなかったのがロズベルグ。後続との差をしっかりと築いてからピットインするという、まさに盤石のレース運びだった。これでロズベルグは今季の獲得ポイントを75。2位ハミルトンとの差は36ポイントとなり、また一歩念願の初タイトル獲得に向け踏み出した。
Race results:
Pos | Driver | Team | Time |
---|---|---|---|
1 | Nico Rosberg | Mercedes | 1:38:53.891 |
2 | Sebastian Vettel | Ferrari | +37.776 |
3 | Daniil Kvyat | Red Bull Racing | +45.936 |
4 | Daniel Ricciardo | Red Bull Racing | +52.688 |
5 | Kimi Raikkonen | Ferrari | +1:05.872 |
6 | Felipe Massa | Williams | +1:15.511 |
7 | Lewis Hamilton | Mercedes | +1:18.230 |
8 | Max Verstappen | Toro Rosso | +1:19.268 |
9 | Carlos Sainz Jr. | Toro Rosso | +1:24.127 |
10 | Valtteri Bottas | Williams | +1:26.192 |
11 | Sergio Perez | Force India | +1:34.283 |
12 | Fernando Alonso | McLaren | +1:37.253 |
13 | Jenson Button | McLaren | +1:41.990 |
14 | Esteban Gutierrez | Haas F1 Team | +1 lap |
15 | Nico Hulkenberg | Force India | +1 lap |
16 | Marcus Ericsson | Sauber | +1 lap |
17 | Kevin Magnussen | Renault F1 Team | +1 lap |
18 | Pascal Wehrlein | Manor Racing | +1 lap |
19 | Romain Grosjean | Haas F1 Team | +1 lap |
20 | Felipe Nasr | Sauber | +1 lap |
21 | Rio Haryanto | Manor Racing | +1 lap |
22 | Jolyon Palmer | Renault F1 Team | +1 lap |
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