アストン加入発表直近と言われるニューウェイ。フェラーリは“マネーゲーム”に乗らなかった?
エイドリアン・ニューウェイは近々アストンマーティンに加入することが発表されると言われているが、フェラーリは同チームとの“入札合戦”となることを望まなかったようだ。
Adrian Newey, Chief Technology Officer, Red Bull Racing
写真:: Alexander Trienitz
レッドブルを離脱することが既に決まっており、近々アストンマーティン加入が発表されると言われているエイドリアン・ニューウェイ。フェラーリも彼の移籍先候補のひとつとされていたが、アストンマーティンの提示額に対抗することを避けた形であることがmotorsport.comの調べで分かった。
天才デザイナーとして数々の実績を残し、近年のレッドブルの連覇にも大いに貢献したニューウェイがレッドブルを離れることが決まったため、その移籍先については様々な憶測が飛び交った。当初はフェラーリへの移籍が強く噂されていたが、彼らとしてもニューウェイの獲得を容認する意向であったとされている。
関係者の話によると、フェラーリのフレデリック・バスール代表はニューウェイを獲得するための予算を確保しており、ニューウェイはチームにコンサルタントという形で加わり、イタリアに転勤することなくイギリスで活動することが計画されていたという。
これはジョン・バーナードがフェラーリのチーフデザイナーとして働いていた時の手法と似ているとも言える。バーナードはフェラーリの拠点であるマラネロではなくイングランドのギルフォードにオフィスを構えており、エンジニアがそこに出向する形をとっていた。
そんな中、アストンマーティンはチームの強化計画の一環として、ニューウェイに対して大規模なオファーを提示したようだ。今季不調に苦しむアストンは、元メルセデスのパワーユニット部門主任のアンディ・コーウェルを獲得し、マーティン・ウィットマーシュに代わるCEOに抜擢。さらにはフェラーリでシャシー設計部門を率いていたエンリコ・カルディレとも契約した。
ニューウェイはアストンマーティンの会長であるローレンス・ストロールから個人的に誘いを受け、シルバーストンの新ファクトリーを極秘で訪問したところ、チームの野心に感銘を受けたという。
ストロールはBloombergに対して次のように語っている。
「エイドリアンと私はここ数ヵ月間に限らず、実際には何年も話をしてきた」
「エイドリアンは明らかにF1で最も才能のある人間で、それはサーキットで残した実績と歴史に基づく。加えて非常に紳士的だ」
「だからこそ、エイドリアンが我々のチームに加入してくれることを非常に楽しみにしている。これはどのF1チームであっても同じことを感じるだろう」
アストンマーティンはニューウェイに対し、3年1億ドル(約143億円)プラス出来高という高額なオファーを提示したと見られるが、フェラーリはその金額にマッチ(同額以上を提示)することを望まず、入札競争のような状態となることを避けたと考えられている。そうすることで、フェラーリは自社の内部構造の強化に予算を充てることができる。
なおフェラーリはエンジニアリング部門において、元メルセデスのロイック・セラを獲得しており、カルディレの後任としてシャシーパフォーマンスディレクターに据える。
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