

フェラーリのマッティア・ビノット代表は、開幕戦オーストラリアGPの結果により、開発を前倒しすることを決断。スペインGPにエンジンのアップグレードを投入したと明かした。
当初の予定を前倒しし、スペインGPにアップグレード版のパワーユニット(PU)を投入したフェラーリ。これはライバルであるメルセデスとの差を埋めるために、開幕戦の頃から検討が進められてきたもののようだ。
今シーズン、テストを終えた段階では、フェラーリがチャンピオンの最有力候補であると考えられていた。しかし蓋を開けて見れば、ライバルのメルセデスが4戦連続の1-2フィニッシュ。史上初の快挙を達成する、圧倒的な強さを見せている。
”4連敗”となったフェラーリは、アゼルバイジャンGPに空力のアップデートを投入。今回のスペインGPにもさらなるアップグレードを持ち込み、その上カナダGPに投入することを予定していたアップグレード版エンジンも前倒しで投入してきた。
チーム代表のマッティア・ビノットは、このアップグレード投入について、次のように説明する。
「このようなスケジュールの変更を計画する時には、数週間前にそれを決める必要があるのだ。今週決めたことではない」
「メルボルンでシーズンが始まった際、ライバルと比較して、我々のパフォーマンスが遅れている可能性があることを認識した。そのため、すでに決めていた開発計画から、全ての主なアイテムの部分について、開発のスピードを速めようとしたのだ」
「我々はいくつかのプログラムを、先行させるチャンスを見極めていた。そしてバクーでは、当初のプログラムと比較して、早くエアロパッケージを投入した。そしてパワーユニットについても、ここで先行投入をしたのだ」
「ショートカットしたり、その業務を強化することで、そういったことを達成する。マラネロの人たちは、懸命に働いた。そして我々は、まだ懸命に働いていると言わざるを得ない」
各ドライバーが年間に使えるパワーユニットのコンポーネントは、ICE(内燃エンジン)とMGU-H、そしてTC(ターボチャージャー)は3基、MGU-KとCE(コントロールエレクトロニクス)、エナジーストア(バッテリー)は2基までと規定されている。21レース中まだ5戦目という段階であるスペインGPでアップグレード版のPUを投入するということは、シーズン後半にグリッド降格ペナルティを受ける可能性が高まったということを意味する。
これについてビノット代表に尋ねると、彼はmotorsport.comに対して次のように語った。
「いや、そう言う計画にはなっていない」
そうビノットは語った。
「早い段階で交換したとしても、(最初のエンジンを)再び使用できないということを意味しない」
「おそらく、そういう選択肢もあるかもしれない。しかしドライバーたちに4つめのエンジンを使わせることは望んでいない」
冒頭の通り、フェラーリはオフシーズンテストで好パフォーマンスを披露していた。しかし結果としてはメルセデスが圧倒的な強さを見せる状況である。これについてビノット代表は、フェラーリが後退したわけではなく、メルセデスの実力を人々が過小評価していたためだと指摘する。
「我々は当時、すでに彼らが非常に強いだろうと言っていた」
そうビノット代表は語る。
「テスト以来、我々は共に自分たちのマシンを開発してきた。ここに持ち込んだクルマは、テスト当時のクルマと同じモノではない」
「気象条件は完全に異なる。熱というのは、確かに別の要因だ。だから、テストと全く同じ状況にいるだろうか? 私は、比較ができるとは思わない」
この記事について
シリーズ | F1 |
チーム | フェラーリ 発売中 |
執筆者 | Scott Mitchell |