フェラーリは開拓者であるべきだ……跳ね馬に溶け込んだハミルトン、さらなる躍進を期待「本当にワクワクする状況になってきた」
ルイス・ハミルトンは、フェラーリを鼓舞するために声高に叫び続けたという昨シーズンのことを振り返った。
F1バルセロナ-カタルニアGPでフェラーリ加入後初優勝を手にしたルイス・ハミルトン。彼が大いに苦しんでいた2025年ことを振り返った。
長年所属したメルセデスを離れ、2025年からフェラーリに加入した。しかしその際、自身がどんな状況に身を置くことになるか、おそらく十分には理解できていなかったのだろう。
ハミルトンのフェラーリへの移籍は大きな注目を集めた。しかしその1年目は、期待はずれの結果に終わった。ただ2026年になると、彼のパフォーマンスは一変。以前のような輝きを取り戻したように見える。
ハミルトンは2025年、大いにフラストレーションを抱えていた。それはフェラーリの2025年マシンに起因するところが大きかった。この2025年型マシンは2024年型の進化版であったが、フロントサスペンションに大きな変更が加えられていた。このマシンの開発にはハミルトンは当然ながら関わっておらず、全く知らないマシンに適応を強いられることになったからだ。
しかもハミルトンは、チームとの連携に苦労していた。フェラーリとしては当初、この問題については軽視していたようにも見える。しかし、体制を再編する必要があるのは明らかだった。その結果、当初ハミルトンのレースエンジニアを務めていたリカルド・アダミが辞任し、現在はカルロ・サンティがその後任を務めている。
このサンティについてはハミルトンも高く評価。かつてメルセデス時代に名コンビを組んでいたエンジニア、ピーター・ボニントンになぞらえ、「イタリアのボノ」と呼んでいる。この関係はチーム全体にも及んでおり、ハミルトンも自身とフェラーリの方向性が一致していると感じている。
「今シーズン前半は素晴らしいスタートを切ることができた。もちろん、もっと良くなる可能性があるけど、非常に良い感触を得ている。僕自身と自分のチーム、そしてレースチーム全体との連携は、これまで以上に良好なんだ」
そうハミルトンは言う。
「お互いのことを理解するのに丸一年かかったけど、今ではこれまで以上に一体感が増している。これは、今後さらに発展させていくための良い基盤になると思う」
「まだまだやるべきことは山積みで、改善すべきこともたくさんある。チームの士気を高めるという点でも、皆とても情熱的だ。ファクトリーに戻ると、これほどチームへの愛情と情熱を持ったチームを見たことがない。あとはその情熱を正しい方向に導くだけだ。それが僕の役割だ」
Lewis Hamilton, Ferrari
Photo by: Sam Bagnall / Sutton Images via Getty Images
2026年シーズンに好調なスタートを切ったことについてハミルトンは、昨年のうちから開発プロセスに関する改善案を提案したり、マシンにおける特定の変更を要求したことが活きたと考えている。しかし2025年中にその効果を発揮するのは難しかったようだ。
ただ2026年に向けてチームに溶け込むことができた結果、自身のフィードバックがチームに受け入れられるようになり、さらに革新的な開発を行なうように促した。
実際今季のフェラーリは、革新的なアイデアをマシンに実装している。そのうちのひとつが回転式のリヤウイング……マカレナとか、くるりんぱと呼ばれるものだ。これはアクティブエアロが作動する時にリヤウイングのフラップが上下反転し、空気抵抗を大きく低減する狙いがある。また排気口の後ろに小さなウイングレットを取り付けるようになったのも、フェラーリが最初だ。
「改善すべき点が分かっていて、それを声高に叫んでも、すぐにはそれを実現することができない。開発には何ヵ月もかかるとか、レギュレーションの関係で翌年まで実現できないなど、理由は様々だ。でも実行に移せない状況は、まるで壁に頭を打ち付けているような、本当にツラいものだ」
そうハミルトンは語った。
「だから、今は(これまでとは違う)時代を迎えたというのは、素晴らしいことだ。たとえば昨年は『フェラーリの革新はどこにあるんだ? フェラーリこそが革新者であるべきで、他のチームがこぞって模倣しようとする存在であるべきなのに……』と自問自答していた」
「今年は他のチームが追随するような、革新的な技術を携えてフェラーリが参戦し、さらに多くのイノベーションが生まれてきている。本当にワクワクするよ」
「おそらく、こういうことが起こり始めていること、そしてフレッド(フレデリック・バスール/フェラーリのチーム代表)が本当に素晴らしい仕事をしてくれて、僕が望んでいた変更を実現してくれたことが、僕を解放し、自分の得意なことに集中させてくれるんだと思う」
ついにフェラーリでの1勝目を手にしたハミルトン。そのレース内容は、かつての全盛期を思い起こさせる、圧倒的な強さであった。今後もこの強さを発揮し続けることになるのか、それとも今回1回限りの強さであったのか……次戦以降の最注目ポイントとなった。
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