ベッテルとルクレールの同士討ち……「今起きたのは幸運」とフェラーリ代表宣言

フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、2020年シーズンに向けて必要なことを明確にする良いチャンスとなったため、F1ブラジルGPでのセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールの”同士討ち”は、チームにとって幸運だったと語る。

Damaged car of Sebastian Vettel, Ferrari SF90

Damaged car of Sebastian Vettel, Ferrari SF90

Mark Sutton / Motorsport Images

 F1ブラジルGPの決勝レースでは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールが接触するという、いわゆる”同士討ち”が発生した。チームにとっては最悪とも言える事件だが、フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノット曰く、来季に向けて必要なことを明確にしたという意味で、ふたりの接触はチームにとって”幸運だった”と考えているという。

Read Also:

 キミ・ライコネンの後任として、今季フェラーリ入りを果たしたシャルル・ルクレール。ルクレールは加入直後から速さを発揮し、シーズン序盤からベッテルを苦しめた。その頃からふたりの間には緊張感が高まっていたが、同士討ちという事態はブラジルGPまで発生することはなかった。

 事故は71周で行なわれるレースの66周目に起きた。ルクレールはターン1への突入でベッテルをオーバーテイクすることに成功した。だがベッテルも諦めず、バックストレートで逆襲し、ルクレールの前に立った。しかしターン4の手前でふたりは接触。ルクレールは右フロントタイヤを壊し、ベッテルは左リヤタイヤをバーストさせて、それぞれマシンを止めることになってしまった。

 2019年の初め、ビノット代表はベッテルと新星のルクレールをマネジメントするのは”贅沢なこと”だと語っていた。そしてブラジルGPの時点でも、当時と同じ想いを抱いていると語っていた。

「彼らは両方とも素晴らしいドライバーだ。だからそれをマネジメントするのは、贅沢なことだと確信している」

 そうビノット代表は語った。

「ふたりは共に、本当に良いドライバーだ」

「それぞれにとって、力強いチームメイトの存在は大いに後押しになるし、ベンチマークともなる。彼らが今シーズン中に力強くなっていくのを、我々は見てきた。シーズン後半のセブは、明らかにとても速いしね」

「だから全体としては、贅沢なことだと思う。今回起きたことについてだが、今シーズン中に起きたということは、チームにとっては幸運だったように思う。少なくとも来年に向けて、我々が起こしてはならないことを明確にする、良いチャンスになっただろうからね」

「少なくとも将来に向けて色々なことを明確にするために、今回起きたことは喜ばしいことだとも思っている」

 フェラーリはすでにコンストラクターズランキング2位を確定させているため、ブラジルGPで2台が揃ってリタイアとなったことは、チームにとって大きな痛手とはならない。

 しかしその一方で、ベッテルとルクレールの関係が悪化した状態で来シーズンに突入することは、絶対に避けなければならない。しかもスチュワードは、接触についてはいずれのドライバーにも非はないとの裁定を下したため、その原因についてはチーム内部でマネジメントする必要がある。

 国際映像を見れば、前に立ったベッテルがターン4への進入に向けて左に動き、ルクレールに近づいていったように感じられる。しかしビノット代表は、今回の件で、ベッテルやルクレールを非難するつもりはないと語る。

「その時の動き、そしてその時の間違いは何だったかということを、最終的に認識することが必要なのだ」

 そうビノット代表は語る。

「ドライバーであろうと、エンジニアであろうと、その他どんな仕事をしていようと、ミスを認識することが重要なんだ」

「だからふたりのドライバーにとって重要なのは、何が起きたのかを理解することだと思う。今のようにヒートアップしている時ではなく、マラネロで共に時間を過ごして、何が起きたのか、何が間違いだったのかを理解するんだ」

「私は彼らを責めるつもりはない。彼らが今回のことから認識するんだ」

Read Also:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 ポディウム未経験者はあと何人? 現役ドライバーのF1初表彰台レースを振り返る
次の記事 祝ホンダF1ワンツー! レッドブル&トロロッソのグッズをプレゼント

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

最新ニュース

ホンダのeVTOLには、F1由来の技術が満載! 地上最速のマシンで培われた技術が空を飛ぶ

ホンダのeVTOLには、F1由来の技術が満載! 地上最速のマシンで培われた技術が空を飛ぶ

F1 F1
ホンダのeVTOLには、F1由来の技術が満載! 地上最速のマシンで培われた技術が空を飛ぶ ホンダのeVTOLには、F1由来の技術が満載! 地上最速のマシンで培われた技術が空を飛ぶ
熾烈な入賞争い、下位5チームに必要なのは“奇策”。サウジでブロック作戦成功のハースF1ヒュルケンベルグ「常識を超えなければ」

熾烈な入賞争い、下位5チームに必要なのは“奇策”。サウジでブロック作戦成功のハースF1ヒュルケンベルグ「常識を超えなければ」

F1 F1
熾烈な入賞争い、下位5チームに必要なのは“奇策”。サウジでブロック作戦成功のハースF1ヒュルケンベルグ「常識を超えなければ」 熾烈な入賞争い、下位5チームに必要なのは“奇策”。サウジでブロック作戦成功のハースF1ヒュルケンベルグ「常識を超えなければ」
岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での交信に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”?

岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での交信に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”?

SF スーパーフォーミュラ
第1戦:鈴鹿
岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での交信に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”? 岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での交信に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”?
レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア

レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア

F1 F1
レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本